《まちがいなく、僕の青春ラブコメは実況されている》第2章 僕は、風になりたい。8
しかし、伊達さんは悪びれる様子もなく、むしろさらに悪乗りしてくる。
『私の実況があまりに的確に乙幡の頭の中を描寫してしまったがゆえに、また本質をついてしまったがゆえに、いわれのない抗議をけたわけであります。依代よりしろを選べない悲しき浮遊霊実況者の悲哀であります。しかし、霊の実況者になって逆に良かったこともあるわけであります。それは、いわゆる放送コードを守る義務がまったくないということであります! なぜなら、私のこの実況、そもそも放送にのることがないからであります。私の実況のオーディエンスは、乙幡剛ただひとり。関係各位ならびにスポンサーの顔をうかがう必要もなく、なんの躊躇もなく、実況の羽を大いに広げることが可能なわけであります! 何という自由! 何という開放でありましょうか! 特に忌きんき扱いされてきました、いわゆる下ネタも言い放題なのであります! もはや、フルチンで大平原を見渡しているかの如くの爽快であります! 當然、ピー音もございません! まがりなりにも「実況といえば伊達」という一定の評価を頂いていた私ではありますが、放送コードというある種の言葉狩りによりまして、生前には本當の意味でのそのフルポテンシャルの実況をついぞ発揮する機會がなかったわけでありまして、そう言った意味では、この実況が聞ける乙幡剛は眼福ならぬ耳福なのであります!!』
まったく、なに言ってんだ、この人は……いや、この霊か。
『ちなみにこの夏休み、乙幡剛の想い人、夜の右手の人こと、新垣さんはどのように過ごすのでありましょうか?』
また吹き出しそうになったのを、僕は懸命に手で口を押さえ、こらえた。
そして、急ぎ、心の中でこう念ずる。
――新垣さんのこと、実況でいじるのやめてください!
と、伊達さんは、すぐ反論する。
『まったく素直じゃないぞ、乙幡剛。だから、いまだに貞なのであります。授業中も休み時間も、暇さえあれば新垣さんをこっそり盜み見ているのは、いったいどこのドイツ人でありましょうか? 加えて、スマホの検索エンジンに「新垣玲奈 読モ」の検索履歴があることを、この伊達、既に知っているわけであります!』
なっ……なぜ、そのことを⁉
伊達さんが現れる前に、ちょっと検索しただけなのに……。
『會えない時間がを育てるとか言うわけではありますが、乙幡がこのまま新垣さんと言葉もわさず、なんの接もない狀態が続けば続くほど、むしろ乙幡の妄想と玉袋はパンパンに膨らみ続けるわけであります! だからこそ、新垣さんのこの夏の予定を今のうちにチェックし、偶然を裝って夏休みに出くわすといったイベントを頻発させていくくらいの策士に、我らが乙幡剛には、なってもらいたいわけであります! そして、出會えた暁には、相手をそのまま押し倒すくらいの強引さもほしいところであります‼ さもなくば、いつまでも新垣さんは乙幡剛の夜の右手の人で――』
「――やめろ――――!」
気づくと、僕はまたやらかしていた。
伊達さんに反応し、またんでしまったのだ……。
直後、我に返り、恐る恐る視線を周囲に向けた。
と、校長どころでなく生徒と教師のほとんどが、冷めた視線を送っていた。
特にダンクの際に怒られたあの育教師などは凄い形相で僕を睨み、ゆっくりこちらに一歩を踏み出した……。
◇
終業式の後、僕は2時間に渡り育教師の説教と伊達さんの実況をサラウンドで聞かされるという拷問を味わった。そこでも、伊達さんが何度も々とぶっこむものだから、その度につい反応してしまうと教師の説教も長くなって本當に地獄だった。僕が教室に戻るともう誰ひとり殘っておらず、機の上に「夏休みの諸注意」というプリントだけが一枚ぽんと置かれていた。
夕暮れの中、校門を潛る際、伊達さんのこんな実況が聞こえた。
『――さあ、たった今この瞬間から、一生に一度、二度とない乙幡剛の高一の夏休みが始まったわけであります!』
この夏休み、改めてこの実況と過ごすのだと考えると、どっと気が重くなったのは言うまでもない。
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