《小さなヒカリの語》83ページ目
ヒカリは地面を踏み込んで、空中に跳ね上がった。消えりそうな炎を攜えて、金髪のはオウムに剣を振り下ろした。押し負けて、紅にまみれた天使は地に落ちた。
「ヒカリーーーーーーーー!!!」
もう何も考えられなくなっていた。目に映るのはヒカリの姿とオウムの黒い球だけ。
ほぼ無意識のうちに弓に手をかけていた。この矢はオウムを貫かないとしながらも、強い力で弓を軋ませていた。助けたい。ただそれだけのが熱く心の中を渦巻いていた。
すると、思いに呼応するかのように力が湧くのをじた。波打つ力の脈。どくどくと心臓に熱い何かが流れ込んでくる。重苦しいが薄れ、視界が鮮明になった気がした。が軽くなったような不思議な覚。拒む理由も無く俺はその力を全でけれた。
この的は絶対はずさない。決して當たらないはずなのに、當たる、と思った。絶的なのに、希はある、と思った。そして、その覚は結果となって裏づけられた。
限界まで引っ張った矢は赤い炎を添えて、ヒカリの上空を飛ぶオウムに突き刺さった。
何がなんだか分からなかった。がむしゃらで撃ったでもなく、狙い済ませたでもない、矢が導かれたという表現が一番正しい。と、オウムの軌道がくるりと変わった。方向修正して俺の方に向かってきた。
「ちょ、ちょま、ってうわああああ!」
懸命に逃げる。が、報われず、オウムの突進に俺のは吹っ飛んだ。
コンクリートの上を背中で走する。
「って痛ててて……ってあれ、痛くない」
コンクリートの上に思い切り叩きつけられたのにが痛くない。スピードこそ速いが、これなら何とかなるかもしれない。最初見たときは恐怖しかじなかったのに、今では戦えるという自信が心に芽生えようとしている。これもヒカリとの練習の果なんだろうか?
「そうだ。俺はやれる、やれるやれる」
繰り返し自己暗示をかけ、自分をい立たせる。ターンしたオウムが目前に迫ってきた。俺は水飲み場の上に跳んで、直撃を回避し、そのままもう一度矢を放つ。矢はオウムに突き刺さった。が、きが衰える様子は無い。
なぜだ? 前に一度これと同じ狀況があったことを思い出す。核という部分を壊さなきゃオウムは損傷しても再生する。ヒカリがそんなことを言っていた。しかし核は一般人には見えないらしく、そこの點ではお手上げだった。はずなのに、
「いや……見える」
見えないはずのものが見える。自己暗示ではなくて、オウムの中に黒い、鼓を打つ何かが見えた。目を凝らすとよりはっきり見える。人間の心臓と同じ形をしている。確かにいているのだ。
と、不意にオウムから細長いものがびて、槍のような刺突は足元のコンクリートを穿った。當たっていたら確実にやられてる。きに慣れないうちにされていたら間違いなく刺さっていただろう。
「んなくそー!!」
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