「食べるものを頼んでくるから、そこのゲームを試してもらっていいか？」

「何か作らなくていいの？」

「普段から料理しないから材料がないんだ。作ってくれるなら、次回から掃除のついでに冷蔵庫に材料も補充してもらうよ」

「そんなことまでしてもらえるんだね」

「ああ」

「じゃあ、ここにお世話になるから、料理はまかせて。洗濯は？」

「掃除と一緒にしてもらってるが、芹は勝手にられるのいやだよな？」

「う、うん…」

「じゃあ、後で追加してもらうことと止めてもらうことを決めよう」

著実に同棲へと細かいことが決まっていく。不安がないといえば噓になるが、多數の人に知られているマンションで一人で生活する不安に比べると、贅沢な不安だ。このまま甘えていいのか疑問は殘るが、今は素直に甘えることにする。

頼まれたゲームを試し始めると、簡単だがハマってしまう。夢中になっていて、暁が戻ってきたのも気づかなかった。

暁も、楽しそうな芹を見て邪魔せず、仕事を始めた。

暫くして部屋にいい匂いが漂い、芹は視線を匂いの元に向けた。

部屋の中央にあるテーブルには、熱々のパスタとグラタンが乗っている。ゲームに夢中になっていたが、一気に空腹をじた。

「お腹空いた〜」

「遅くなったな。食べよう」

「うん。いただきます」

ラグに座り向かい合って食べる。

「味しい〜」

「このマンションの一階エントランスの橫にカフェがあって、営業時間は部屋まで運んでくれるから、無理せず利用していいからな」

「す、すごい…高そう…」

「値段は、すまない。わからない」

「え？」

「全部一括で引き落としだから気にするな」

普通は気にすると心でぶ芹だが、相手は曹司で社長様。全く伝わらないだろう…

「他にも、マンションの説明も後でまとめてするな」

毎回一緒に出りするわけではないので、きっちり聞いとかなければと思う。ここからだと、徒歩ですぐにオフィスに著く。通勤時間もかなり短され負擔が減ることは間違いなしだ。