《小さなヒカリの語》42ページ目
「巨が好きなんだろ?」
「はっ?」
いや、まったくそんなことないし。っていうか鈴木、お前は引っ込んでろよ。
「考えてみればそりゃそうだよな。中學では貧が多かったもんな。ふははっ」
今すぐこのセクハラ発言を止めさせたかったが、むやみに否定したらボロが出るので、ここはあえて何も言わなかった。その時、ヒカリが自分のを確認していたのはスルーの方向で。
それから放課後まで、あの時の鈴木の笑い聲が思いのほか長かったこと以外、目にとまる出來事はなかった。俺は靜寂に向かいつつある教室から、未だ日の落ちない空を見ないようにして、考え事にふけっていた。
考え事の中心はヒカリ。昨日はああやって手伝うなんて言ったけれど、いざとなった時俺は言葉通りのことを為せるんだろうか。逃げ出したりしないだろうか。最悪の場合、ヒカリの足手まといになるんじゃなかろうか。そもそも弓でどう戦うんだ? 現実世界のが異空間に介することなんて出來るのか? よくよく考えてみれば筋が合わない。向こう見ずにもほどがある。
自分でも驚くほど弱気なわけは、目線を下げると、昨日オウムが現れた場所が目にるからだ。
「あの木の下までヒカリは吹っ飛ばされたんだよなぁ……」
彼が無事だったのはおそらく〝訓練〟を積んだからで、〝そーりょく〟を解放しているからで、一般人の能力ではおよそ太刀打ち出來ないだろう。
オウムに自分の姿が見えないのは唯一の強みだが、萬が一の場合のことも考えておくべきだ。
それでヒカリを手伝うことをやめる気は頭無い。だけど、考えれば考えるほどヒカリの足手まといになる気がして怖く思った。どうやって役に立つのかを詰めておく必要がある。ヒカリが戻ってきたら話し合ってみるか。
「ごめーん、だいぶ待たせちゃったね」
噂をすれば何とやらだ。教室のドアが開き、視界には類まれなる容貌のが映し出される。
「校長先生が校長室にいなかったの。それで々聞きまわってたら、思ったより時間かかっちゃって」
「別に俺のことは気にしなくていいぞ」
ヒカリが校長先生に用があったのは、討魔師の件についてである。
何でも討魔師は全國の至る所に存在しており、人間の認識下の外で現実世界を維持しているらしい。ヒカリはその一人。至る所と言ってもお互いの區域はそれぞれ決まっていて、戦いの際に鉢合わせすることはないのだという。討魔師は基本群れない。討魔師協會のもと、しっかり管理されていると言っていた。今日は區域に二人目が來たのを正式に會って伝えたそうだ。
「で、どうだった? なんて言われた?」
今、教室に殘っているのは自分とヒカリだけなので、聲量を控えめにする必要ない。
「うん。それがね、『自分はもう年だからこの地域は若い世代に託すことにするよ』って任せられちゃった」
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