《小さなヒカリの語》81ページ目

を包む力を一旦両足にためて、高く跳躍する。その時、黒い影が一瞬視界にった。

「えっ!?」

どすっという音が遠く聞こえた。急なの痛み。

にぽっかりが空いたように激痛がはしり、途端に呼吸が苦しくなった。空に向けて跳んだはずのは重力にそって地に落ちてゆく。理解できない現象に、遅れていたのは自分の思考回路だと気づくのは、落ちていくにオウムの突進が見舞ってからだった。

「うっ、げほげほげほっ」

大量のが口から吐き出た。腹部から地面に赤いが流れている。跳んだ時、オウムから細長いものがびてを貫いたのが見えた。そこでやっとこの違和の正が分かった。

あれは……このオウムはスペルナルティ。初めて相対する高位のオウム。

が肺にり、強く咳き込む。搾り出すようにからせりあがるの殘滓が辺りに飛び散る。急激な鼓の衰弱をじた。気を失いそうになる痛みに耐えながら、ポケットからカードを取り出す。急いで修復しないと手遅れになる。顕現しようと聲を出した瞬間、

「うぐっっっ」

背中に鈍重な衝撃が駆けた。はスローモーションのように空中に投げ出され、地面とのでようやく停止した。のどからが湧き起こり、地面を赤く染める。

地面に膝を著いた狀態から目線を上げると、カードは數メートル先に落ちていた。吹き飛ばされた時に手からり落ちてしまったらしい。あれがないと今の負傷狀態からすぐに回復できない。

と、オウムの接近が見えて、ぎりぎりのところでを橫に投げ出した。無理にひねったせいで傷口からは大量のがあふれ出た。痛覚神経が激しく刺激され、口から言葉にならない悲鳴がれでた。傷口を押さえた手が赤に染まりきっていることが、自分の狀態を再認識させる。

このままだと私は……どうなるの?

討魔師の道を歩み始めてから今日までずっと。覚悟していたことだけれど、どこか遠いことだと思っていて。だから急に近づくとこんなにもはざわめいて、焦燥が心を支配して、が痛くて。死ぬことに対して考えが甘かったのかもしれない。視界がぼんやりとしてきた。

「……こーちゃん」

ほぼ無意識のうちに口がいた。自分が死んだらこーちゃんはなんて思うだろう?

痛みで薄れゆく意識を無理やり蹴り起こして、オウムのきだけを見る。

「まだ死にたくない……」

私はずるくて、獨りよがりだ。私は自分勝手な方法で罪を償おうとした。償えるものだとして三年間どんなことにも耐えてきた。けど今、自分の決めたことも途中で破ろうとしている。

死にたくない。己の非力さに悔しくてを噛む。つ、とが流れ出てすぐに吐き出たに混じった。

    人が読んでいる<小さなヒカリの物語>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください