《突然不死という最強の能力に目覚めちゃいました》抗爭後
玲が鈴音に連れられ會場を後にし直ぐに警察の別働隊が組員達の鎮靜に向かったが警が著いた時には既に抗爭は収まっていた。そして會場にいた者達の証言により伊月組は皆捕まり、九條組は正當防衛が認められ多の事聴取だけで解放された。
時を同じくして伊月組本部では指名手配犯を匿っていたことから家宅捜査が行われそれを拒絶してを上げたことにより止む無く全員牢にぶち込まれることとなった。そしてそれらの報は直ぐに速報として全國を駆け回った。
*     *     *     *
九條組本部
事聴取から解放された組では伊月組との戦いの勝利を祝い宴會が開かれていた。
「おい!全員飲んでるか?今日はあの忌々しい伊月組が消えたんだこんな縁起の良い日はねえ遠慮せず飲めよ」
九條組にも既に伊月組逮捕の報は回っておりそれを聞いた九條大和は大いに喜んでいた。
「オヤジ幾ら何でも飲み過ぎだ!また壊しちまうよ」
「うるせぇなこんな日に飲まずにいられるか!ほらオメェも飲め飲め!」
組員に止められるがそんなこと気にも止めず大和はそいつに酒を汲んだ。
「兄貴オヤジやけに機嫌がいいけどなんかあったんすか?」
それを見ていた1人が龍一に話しかけている。
「ああ、お前は今日居なかったもんな。お気にりを見つけたんだよ、あれは本の化けだな。一緒にいて生きた心地しねぇぞ」
「冗談きついっすよ兄貴ともあろう人が「生きた心地しない」って話し盛りすぎじゃねっすか」
「別に盛ってなんかねぇよ、お前もあいつに會えばわかるよ」
龍一の言葉に話しが本當だと分かり男から笑顔が消える。
「え ︎まじですか、組長はそんなのどうするつもりなんすかね」
「さぁな、次期組長にでもするんじゃねぇか、あいつに任せれば組は潰れることは無くなるだろうからな」
それを聞いた男は青褪めた顔になってしまった。
「やだっすよそんなんの!そんな人が組長なったらきっと実力主義になって一度でも負けるような弱い奴らは消されるんすよ。それで組はギスギスしていづらくなるんすよ」
「お前はどんな想像してんだよ、そんな怖え奴でもないぞ、今回の件に関してはあいつがいなかったら組みの被害はこんなもんじゃ無かったからな。それにオヤジだってあいつが居なかったら・・・・」
龍一はあの時のことを思い出し拳を強く握った。
あの時俺はなにも出來なかった。速さで追い付けてもオヤジを守りきるだけの力が無い。
今回も真面目にあいつが居なかったらうちの組みは全滅していたかもしれない。俺は弱い、仲間を守る立場にありながらなにも守れなかった。今後いつ今回のような敵が來るかも分からないのに・・・・。
「あにき・・・あにき・・・あにき!」
男の聲で龍一は思考の迷宮から抜け出し現実へと意識が帰ってきた。
「どうしたんすかボーっとして兄貴らしくないっすね。それより俺の話聞いてました?」
「すまん、聴いてなかった」
「兄貴がそんなんでどうすんですか、しっかりして下さいよ」
「ああ、で、なんだっけ?」
「だから、その人に闘い方教わればいいじゃないですか、だってそんなに怖くない人なんすよね。うちの組でも外部に師匠持ってる人けっこういるんですから兄貴も師を持てばいいんじゃねっすか?」
確かにそれは龍一自も考えたことだ。しかし高校生に弟子りするなんてことはプライドが許さないのだ。
「俺もそれは考えたんだがなどうしても抵抗があってな」
「抵抗?なんで、別に他人に教わることは恥ずかしいことじゃないと思うんすけど」
「いやそうじゃなくてな、なんだ、その〜、そいつ高校生なんだよ」
高校生に助けられたなんて言いたくなかったから黙っていたが仕方なく龍一は神谷 玲について話した。
「神谷 玲ですか、まさかそんな人だったとは、てっきり絵だけしか取り柄のない貧弱なやつかと思ってたんですけどね。でも確かにいくら強くても高校生じゃあ嫌っすよね」
龍一から話を聞いた男は龍一が嫌がる理由に思わず納得してしまう。そしてその上で新しい提案を出してきた。
「じゃあその神谷さんの師匠に弟子りすればいいんじゃねっすかね」
「その手があったか、あの歳であんな強え奴に師がいない方がおかしいよな。オメェ隨分と冴えてんじゃねぇか」
龍一は心の靄がとれ晴れやかな顔になると大和の方へと酒を持って向かっていった。
*     *     *     *
神谷家
「あ、なんだオメェ大和に會ったんか」
神谷家には鈴音と彼に呼ばれた剛が來ていた。
鈴音から話を聞いた剛は大和と面識があるらしく玲に大和について聴いてきた。
「ああ、會ったよ。てかジジイは會長と知り合いなん?」
「彼奴とは中學高校と同じだったからなよく一緒にバカやった仲だ。なんなら昔じゃなく今でも時たま會ってるけどな」
おいおい、ヤクザの親玉と警察署長なんかが街中で會ってたらちょっとどころじゃなくヤバイじするんだけど。
玲はつい黒金の言葉からその映像を想像してしまう。
「それってどうなの?一応署長なんだから組長と會うのはまずいんじゃないの?」
鈴音が玲が言いたかったことを代わりに言ってくれた。
「別にいいだろ、やましい事なんてしてねぇからな。ただ昔の仲間と酒飲んでるだけだしな」
黒金はそんなの知らんとゲラゲラと笑ってみせた。
「ところで玲、お前大和に組みはれって言われなかったか?」
「別になんも言われてないけど」
「そうか、でも気を付けろよ多分そのうち勧に來ると思うからな、お前は俺の跡を継ぐんだから唆されんなよ」
黒金は冗談だか本気だか笑いながら言ってきた。
「俺は警察にはなんねぇよ、もちろん組みにる気もないけどな」
「そうか、そうか、お前にその気がないなら仕方がないな」
キッパリと斷られた黒金だが案外あっさりしていた。昔なら力盡くで「警察になる」と言わせていたとこれだが何故だかなにもしてこなかった。
「署長どうしたの?いつもなら斷られたら怒ってたのに!もしかして偽!」
鈴音は普段と違う黒金の言にかなり驚いて挙げ句の果てには偽かと疑い始めた。
「どうしたも何もねぇよ、もうこいつは俺の手には負えないからな。俺はもうこいつの決めた事にどうこう言うつもりは無いんだよ」
「ふーん、そういうもんなんだ。でもまぁ自分のことは自分で決めた方がいいもんね。・・・・あ!それよりさ聴いてよ1區の機隊がさ玲に向かって攻撃しようとしてたのよ、私が居なかったら大変な事になってたんだから」
鈴音は思い出したように黒金に會場でのことを話し出した。
そしてそれを聴いた黒金はいきなり席を立つと「急用を思い出した」と言って出て行ってしまった。
その様子を鈴音は眺めながらニコニコと笑っていた。
「なぁ、ジジイって4區の署長だろ、なんで1區の奴らがあんなに怖がってたんだよ」
「そりゃあ署長は40年前の戦爭を終わらせた英雄だもん肩書きは4區署長でも実際権限は本部長の次にあるらしいよ」
玲も黒金が戦爭を終わらせたという話は知っていた。でもそれはあくまで部隊長としてだ。なのにそこまでの権力を持っているのはし話がよすぎる気がした。
「本當にそれだけ、他にもなんかあるんじゃ無いの?」
「んー、私はそれしか知らないけど、そんなに気になるんなら本人に聴いてみれば、なんなら私が聴いてきてあげようか?」
「いや、し気になっただけだし、別にいいや」
「玲がいいならいいけど・・・・じゃあそろそろ私も帰るね」
鈴音は時計を確認すると荷をまとめて玄関へと向かった。玲も見送りに玄関まで出て行った。
「じゃあお休み、あと明日からの予選頑張ってね」
予選?・・・忘れてた明日からの學園トーナメントの予選だった。
「ああ、お休み」
玲は鈴音を見送ると明日のトーナメントに備えて早々に寢る準備をした。
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