《小さなヒカリの語》31ページ目

「大丈夫って言ったのはヒカリだろ? あっちが俺のことを見えてないんなら襲われることはないし、逆に狙い放題でこれを使わない手はないはずだ」

「ち、違うの! そうじゃないの! 私が……私がまいた種だから、いいの。こーちゃんはそんなことしなくて。それに私でも倒せないくらい強いオウムだっているんだよ?」

「じゃあ尚更だ。二人でなら倒せるかもしれないだろ!」

ヒカリのしていることを知った以上、俺は俺の意志を通す。絶対に後には退けない。

「そうかもしれないけど……でもそうじゃなくて!」

「今を楽しく過ごしたいって言ったのはヒカリだ。片方だけ重いものを背負ってたらその楽しさはフェアじゃない。どうせ向き合わなけりゃならないことなら半分の荷は俺に預けてくれよ」

我ながらくさい臺詞だ。思えば、背負うことで俺は俺の痛みを軽くしたいだけなのかもしれない。ヒカリのことを何にも考えてなくて、獨り善がりな自己満足をヒカリに押し付けているだけなのかもしれない。それでも俺は。このチャンスだけは。

「こーちゃんの気持ちは嬉しいけど、でも、そういうことじゃないの……」

うつむくヒカリの表はどこか憂げで、もしかしたら泣いてしまうんじゃないかと思った。でも、

「力になりたいんだよ! ヒカリの力に! どうしてもだ!」

ここだけは譲れない。譲ってしまったら痛みはもっと酷くなる。あの、オレンジの夕が俺を溶かしてしまう。負のが心を埋め盡くして、きゅっとが締め付けられた。痛い。

「そうじゃないの、そうじゃ……」

ヒカリは振り払うように、必死に何かを否定しているようだった。俺はその何かが何なのか知らない。何も知らないから逆に俺はこうやってヒカリと向き合って頼み込むことが出來る。

「もう決めたことなんだ。頼む、俺にもその仕事を手伝わせてくれないか」

の前で両手を合わせて誠意をで示す。目も大事な意思表示の一つだ。決して逸らさない。じっとヒカリの目を見つめる。

「俺じゃダメか?」

最後の一押し。これでもだめだったら俺は……

どれだけ時間が経っただろう。おそらくそんな多くはかかってないはずだが、俺にとってはそれが何十分にもじた。不安のままでいることはやっぱり辛いことだ。それはお互いにとっても同じで。

「……分かった。でも、私はこーちゃんに危険なことはしてほしくない」

最終的にヒカリが先に目を逸らした。ヒカリはふぅーっと息をつく。俺も限界だった。

ともあれ、ヒカリの言葉は前向きに捉えよう。承諾されたってことは、OKってことだ。手伝ってもいいってことだ。口先だけにならないように當然対策は練り上げる。

それから一時間ほどして母さんの夕食コールがなされたので、期待半分に返事をしてその聲の元に向かった。ヒカリとはその間無言だった。

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