《小さなヒカリの語》123ページ目

「なんで一人で行こうとしたんだよ! なんで俺に言ってくれなかったんだよ!」

ヒカリへの思いが空回って、本當に言いたいことを口に出せなかった。

「……こ……ちゃん……きょ……の・・・・・・ばん……ご……はん……な……だ……と……おも……う……?」

ヒカリのが微かな音を伝えた。それはとても儚げな音韻。風にさえかき消されそうな弱々しい音の振。聞きらさぬよう、耳をヒカリの口元に寄せる。

「……何言ってんだ今はそんなことよりも……ヒカリ?」

ヒカリは笑っているような泣いているような顔をしていた。目は笑っているけれど涙が浮かんでいる。

「ごめ……ん……ね……こー……ちゃ……が……プ……ゼン……トして……くれ……た……ふく……ぼろ……ろに……しちゃっ……た」

ヒカリのからはが流れ続けていて、どう見たってヒカリののほうがぼろぼろなのに、俺があげたプレゼントを心配してくれている。目頭が熱くなった。

「わた・・・・・・し……だめ……だ……なぁ……こ……ちゃん……まも……るって……きめた……の……に……つぐなう……って……め……たのに」

一つ一つの苦しそうな息遣いが心をたまらなく締め付ける。償うっていったい何の話だ?

「あの……ね……こ……ちゃん……?」

「もうしゃべるな。これ以上しゃべるとヒカリのが……」

「これ……だけ……いわ……せ……さ……ごに……ひ……とつ……つた……え……たい……から……」

「最後じゃない。これからだってお前の人生は一秒も途切れることなく続いていくんだよ! だから、最後なんて言葉使うな」

目に浮かぶ涙が邪魔して、ヒカリの顔がよく見えない。

「こー……ちゃんの……か……たの……あ……ざは……わたしの……せいなの……けが……させ……ちゃっ……て……ごめん……ね……」

ヒカリののどからが押しあがって、その口を赤く汚した。

ヒカリの言葉は罪の告白のように見えて、思わず自分のことに重ねた。

「……過去のことを悔やむなら俺もだ。俺は昔犯した過ちを今日までずっと悩み続けて苦しんできたんだ。ヒカリに告白して、その時たまたま通事故があって、それを俺は悔やんできた。けれど後悔なんてものは人間生きてりゃ誰にだってあることだったんだよ」

生きている。どんなにぼろぼろになったって俺は今生きている。それってすごく大事なことだろ? 過去のことにとらわれすぎてちゃ見えるものも見えなくなる。俺はそれを今自分に言い聞かせようとしている。ヒカリの隣にいることが、どんなことよりも大切な事だって俺の全てがそう思うんだよ。だからこれからもずっと一緒に……

ゴォオオォン。

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