《突然不死という最強の能力に目覚めちゃいました》決著
「一何をすればそこまで・・・」
鈴木さんの話に若手連中は「信じられない」と聲を上げる。しかし今目の前で実際に戦っている2人は確かに現実であり、鈴木さんの言っていることを事実だと語っている。
「さぁね、でもはっきり言えるのはあの2人はなくとも私たち常人には理解出來ないほどの努力をして來たってことだね」
鈴木さんは若手達に微笑みかけると再び2人の試合に目を向ける。
試合はさっきまでと違いほぼ互角の戦いになっている。
「ハァ、ハァ、ハァ、玲お前隨分と、強くなったな」
「別に俺が強くなった訳じゃねぇよ、テメェが老いただけだろ」
黒金署長は一旦玲から距離を取り腕でひたいの汗を拭いている。今までは余裕だった署長だったが戦いが長引き息がれかなりお疲れのようだ。対する玲にはまだまだ余裕がある。
「スーッ、ふぅ、そろそろ終わらせるか」
玲は大きく息を吸い短く吐く。そして小さく呟くと制を下げ両手を軽く床につけた。
「玲、なんだその構えは俺はお前にそんなでたらめな構え教えた覚えはないぞ!」
「當たり前だ、俺はお前にだけ戦い方を教わってたんじゃねぇからな」
「フンッ、まぁいい、だがそんな戦い方で勝てると思うなよ!」
玲の構えに全くの見覚えがない黒金署長は一瞬戸うが迷うことなく玲に向かい真っ直ぐ走り出す。玲もそれに合わせ署長に向かい一直線に向かって行く。しかし玲のきは今までのものとは明らかに違う。低い姿勢をキープしたままくはさっきほどまでに比べ明らかに早い。
「これで終わりにしてやる!」
黒金署長は玲のきに怯むことなく玲に向け真っ直ぐに拳を放った。しかしその拳は空を切る。玲はその攻撃を見切り寸前でわし一気に旋回し署長の腕へと飛びかかる。
バギッゴビギバヂッッッッ!!!
鈍くエグい音と共にしぶきが舞い上がる。腕へ飛びかかった玲はそのままツタの様に絡まり付き、を捻り黒金署長の腕をもぎ取った。
「チッ!イッテェな、負けだ、負け、この狀況でお前には勝てねぇ俺の負けだ」
腕をもがれた黒金署長は出部を反対の手で抑さえながらぶっきら棒だが負けを認めた。
「じゃあこれ返しとくは」
玲は持っていた署長の腕を投げ渡した。
そして黒金署長が降參したことにより模擬戦の終了を告げるアナウンスが流れる。
「黒金 剛署長の降參により勝者 神谷 玲」
ウオォォォォォー!!!!
それと同時にギャラリーからは大きな歓聲が湧き上がる。腕が取れたと言っても今の時代、回復能力で簡単に治ってしまう悲鳴をあげるものの姿は1人もなかった。そもそもここ模擬戦闘フロアではこれくらいのことよくあることだ。
そして玲達が場して來たゲートが開き白を著た1人の年配のがってくる。
「あらあら、また派手にやったもんだね」
「泉さん、すみませんついやり過ぎちゃいました」
「謝るくらいだったら最初から加減しな」
玲は彼とは既に何度も面識がある。泉 佳代(いずみ かよ)瞬間治癒能力者、いわゆるヒーラーというやつだ。それも普通のそれとはわけが違う、普通のヒーラーであれば多の傷は直ぐ治せても、ある程度大きな傷はそれなりの時間をかけなければ治せない。しかし泉の能力はそれを遙かに上回る。彼はどんな大怪我も一瞬で治してしまうのだ。
泉はゆっくりとした足取りで黒金署長の元まで行くと手を差し出す。
「ほら、その腕ちょっと抑さえてな」
黒金署長は泉に言われるがまま傷口を合わせる様にもげた腕を抑える。そして泉がそこに手をかざすと、捻り切られた歪な腕がみるみるうちに元の形に治って行き、切斷部もくっついていく。
「おぉ、佳代ちゃんいつもすまんな」
「本當に思ってんだか」
「あぁ、もちろん思ってるさ何たって佳代ちゃん居ねぇと俺ら安心して戦えんからな」
「どうだかねぇ」
さすがに泉は慣れて居るのか手際がいい。話している間にも腕以外も小さな怪我1つ見逃すことなく治してしまった。黒金署長の怪我が治るのを確認し玲は出口へと向かった。
「玲!待ちな、あんたも怪我してんだろ」
「そんな大層な怪我してないですよ」
泉に急に止められ咄嗟に詰まらない見えを張ってしまったが泉にはそんなものお見通しでやっぱり止められてしまう。
「詰まらない見え張ってんじゃないよ、腕の骨なんてヒビだらけだろ」
やっぱりバレちゃうか、まぁそれもそうか今まで何千もの患者を見てきたんだバレねぇ訳ないか。
バレてしまったものは仕方がない玲は潔く彼の治療をけた。
治療も終わりようやく外に出ると鈴木さんとめい、それと若手連中、その他大勢が待っていた。
「お疲れ、良い戦いだったね、乾いたでしょはいこれ」
「鈴木さんなんすかこれ・・・」
渡されたのは署にくる前、めいが飲んでいたあずきゆずレモンだ。
「何って自販機の前でめいちゃん起きたから玲くんどれが良いかなって聞いたら「これ!」って言ったから買ったんだけど、もしかして嫌いだった?」
しかし貰ったものにケチをつけるわけにもいかず、実際に飲んだわけでもない。それに加えめいがキラキラした眼差しでこっちを見てる。それは「味しいから飲んで見て」という言葉を目のみで訴えかけてきているのがはっきりとわかる。
これは味そうに飲まなきゃいけないな。
玲は仕方なく缶を開け中を一気に飲み干す。
!!
覚悟を決めて飲んだ玲だったがそれは不味いどころじゃなく、むしろ意外と好きな味だった。
「これ意外と味いですね」
玲の想にめいは満足し、鈴木さんも一安心している。そこに黒金署長が戻ってくる。
「署長お疲れ様です。これどうぞ」
鈴木さんは黒金署長にはブラックコーヒーを渡す。
「おぉ、すまないな。それよりようがない奴はそろそろ仕事に戻れ」
その聲にはさっきまでの気迫はなく、なんだかやつれた様な聲をしていた。それでも彼の聲は響き渡る。鈴木さん達を除くほとんどの人が持ち場へ戻って行った。
「あんたも勝手だねぇ、あんたのワガママで集めといて用が済んだらさっさと帰れって、あーヤダヤダ私も用が済んだしもう戻るよ」
黒金署長に続いて戻ってきた泉もさっさと持ち場に戻って行ってしまう。
「さて玲、あのふざけたあな戦い方について教えてもらおうか」
「え⁈、ヤダよ、てか今日はもう帰りたいしまた今度にしてくんない。俺勝ったんだし今日くらいは俺の意思尊重させてもらうから」
玲は大袈裟に嫌な顔し斷ると「じゃあまたな」とめいの頭をかるくでとっとと更室に行ってしまった。
めいは「バイバイ」と玲の背中に向かい手を振って見送っている。
「なんか戦ってる時の神谷さんやたら大人っぽく見えたけど実際話してんの聞くとやっぱり高校生なんですね」
鈴木さんの連れの中の1人のがぽつりと呟いた。
「ハハハ、それはそうだよ確かに玲くんは大人びて見えるけど意外と子供っぽいとこもあるんだよ」
「何が大人っぽいだあいつはまだまだただのガキだ。何が「もう帰りたいだ」甘ったれやがって」
鈴木さんと署長はなんだかんだ言いつつやっぱり久々に會えたのが嬉しかった様でその顔は笑っている。
「あぁ、確かにもうし話したかったよね。でも久々に會ったのにすぐ帰るってなんか玲くんらしいやw」
「俺ももうし話聞いて見たかったです」
「私も聞きたいことあったのに」
鈴木さんは話し足りなかった様でし殘念がっている。それに便乗し若手連中の中にも聲をあげるものもちらほらいた。
「でもまぁ、また來るって言ってたし今度來た時々聞かせて貰うか」
鈴木さんが思い出した様に言った言葉に周りは「それもそうだね」と頷いていた。
一方玲は1人更室で著替えながらくしゃみをしていた。
「あっれ、おかしいな風邪でも引いたかな。早いとこ帰って寢るか」
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