《小さなヒカリの語》36ページ目

「よいしょ、っと。べつにふつーだよ。ほら、こーちゃんもはやく!」

「えぇー? うーん」

「ほら、あぶなくないでしょ?」

「そー……だね。あれ……ねぇ、あのむらさきいろのはなんだろ?」

「えっ、どこ?」

「ほら、あそこだよ」

「……ほんとだ。なんだろ……よし、いってみようよ」

わたしはこーちゃんのてをひっぱってさらにちかづく。

「あぶないっ!」

「えっ?」

こーちゃんのてが、わたしを、どんっ、とつきとばした。

わたしはしりもちをついた。おしりがいたい。

「いたたたっ。もう、こーちゃん? いきなりつきとばしちゃ……え?」

……こーちゃん?

「どう……したの? ねぇ」

なにがおきたかわからなかった。あたまがぐるぐるになった。

「ねぇ、ねぇ、からだがあかいよ、こーちゃん、だいじょうぶ?ねぇ!」

そのとき、きゅうにあたまのほうがくらくなった。

みると、むらさきいろのものがそこにうかんでいた。わたしはきづいた。こーちゃんとおなじあかいのがついてることを。もしかして、こいつがこーちゃんを?

「うぅっ……」

「こ、こーちゃん? しっかりして……だめ。でないで。とまって!」

たくさんのあかいみずがこーちゃんからながれてくる。わたしのてがあかいろにそまっていく。

「おとーさーんー!」

めからなみだがぽろぽろとこぼれおちてきた。ないてしまったらおとーさんはほめてくれない。こーちゃんがうごかない。ゆすってもうごかない。わたしはどーすればいいの? おしえてよ、おとーさん。

「しまった、とびらがひらきっぱなしだとは!」

とおくでおとーさんのこえがした。

わたしはそのままきをうしなった。

「おはよー!」

元気な聲が空気を伝って俺の鼓を震わせた。寢ぼけ眼で時計を見ると、六時五十九分。起きようと一度を起こしたが、あと一分あるという安易な考えで二度寢の態勢にる。

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