エントランスには、騒ぎを聞いたコンシェルジュの姿があった。

「新城様、おかえりなさいませ。お怪我はありませんか？」

「ああ。申し訳ないが、エレベーターを開けてもらえないか？」

「はい。お送りいたします」

両手が塞がっている暁を見て、エレベーターの作は無理だと気づきフォローしてくれる。鍵は、コンシェルジュが管理しているものを用意していたのだろう。行き屆いた気遣いが助かる。

エレベーターの中で、暁と芹が降りるのを見送ったコンシェルジュは、そのまま戻っていった。

「芹、震えはし収まっているようだが、大丈夫か？」

「う、うん…」

「怖い思いをさせてすまなかった」

「暁くんのせいじゃないよ」

「嫌な予はしたんだ。ちょっと待ってて」

芹をソファーに降ろし暁はどこかに向かった。窓の外に見える夜景を眺め、先程の花澤を思い出す。あまりの形相に本當に怖かった。

暁を思うはまだまだいるだろう…

不安が込み上げてくる…

「どうした？難しい顔をして」

「うん…」

「正直に言ってくれ」

「あー、うん。暁くんを好きなは花澤さんだけじゃないだろうなと…」

「怖くなった？」

「うん。し」

「芹、俺は一生芹を手放すつもりはない。芹に今日みたいなことがないように、全力で守るが、手放す選択肢はない。俺も、自分がこんなにするが現れるなんて思ってもいなかったから、何が正解かはわからない。でも、絶対に幸せにする」

暁の真っ直ぐな視線が芹に突き刺さる。燃えるような熱が伝わり震える。怖さではなく、深くされる喜びからの震えだ。

「暁くんに相応しいになれるかな？」

「相応しいってなんだ？俺に相応しいのは芹しかいない。今まで、の起伏があまりなく冷靜な方だと自負していたが違ったようだ」

「え？」

「芹のストーカーには殺したいほど苛つくし、芹のファンには驚くほど嫉妬する。人前でコスプレするなんて、嫉妬で狂いそうだ」

「コスプレは趣味だから…やめたくない」