「ご存知のようですね」

「せ、せ、芹奈ちゃんが、新城社長と！？」

「芹奈ちゃんがフランスに來てるんですか！？」

「はあ…」

駿は、思っていた以上の反応に戸う。

「じゃあ、明日の仮裝パーティーに參加すると？」

「まあ。そのつもりで來ましたので…」

「信じられない」

極まったような二人を見て、フランスでの芹奈人気を再確認した。

浮かれている二人を落ち著かせて、今回芹を連れてきた一連の騒を説明した。イベントのどこかで発表させてもらえたらと言うと、発表は最後にしてほしいと返事が返ってきた。

「芹奈ちゃんの結婚を知ったら、どれだけのファンが涙することか。最初に発表したらパーティーどころじゃなくなってしまう」

「でも、芹奈ちゃんが登場したら盛り上がること間違いなし。稗田さん、ありがとうございます」

お禮を言われても困るが、新城堂の新商品発売が大きな話題になれば、會社にとってはかなりの利益になる。

今から大功の予がした…

スイートルームの二人が目覚めたのは、お晝を過ぎた頃。

「ん〜」悩ましい聲と共に芹が起きた。

芹の聲と気配で、隣で寢ていた暁も目覚める。

「あ〜よく寢た」

「ホントに。もうお晝過ぎちゃってる」

「だな。これからどうする？観に行くか？」

「う〜ん。人に見られるのが嫌だから、出來ればホテルで済ませたい」

「ランチに行くか？」

「うん」

二人は、ホテルの個室のあるレストランにり食事をした。

「観はいいのか？」

「うん…なんかごめんね」

「芹のせいじゃないだろう。きっと駿が戻ってきたら、イベント関係者に喜ばれたって話になるぞ」

さすが経営者、周りの反応まで正確に予想している。

「まさか自分がフランスでも知られているなんて、びっくりで…」

「昔ならあり得なかっただろうが、これだけSNSが使われるようになったら、ボタンひとつで世界に繋がる。チャンスとピンチが紙一重だ。もし間違った使い方をしたら、世界中に恥を曬すし批判される」

會社の経営者の立場で、日頃からSNSとの向き合い方を徹底している。