《小さなヒカリの語》94ページ目
「そう! ……あ、嫌なら違うとこにするけど?」
「ううん、嫌じゃないよ。すごく嬉しい。うん。週末、約束ね。指きりげんまん噓ついたらハリセンボン飲―ます、指切った」
ヒカリの不思議なイントネーションに、
「針千本じゃねーの?」
「うちのところはハリセンボンだったよ」
「うちのところって、稚園も小學校も一緒だったろ!」
「えー、ハリセンボンだよー」
「あー、はいはい」
「もう、信じてないだろー」
と會話は流れ、ヒカリの表はしずつ明るくなっていった。そのままヒカリの部屋で昔の思い出を代ごうたいに話し合い、時折相づちを打ったり、付け加えの話をしたり。話疲れて、寢る頃には何事もなかったかのようにおやすみと挨拶をわした。
今週の日曜日はヒカリの誕生日だ。暗い気持ちなんて俺が払拭させてやる。しかし、プレゼントは何をあげたらいいんだろうか。
授業終了のチャイムの音で意識が戻った。……ああ、またか。
「はぁー」
目も開けられないくらいに眠くじる現在の疲労に対してため息をつく。
おかしいな。昨日は十一時には寢たのに、脳が睡眠を強要してくる。時計を確認して、再び機に屈服する。もう四限目が終わったのか。二限の途中から記憶がない。
「これで三限連続で寢てるぞ、お前」
聲をかけてきたのは前の席の英人ではなく、このだるだる狀態で會うと軽くいらっとくる、頭の中が元気な奴。
「せっかく眠ろうとしたのになんだよお前は」
「は? まだ寢んのかよ!?」
「文句あんのか!?」
顔をあげて凄んでみる。俺の席の橫に立つ鈴木は鬼でも見たような顔をした。あからさまに顔を引きつらせている。……どうやら俺の顔の狀態がひどいらしい。
「最近どうしたんだ? なんか、高校ってつれなくね?」
「ほっとけ。俺は今眠いんだ」
顔を上げるのもだるくなって、再び機に突っ伏す。
「んもう、こーちゃんは寢すぎなんだって!」
- 連載中111 章
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