《小さなヒカリの語》117ページ目

しまった。いつかこーちゃんが自分から辭めると言うと思っていたが、甘かった。こーちゃんは辭めようとはしなかった。そしてこーちゃんが私を頼りにしてくれるなら、私はそのみを葉えてあげたい、そしたらもっと一緒にいることが出來る。こーちゃんだったら、練習に付き合うのも苦にはならない。むしろ楽しい。そう思うようになってしまった。そんな考えのせいで、結局こーちゃんを巻き込むようになってしまった。本當に馬鹿だ。

堰を切ったように々なものが溢れ出て、頬に何かが伝うにはっとした。

……もしかして私、泣いてるの?

それは橫から、唐突に。

脳天を蹴られたような激しい衝撃が全を駆け巡った。

オレンジに包まれながら、私は境界線を越え落ちてゆく。

私の世界は足場を失って、そして私を失った。

學校に著いてすぐに、屋上から落下する人影が遠目に見えた。金の長い髪が儚げに揺られて落ちてゆく。人影は地面に叩きつけられて砂埃を舞い上がらせた。急いで遠く離れたその場所に駆けつけてそれを確認する。

「……ヒカリ」

砂煙が風で散った後、両目が映したのは俺が探していた馴染の姿。

そして、さっきまで明るく笑っていたはずの、今は見る影もない同居人の姿。

地面に橫たわるヒカリを抱きかかえようと肩に手をばした。けれど手はヒカリをすり抜けて虛しく空中をあえいだ。何度繰り返してもれることが出來ない。

「うっ、うぅぅぅう……」

ヒカリのが一瞬ぴくんといて、途端に苦しそうなうめきが聞こえてきた。ヒカリの端正な顔が苦しみに歪んでいる。

「ヒカリ!」

つらそうな顔は見たくないのに。いつも笑顔でいてしいのに。ヒカリを痛み苦しみから救ってあげたい。引き上げてあげたい。せめて手を握るだけでも。けれど俺はヒカリにることさえ葉わない。地面を毆ると、手の甲が赤く滲んだ。

「……うぅぅうぅ……」

短いうなりの後に、ヒカリのまぶたが重たそうにゆっくりと開いた。

「ヒカリ!」

もう一度名前を呼んで意識をはっきりさせる。まだ開きかけの虛ろな目が俺を見た。

「こー……ちゃん? ……なんでここに?」

をうちつけたせいなのか聲がかすれて聞こえる。

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