《俺の高校生活がラブコメ的な狀況になっている件》第31話 謎のラブレター……
外も寒さが増してきた十一月のある日の放課後。
俺は帰宅しようと下駄箱の靴を取り出した時だった。
一枚のピンクの封筒がひらひらと廊下に落ちた。
――なんだ?
俺はそれを拾い上げ、裏表を確認。
ハートのシールにほのかに香る甘い香水の匂い――。
「ら……ら、らぶ、れたぁー?!」
まさか……ウソだろ。
この俺がラブレターなんてありえないッ!
◆❖◇◇❖◆
その日の夜。
自分の部屋でテスト勉強を終えると、俺は下駄箱にあったラブレターを何度も読み返していた。
――ずっとずっとあなたのことを見てました。
――あのより私の方がもっと魅力的だよ?
「はぁ……」
先ほどからため息しか出ない。
ラブレターと思われる手紙は、これだけしか書かれていない。
封筒や手紙をよく確認したが、差出人の名前は書かれていなかった。
筆跡もパソコンを使って打ち出されているので分からない。
要するに分からないだらけの謎のラブレターである。
――……いったい……俺に何を求めてるんだ?
文面を見る限りでは、まるで『私と付き合ってほしい』と言っているようにも思えるが、果たしてそうなのだろうか。
「いやいや、イタズラだよな」
俺にラブレターを送る子なんているはずがない……っと、思いながらも「もしかしたら本當に……」と、思ってしまう自分がいる。偽のラブレターを俺に送るのであれば、「しょーたくん大好き!しゅきしゅきちゅきー!♡」の方がイタズラとしては効果的だっただろう。
でも、仮に本のラブレターだとしたら、文面に引っかかる箇所がある。
それは『あの』だ。
『あの』と文面に書かれていたが、それは誰のことを指しているのか、さっぱり分からなかった。
普通に考えてみると、俺の周りの親しい子は六花との二人だけだ。
「じゃあ……二人のどっちなんだ?」
文面には『あの』、すなわち特定の一人を指している。
そもそも差出人はなぜ、そこまで特定の一人に対して対抗心を燃やしているのか、それも謎だ。俺とあの二人はただの友人だし、どちらかと付き合っているわけでもない。
「はぁ……もおおおおぉぉぉぉぉぉ!」
暴に髪を掻きむしった。
考えれば考えるほど謎が増えてくる。
ここは一旦忘れて、そろそろ寢た方がいいのかもしれない。
――いったい、誰が俺なんかに……。
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