――きっと僕は、新垣さんのことが好きだ。

これまでのめられ続けてきた日々で、僕は誰かに心を抱くことはなかった。いや、そもそも理的に抱くことができなかったのだ。

僕には周りの異もまた、僕をめる加害者・・・だった。自分をめる人間に対し、好意など抱きようがない。かろうじてめをした高校生活で、僕は初めて周りの異をの対象として認識できたのかもしれない……。

そして、あろうことか最もの丈に合わない想いを抱いてしまったようだ。しかも、この心に気づいた頃には、彼の心はすでにもっとも嫌いなあの男に奪われしまった後だったというおまけまでついて。

そんなことを一瞬のうちに高速で思考しながらも、僕はなぜだかペラペラと知りうる限りの赤坂の好みや好きなものの報を新垣さんに話していた。ダテに一年近くめられていない。

あくまでも、小學校當時の話だから今とはだいぶズレてるかもしれないけれどと前置きしつつ、赤坂が好きだった食べや好きだったアイドルの話を彼に話して聞かせた。新垣さんは熱心に、時々スマホにメモまで取りながら、僕の話に耳を傾けていた。

伊達さんに言わせれば馬鹿が付くお人好しなんだろうけど、新垣さんのうれしそうな表を見られるだけで、僕はうれしかった。

その間も、伊達さんが実況というより怒りに近い聲を脳裏で上げていた。

『敵に塩を送ってる場合じゃない！』

『今すぐヤツの本を伝えるんだ！』

『さっさと、想いを伝えるんだ！』

どの言葉も僕を思っての発言だったんだろうけど、僕は無視し続けた。

「本當にありがとう！　乙幡くん、また……相談のってもらっていいかな？」

僕の知っているヤツの好みなどの報を軒並み話し終えると、新垣さんはこう言った。

「あぁ、もちろん。僕で力になれることがあれば」

あれだけ普段は出なかった言葉が、なぜかスラスラ調子よく出てきた。

「本當に？　やったー！　乙幡くん、なんか格まで変わったね。なんだか、頼りがいがあるっていうか。ちょっと、大人っぽくなったかも。もし赤坂先輩に告白される前だったら、私、乙幡くんのこといいなって思っちゃってたかも……」

「――⁉」

思わず、素に戻ってしまった。

「なーんてね♪」

新垣さんはそう冗談めかせ、笑った。

きっと、彼にとっては軽い冗談だったんだろうけど、僕にとってはを締め付けるような言葉だった。だけど、そんなじはおくびにも出さず、僕は想笑いを浮かべた。

「あっ、そうだ！　乙幡くん、ライン教えてくれない？　また相談したいことがあったら、連絡させてもらいたいなって……いいかな？」

僕はうなずくと心ドキドキしながらスマホを取り出し、子と人生初のライン換をした。

スマホの畫面に彼のアカウントのアイコンが収まると、

〈これからもよろしくね♪〉

と最初のポストがった。続いて、まごつきながら、

〈こちらこそ〉

と返した。

「本當にありがとうね、乙幡くん。また、明日ね！」

そう言って手を振り、彼は公園を出ると夕日の中に瞬く間に溶けていった。