《小さなヒカリの語》125ページ目

じゃなくて、実際に目に見えた。

「……赤い……ほのお?」

ヒカリのは青い炎だ。これはヒカリのものじゃない。これは別の力? いったい誰の? そういえば前にオウムと戦った時にも似たような覚があった。あの時はいろいろあったからそれすらも忘れていた。と、一瞬黒いがあたりの風景を覆い、すぐにもとのオレンジが景に染み渡った。

そうか、俺はオウムを倒したんだ。実がなさ過ぎて、逆に戸ってしまう。

これから俺がすること、すべきこと。今はただヒカリの安否を確認して、それから・・・・・・

「俺はどうやってヒカリを助けることが出來る?」

オウムは倒した。で、それから俺はどうやって今のヒカリを元のヒカリの狀態にすることが出來る?

「……そうだ! カードだ! ヒカリ! カードで注出して、それでまたを流せば……」

この前の大怪我もこれで治った。使えば、またすぐにでもは塞がってくれるはずだ。

「……だ……め」

「えっ?」

「も……う……だめ……ため……し……た……け……ど……き……か……な……い」

「んなわけねぇだろ! お前が諦めてどうする!? だめだなんてことあるか!」

怪我の狀態を見て諦めるなんて早すぎる。早くカードを取り出して、刺して、

「……ちょっと待て。効かないってなんだ?」

もう試した? 注はもう終わった? なのに何も変わらない? それが意味するのはなんだ?

「……う……う……ぅ……」

目からこぼれてきたのはなんだ? これが答えなのか? この涙が俺の導き出した答えなのか?

泣かないって言ったのに。死なせねぇって言ったのに。

ヒカリを救えない。せっかくオウムを倒したのにこんなことってありなのかよ?

ヒカリの力が見る影もないほどに弱弱しく揺らめいている。このゆらめきが消えるとヒカリはどうなる?

「……うぅ……ぅ……ぅ……ぅぐっ……」

考えたくない。知りたくない。やっと逢えたはずなのにこんなのって。再會してまだ二週間だけど、もう俺の中じゃヒカリは取り替えることの出來ない日常の一部なんだ。いなくなればきっと俺は壊れてしまう。失うには存在が大きすぎる。

ヒカリの小さな炎に、俺の周りにあるこの炎を注ぎ込めば、ヒカリを救うことって出來ないのか? もう顔に生気がじられない。

手をヒカリのに當てて、炎を注ぎ込むようにイメージする。すると、炎がいた。ヒカリのに向けて流れ始めて、それはしだけヒカリの力を強くさせた。微弱すぎるが、それでも俺にとっては救いの。手に意識を集中させて、もっともっと力を注ぐ。しずつ治ってきている気がする。この調子でいけばなんとかなるかもしれない。

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