《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》閑話4 創造魔法講座

エルシーさんが會長に就任してからし時が経ち、店の経営が落ち著いてきた頃。

俺は、エルシーさんに創造魔法を教えることになった。

エルシーさんに「いつになったら創造魔法を教えて貰えますか?」って聞かれた時には焦ったよ。

だって、本気でそのことを忘れていたんだもん。

い、忙しくて忘れちゃってたんだよ?

そんなわけで急遽、今日教えることになった。

「お邪魔しまーす」

「はい、どうぞ」

現在、エルシーさんの家に來ている。

エルシーさんは會長を継ぐにあたって、コルトさんの家を貰ったそうだ。

もちろん、エルシーさんは斷ったみたいなんだけど……コルトさんに言いくるめられてしまったようだ。

ということは……俺の家よりもエルシーさんの家の方がデカい。

ばあちゃんの家と変わらないんじゃないかな……。

そんなことを考えていると、エルシーさんの部屋に案された。

「それじゃあ、よろしくお願いします。レオくん」

エルシーさんが綺麗なお辭儀をするので、俺も出來る限りのお辭儀をした。

「はい。よろしくお願いします。それじゃあ、これから教えたいと思うのですが、エルシーさんって魔力作は出來ませんよね?」

「はい。出來ません……」

あ、エルシーさんが落ち込んじゃった。

「あ、そんなに落ち込まなくても大丈夫ですから! これから練習すればすぐに出來るようになりますから」

慌ててめる。

「本當ですか? ありがとうございます」

「いえいえ。それと、練習を始める前にし教えておきたい事があります」

「教えておきたいこと?」

「はい。どうして、僕以外の人は創造魔法を使うことが出來ないのか? わかりますか?」

「わかりません……そういえば、レオくんはどうして創造魔法を使えるのですか?」

「僕は創造魔法にたくさんの魔力と魔力作が必要だと思っています」

「そうなんですか……でも、それだと……私には創造魔法を使うことは出來なそうですね……」

「え? どうしてもう諦めているんですか?」

まだ早くないか?

「だって、十五歳を超えてしまった私が大幅な魔力長を見込めるはずがありませんから」

そうなの? 魔力が長するのも期間があるのか……。

「なるほど……でも、全く長しないってわけではないんですよね?」

「はい、そうですけど……」

「それなら、大丈夫です。予定よりは長い時間が必要かもしれませんが」

「本當ですか……?」

「本當ですって、これを使えば」

そう言って、エルシーさんに用意してきたを見せてあげた。

「これは……ミスリルと……レオくんがいつも魔力を注いでいるとんでもない魔石ですよね?」

そういえば……エルシーさんの前で魔石に魔力を注いでいたことあったかな?

あ、師匠に魔石をせがまれた時だ!

「はい、そうです。これを使って魔法アイテムを造ります」

「どんな魔法アイテムを造るんですか?」

「エルシーさんの魔力長を助けてくれる魔法アイテムです」

「そんなが造れるのですか……?」

「はい。これがあれば問題ないと思います」

長スピードが桁違いになるからね。

「わかりました……それじゃあ、お願いします」

「了解で~す。すぐに出來るんで見ていてください」

もう、これを造るのは何回目だろうか?

シェリー、リーナ、ベルに造ったから……四回目か。

そんなことを考えている間に出來てしまった。

「はい、出來ました。これを常に首にかけておいてください」

出來たての首飾りをエルシーさんに渡す。

「わ、わかりました……ありがとうございます」

「それじゃあ準備も整ったことですし、創造魔法に向けて頑張りましょう」

「よろしくお願いします」

「それで、ですね……。魔力作が使えないってことですので……魔力作を習得してもらおうと思います」

たぶん、あれをやらないといけないんだよね……。

「わかりました。それで、何をすればいいのでしょうか?」

「えっと……まず確認なのですが……エルシーさんは自分の魔力をじることは出來ますか?」

「出來ません……出來ないと何か問題がありますか?」

「い、いえ! 問題はないのですが……わかりました」

うん……腹をくくるしかないか。

「エルシーさん、そこで仰向けになって貰ってもいいですか?」

「え? はい、わかりました」

「これから……俺がエルシーさんの魔力をかしますのでかし方をじてください」

「わかりました。よろしくお願いします」

俺のが伝わってしまったのか、エルシーさんも張した顔になってしまった。

「はい。張はしなくていいですよ。リラックスしていてください」

それじゃあ、やるか。

エルシーさんのお腹に手を當てて魔力を探る……みつけた。

ないわけではないけど……創造魔法を使うにはないと言っていいほど足りないな……。

よし、かすか。

魔力をし揺らす。

「へ?」

案の定、エルシーさんが変な聲を出した。

おっと、気にしない気にしない。

「これが魔力です。わかりましたか?」

「はい、わかりました」

「それじゃあ、かしますので……耐えてください」

「え?」

それから、數十分後

「ふう、これくらいでいいかな? 自分でかせそうですか?」

「は、はい……かせ……そう……です」

エルシーさんはそう言うも、息が切れていた。

し休憩しますか?」

ちょっとやり過ぎたかな?

「は、はい……お願いします」

それから、三十分くらい休憩した。

「それじゃあ、かしてみてください」

「はい、やってみます」

エルシーさんはそう言って、自分のお腹に手を當てた。

「どうですか?」

「……出來ました!」

エルシーさんは嬉しそうに俺の顔を見てきた。

「それは良かったです。あとは、ひたすら魔力をかし続けるのを頑張るしかないですね」

これからは、地道な作業だ。

「わかりました……どのくらいやればいいのでしょうか?」

「魔力を全かせるようになるまでです」

「全? そんなにきませんよ?」

「大丈夫。繰り返していればいつか出來るようになりますから」

最初は皆、そんなもの。

「そうですか……頑張ってみます」

《二週間後》

「レオくん、全に魔力をかせることが出來るようになりました!」

「本當ですか? じゃあ、次の段階に進みましょう」

「次は、何をすればいいんですか?」

「次はこの魔石に魔力を注いでください」

そう言って、エルシーさんに魔石を渡した。

魔力は一切っていない空の魔石だ。

「わかりました……けど、どうやって注げばいいんですか?」

「それは、魔力を手から魔石に移すように意識すれば簡単にできますよ」

「わかりました……やってみます」

エルシーさんは魔石を持つと集中した顔をした。

そして、魔石にが燈った。

「で、出來ました!」

「おめでとうございます。あとは練習あるのみですね。ひたすら魔力を注いでください」

「わかりました。頑張って注ぎます」

「あ、それと。毎回魔力が無くなるまで魔力を注いでくださいね。そうじゃないと意味が無いので」

魔力は無くなった時が一番長するからね。

「わかりました。全部ですね」

「はい。それじゃあ、魔力が二千を超えた辺りで創造魔法の練習を始めますか」

「に、二千? 無理です。私には無理ですよ!」

そんなに無理無理言わなくても。

「そんなことないですよ。今の魔力はどのくらいなんですか?」

「昨日、見た時には魔力が九百くらいでした」

「あと千ぐらいじゃないですか。そのくらい簡単ですよ」

「そんなことありません! 二週間でここまでしか上がらなかったんですよ?」

確かに……長スピードは遅いけど。

「まあまあ、魔石を使って鍛えれば長スピードが上がりますよ」

心配する必要は無いでしょ。

「本當ですか? それなら……頑張ってみます」

「はい、頑張ってください」

《一週間後》

「レオくん! 目標の二千に屆きました!」

嬉しそうにエルシーさんが報告してきた。

思っていたよりも早いな。

頑張ったんだろうな……。

「本當ですか? お疲れ様です。やっと創造魔法の練習が出來ますね」

「本當、やっとですよ……でも、遂に私も魔法を使えるんですね!」

それから、また俺はエルシーさんの家に來た。

「それじゃあ、これを持ってください」

「これは……枝ですか」

「はい。そこら辺にある枝です」

「この枝をどうするんですか?」

「こうするんです」

そう言って、枝を木製のスプーンに変化させた。

「形が変わった……」

「創造魔法の基本は材料を使ってを造ることなんです」

「そうだったんですか……。てっきり、何も無いところからを造ることが出來ると思っていました。そういえば、レオくんにこれを造って貰った時にも材料を用意していましたね」

エルシーさんは、俺が造った首飾りを眺めながら納得してくれた。

おお、呑み込みが早くて助かる!

「材料が絶対に必要ってわけではないですよ。この様に造れますから。ただ、その分、たくさん魔力を使いますし、創造魔法のレベルが高くないといけません」

材料なしでパンダのぬいぐるみを創造するのを実演しながら説明する。

「そうだったんですか……知らなかった」

「まあ、そんな事よりも。創造魔法をやってみましょうよ」

習うより慣れよってね。

「わ、わかりました。どうすれば魔法を使えるんですか?」

「簡単です。造りたいをイメージしてください。あ、その時に枝に魔力を注ぐことを忘れずに」

「わかりました。やってみます」

エルシーさんは枝を握りしめて、枝に魔力を注ぎ始めた。

すると……枝がを放ちだした。

そして、形が変わり始めた。

それからちょっと時間が経ち、出來たは……

俺だった。

「俺?」

「はい、レオくんをイメージしてみました。それにしても、本當にイメージしただけで出來るんですね」

「う、うん……」

だからって、なぜ俺なんだ?

「これで、私も魔法使いですね! 嬉しいな~」

まあ、本人が嬉しそうだからいいか。

そんなことよりも、俺以外でも創造魔法が使えることが証明されたことだ。

これで、創造魔法が無能魔法であることが完全に否定できるんじゃないかな?

ただ、エルシーさんが魔法アイテムを造れるようになるのは大変かな……。

エルシーさんは十五歳で、魔法アイテムを造れる程の魔力まで長するまで微妙なんだ。

まあ、本人は魔法が使えるだけで喜んでいるんだし、余計なことを考える必要もないか。

俺のフィギアを眺めながら、喜んでいるエルシーさんを見ていたらそんな気持ちになった。

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