《小さなヒカリの語》120ページ目

るどころかオウム自が接近してきた。そのことに気づき、慌てて橫に跳び避けるが、靴先からの引力にバランスを崩した。空中で変な回転を決めて、右肩を強く地面に打ちつけた。咄嗟に背中を庇うも、今度は代わりに右肩も痛み出した。

きの変化についていけない。戦いにおいてあまりに致命的な欠點。勝てない要素が分かりやすいくらい呈する。そもそも俺は……

「……あぁーくそ!」

頭によぎった考えを振り払うように弓を構える。だってそんなの今更すぎる話だ。こいつを倒すために俺はいるんだ。こんなの勝ってしかるべきだろ? 弱気な考えは認めない。

「っ!?」

右肩が上がらない。弓を引けない。肩よ上がれ、上がれ、上がれ! 強く念じて……

上がった。激痛を伴いながら。骨の折れる音を響かせて。何をするにも犠牲は必要なんだと自分を納得させて。歯を食いしばって、強く気を保って、痛みを意識の外に追い出して、前を見るとそこにはすでにオウムがいた。

遠くの方で、あるいは近くで。壊れゆく絶の音を聞いた。腹部から伝わる衝撃波に脳がぐらぐら揺れて、がみしみしと軋んだ。吹っ飛ばされることで俺はやっと考えをれた。俺は弱い。自分は特別に強いと勘違いして、持たない力で立ち向かう自分を知らない愚かな蟷螂だ。自分がいればなんとかすることが出來ると思っていた。今、それが否定された。

止めや出來ない圧からの力にが押し上げられた。辺りに飛散して凄慘な狀況を視界づくる。口の中が赤いで染まり、再び新しいが流れ出る。けど、俺は!

「死なねぇ!」

絶対に。誓ったから。俺の代わりに馴染出來る奴はいないから。俺があいつのそばにいてあげないといけないから。だから俺は立ち上がる。霞む意識を自分の意志で踏ん張って、俺は変わってゆく。変えていくんだ。どれだけを吐いても俺はそれを曲げない。

立ち上がった瞬間、細長いやりが足元を穿って、簡単にが空いた。タイミング次第での方にが空いていた。怖いと思うな。ラッキーだと思え! 言い聞かせて神に栄養を送る。しでもチャンスを見出すために、今はスーパーポジティブシンキングだ。

避ける、避ける、避ける、刺突回避をこなしていく。右腕、、頭、左足。大きく目を見開いて、正しい電気信號をに伝える。痛い、痛い。が痛い。外からの痛みに視界が白みそうになる。けど大きく目を開く。前を見據える。後の痛みをまったく考えない突進の回避方法。大きく旋廻してくるオウムを弓で狙い撃つ。手が震えて狙いが定まらず、放った矢はあらぬ方向へ行った。

オウムを殘り二本の中で仕留める。出來なければ俺は死ぬ。この町に甚大な被害も出る。もう簡単には戻れないと分かっている。けれどこれを乗り越えることで戻れることも知っている。

俺には一つしか道は殘されてないんだよ!

オウムのきを目で確認して、弓に矢を疾らせる。矢を限界まで引っ張って、そして一気に解き放つ。

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