《小さなヒカリの語》111ページ目
けれどよく分からない。
『父さんのようになってしくない』というのが『死んでしくない』という意味なら、なぜ今そんなことを俺に言うのか。父さんがどれだけ人々の安全を考えていたのか直接は知らないが、俺は正義とやらで自分の命を失う真似はしない。
高校だって人の意見に流されて決めるぐらいだし、俺は正義を語れるほど出來た人間じゃない。だから、母さんが心配しなくても最初から自分には関係ない話だ、とは思うもせめて忠言だけは心の隅に収めておくことにした。
俺は片腕だけテーブルに突っ伏してテレビに電源をつけた。
ヒカリが帰ってくるまで適當に時間をつぶせればいい。
一通りチャンネルを回してから一番良さげなものに固定する。地域著番組『ここくる』で今日ヒカリと行ったデパートが紹介されていた。新裝開店してからまだ二週間も経ってないが、すでに超大型デパートという風格がある。今はリポーターが店に潛し、お客さんから想を聞きだしているとこだ。取り上げられた店の名前はダイアリー柏崎。あれだけ安かったんだ。しかも質もいい。そんなのを話題好きであるメディアが放っておくはずがない。また買いに行こうかな。
そう言えば、だ。あの時ヒカリは〝かわいく思ってくれるような服を買いたい〟って言ってたよな。変な言い回しだったからよく頭に殘ってる。やっぱりそれって特定の人をさしてることになるんだろうか? もしそれを無意識のうちに言ったのだとすると、その人とは、深層にまでり込むくらいヒカリと親な関係の奴になる。そういうのは直接聞いてもたぶん教えてくれないだろうな。馴染としてはすごく気になる所なんだけど。
違和と言えば、あの時もそうだ。繋いだ手を離した時もじた。
「ごめん、こーちゃんは先に帰ってて。私は今からちょっと用事が出來たから」
とそれだけ言って、ヒカリが自分のもとからいなくなった時。何か引っかかったが、俺は何も言わなかった。言わなかったせいで今、俺とヒカリは同じ場所にいない。すぐに帰ってくるというなら、もう玄関のドアが開いてもおかしくない頃なのに。
妙なじれったさが心に不安を生む。ヒカリには用事があって、し遅くなっているだけだと短気な頭に言い聞かせる。
「用事があったんだから仕方がない」
聲に出して自分を納得させる。……あれ? 違う。そうじゃない。
『用事が出來たから』
あの時ヒカリは確かにそう言った。そこは〝用事がある〟じゃないのか? 出來たっていうのは急の時に使う言葉だろ? 小さいようでとてつもなく大きい認識のズレ。浮かび上がった疑問が不安を加速させ、思い出させる。そうだ、そうだった。俺は言わなかったんじゃない、言えなかったんだ。ヒカリの足の速さが見て分かるくらい異常だったから。
これまでヒカリの様子がおかしいと思うことは何度かあった。ただの勘違いから正夢的直まで。そ
悪役令嬢の中の人【書籍化・コミカライズ】
乙女ゲームの好きな平凡な少女、小林恵美は目を覚ますと乙女ゲームアプリ「星の乙女と救世の騎士」の悪役令嬢レミリアになっていた。世界の滅亡と自身の破滅を回避するために恵美は奔走する! ……その努力も虛しく、同じく転生者であるヒロインの「星の乙女」に陥れられた恵美は婚約破棄された上で星の乙女の命を狙ったと斷罪された。そのショックで意識を失った恵美の代わりに、中から見守っていた「レミリア」が目を覚まし、可愛い「エミ」を傷付けた星の乙女と元婚約者の王子達に復讐を行う。 主人公は「レミリア」です。 本編は完結してますが番外編だけ時々更新してます。 おかげさまで一迅社から書籍化されました! コミカライズはpixivのcomic poolさんにて11/19から始まります! ※ガールズラブタグは「人によってはガールズラブ要素を感じる」程度の描寫です
8 187【書籍化】勝手に勇者パーティの暗部を擔っていたけど不要だと追放されたので、本當に不要だったのか見極めます
勇者パーティの斥候職ヒドゥンは、パーティ內の暗部を勝手に擔っていたことを理由に、そんな行いは不要だと追放され、戀人にも見放されることとなった。 失意のまま王都に戻った彼は、かつて世話になった恩人と再會し、彼女のもとに身を寄せる。 復讐や報復をするつもりはない、けれどあの旅に、あのパーティに自分は本當に不要だったのか。 彼らの旅路の行く末とともに、その事実を見極めようと考えるヒドゥン。 一方で、勇者たちを送りだした女王の思惑、旅の目的である魔王の思惑、周囲の人間の悪意など、多くの事情が絡み合い、勇者たちの旅は思わぬ方向へ。 その結末を見屆けたヒドゥンは、新たな道を、彼女とともに歩みだす――。
8 56T.T.S.
2166年。世界初のタイムマシン《TLJ-4300SH》の開発された。 だが、テロ組織“薔薇乃棘(エスピナス・デ・ロサス)”がこれを悪用し、対抗するICPOは“Time Trouble Shooters(通稱T.T.S.)”の立ち上げを宣言した。 T.T.S.內のチーム“ストレートフラッシュ”のNo.2い(かなはじめ)源とNo.3正岡絵美は、薔薇乃棘(エスピナス・デ・ロサス)の手引きで時間跳躍した違法時間跳躍者(クロックスミス)確保の為に時空を超えて奔走する。
8 168明日流星群が見れるそうです。
綺麗な星の夜、どこかで謎の墜落事故があった。奇跡的に生き殘った彼女は、人間と言うにはあまりにも優しく、殘酷な生き物だった。 子供時代、心にとても深い傷を負った長崎安曇(ながさき あずみ)は彼女と出會って少しづつ前に進んでいく。
8 160もしも末期大日本帝國にミリオタが転生してみたら
ある日 何気なく過ごしていた矢本紗季は、過労により死亡したが 起きて見ると 身體が若返っていた。 しかし 狀況を確認して見ると 矢本紗千が 現在居る場所は、末期大日本帝國だった。 この話は、後にと呼ばれる 最強部隊の話である。 注意 この作品には、史実も入っていますが 大半がフィクションです。 Twitterの方で投稿日時の連絡や雑談をしています。 是非フォローの方を宜しくお願いします。 http://twitter.com@dfbcrkysuxslo9r/
8 140ぼくには孤獨に死ぬ権利がある――世界の果ての咎人の星
1990年の春、地方都市の片隅で鬱屈した日々を送る普通の女子中學生、永田香名子の前に現れたのは、ハヤタと名乗る宇宙人の家政夫だった。奇妙な同居生活の中で二人は惹かれ合うが、異星の罪人であるハヤタが、科せられた〈情緒回復計畫〉を達成し、罪を贖う時、彼は殘酷な刑へ処せられる運命だった――。リアリズム、ファンタジー、SFが交差する作風で、ひとりの女性の數奇な人生を1990年から2020年まで追い続けた、異色のゴシック・ロマンス小説、決定版にして〈完全版〉!
8 134