《小さなヒカリの語》121ページ目
「……えっ」
終わりはいつも唐突に。
運命を呪いたいほどあっけなく。
オウムからびた細長いやりが矢を縦に突き破った。そしてそのまま自分にとんでくる。駄目だ、避けられない。
「こーちゃん危ないっ!」
思いもよらない方向からが押された。が一瞬ふわっと浮いて、それから地面に倒れた。
元いた場所を見た。そこには人のを突き破るオウムのやりと、罪の記憶と同じ赤く染まったあの狂いそうなほど痛々しい姿。
目を反らせられればどんなに良かったことか。でも、反らせなかった。
「ヒ……カ……リ?」
この目は閉じるでもなくしっかりとそれを捉えた。ヒカリの元にオウムのやりが刺さっている。先端からは赤いが滴って、それは間違いなくヒカリのから流れ出ている。
「こーちゃんはいいから逃げて!」
思考は完全に停止していた。目の前の事象を脳が認識出來ない。
「いいから早くこーちゃんは……うっ」
ヒカリの口から大量のが吐き出た。目に映る風景が瞬間赤く染まった。
そんなの駄目。絶対駄目だ。ヒカリが、を、流す。また流してしまう。もうこれ以上見たくない。心が痛みで張り裂けそうだ。
「何がいいんだよ……!」
俺だけ逃げることの何が。そんなのいくない。全然いくない。俺はそんなのんじゃいない。今ここから離れるって事はヒカリを見捨てるってことだ。俺の生きる意味を放棄するってことだ。
ヒカリのいない世界なんて考えられない。
「俺も、俺もここにいる! 死ぬ時はお前と一緒だ! ヒカリが何言っても俺はここを絶対に……」
かねぇ!と言葉を続けようとした時、
「ばかっ!」
ヒカリの手から何かが投げられて、俺の顔の橫を通り過ぎた。振り返ってみれば、地面には短剣が刺さっていた。
「……ヒカリ?」
「目を覚ましてよ! 死ぬことなんて考えないで! 今すべきことをこーちゃんは選んでよ!」
俺は……。強くを噛む。一瞬だけ考える。俺は今どうすべきなのか。答えはすぐに出た。オウムを倒して必ずここへ戻ってくること。ヒカリに背を向けて、俺は走り出した。ヒカリが視界から外れる。ヒカリとの距離が遠くなっていく。
今俺に出來ること。俺のしたいこと。それはあの時の続き。走っても走っても見つからなかった答えを
【書籍化・コミカライズ】三食晝寢付き生活を約束してください、公爵様
【書籍発売中】2022年7月8日 2巻発予定! 書下ろしも収録。 (本編完結) 伯爵家の娘である、リーシャは常に目の下に隈がある。 しかも、肌も髪もボロボロ身體もやせ細り、纏うドレスはそこそこでも姿と全くあっていない。 それに比べ、後妻に入った女性の娘は片親が平民出身ながらも、愛らしく美しい顔だちをしていて、これではどちらが正當な貴族の血を引いているかわからないなとリーシャは社交界で嘲笑されていた。 そんなある日、リーシャに結婚の話がもたらされる。 相手は、イケメン堅物仕事人間のリンドベルド公爵。 かの公爵は結婚したくはないが、周囲からの結婚の打診がうるさく、そして令嬢に付きまとわれるのが面倒で、仕事に口をはさまず、お互いの私生活にも口を出さない、仮面夫婦になってくれるような令嬢を探していた。 そして、リンドベルド公爵に興味を示さないリーシャが選ばれた。 リーシャは結婚に際して一つの條件を提示する。 それは、三食晝寢付きなおかつ最低限の生活を提供してくれるのならば、結婚しますと。 実はリーシャは仕事を放棄して遊びまわる父親の仕事と義理の母親の仕事を兼任した結果、常に忙しく寢不足続きだったのだ。 この忙しさから解放される! なんて素晴らしい! 涙しながら結婚する。 ※設定はゆるめです。 ※7/9、11:ジャンル別異世界戀愛日間1位、日間総合1位、7/12:週間総合1位、7/26:月間総合1位。ブックマーク、評価ありがとうございます。 ※コミカライズ企畫進行中です。
8 56【書籍化】竜王に拾われて魔法を極めた少年、追放を言い渡した家族の前でうっかり無雙してしまう~兄上たちが僕の仲間を攻撃するなら、徹底的にやり返します〜
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