《小さなヒカリの語》118ページ目

「なんでって、そりゃ……」

ヒカリを探す理由なんて幾らでもある。

ヒカリがなかなか帰ってこなかったから。

今夜はヒカリの誕生日パーティーだから。

ヒカリがものすごい形相で走っていったから。

俺には罪を償う義務があるから。

「……馴染だからだ」

數ある理由の中から俺はそれを選択した。よく分からないけど、たぶんそういうことなのだ。そばにいないだけでそわそわする。気がつけばヒカリを探してる。ヒカリの橫には自分がいなくちゃいけない。そういう思いを俺は馴染という言葉で表現した。

と、大きな何かが裂けるような激しい音がした。音のほうに目を向ける。空間に亀裂が出來ていた。ヒカリじゃない他の何かが空間をこじ開けようとしている。どす黒い、オウム。それをオウムと認識するには數秒かかった。適切な表現じゃないかもしれないが、それはあまりに悪魔的すぎる。

「だめっ!」

ヒカリは上し起こし、と垂直な方向に右手を向けた。

「我に與えよ我に授けよ全てをちりと焼き盡くす力」

ヒカリの手の平から青い炎の玉が放たれ、オウムに命中した。

だが、空間の亀裂の拡大は止まらない。大きな音をたて、ひずみは広がってゆく。

「こーちゃんは逃げて! 私もすぐそっちに行くから」

言って、ヒカリは苦しそうに頭を押さえた。ひずみはさらに大きくなってゆく。

「俺はどうすればいい?」

自問する。何をすべきか考える。脳から意志を引っ張り出す。

の広がりが止まった。オウムが完全にこっちの空間に來たというしるしだ。

「逃げて!」

ヒカリの聲と防衛本能が重なって、俺は反的に駆け出す。俺が走り出したのとほぼ同時にオウムが俺に向かってき出した。走りながら考える。

俺はどうすればいい? 何をしにここまで來た? 俺はいった何がしたい? 考えるんだ。

夕焼けの空の下、息を切らしながらも俺がしようとしたことは何だ?

……そうだよ俺は。

結論が出た。自分のに新たな命令を下す。逃げる勢からきびすを返し、を反転させる。逃げちゃ駄目だ。俺はこいつを倒しにここまで來たはずだろ? それなら死ぬ気で戦えよ、俺!

飛んでくる、どす黒いオウムをぎりぎりまで引きつけて、を橫に投げ出す。見様見真似の戦い方式。學校でオウムとやりあった時のヒカリのきをお手本にする。肩に擔いだケースから弓矢を取り出して、戦闘れ態勢を敷いた。いいイメージを思い浮かべろ。俺はやれる。必ずやれる。ヒカリの代

    人が読んでいる<小さなヒカリの物語>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください