《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》アレックス兄さん人
「アレックス兄さん、人おめでとう!」
「ありがとう」
今日は、アレックス兄さんの誕生日。
兄さんは十六歳になり、人だ。
そんな、今日の主役に俺は話しかけていた。
「今から大勢の人に祝われるわけですが、今の心境は?」
「うん~まあ、今日だけだし、大変だけど一人一人対応していけばいつかは終わるでしょ」
「なるほど……そう考えればいいのか」
次から、パーティーに參加する時はそう考えるようにしよう。
「それより、レオは人の心配をするよりも自分の心配をした方がいいんじゃないかな?」
「自分の心配?」
俺、何かあったけ?
今日は、目立たないように端の方で靜かにしていようと考えていたんだけど?
「うん、僕よりもレオの方が今日は忙しいんじゃない?」
俺の方が忙しい!?
「な、なんで?」
「たぶん、僕よりもレオの方が今日のパーティーで人気者になるんじゃないかな?」
「ど、どうして?」
今日の主役は兄さんだよ?
「知ってる? レオって今、貴族の間で注目の的なんだよ?」
「そ、そうなの?」
そういえば、コルトさんもそんなことを言っていたような……。
「そうだよ。その歳で子爵になるなんて前代未聞なんじゃないかな?」
「あ~」
そういうことか……妬まれていると……。
貴族ってだから面倒だな~。
「まあ、可いの子たちに囲まれるだろうから、頑張ってね」
「の子?」
どういうこと?
この時、俺は兄さんの言っている意味がわかっていなかった……。
《數時間後》
「レオ様、私と近々お食事でもいかかですか?」
「レオ様、今度のお休みの日、二人でお茶しませんか?」
「レオ様……」
「レオ様……」
現在、文字通りの子に囲まれている。
もう、ずっとこの調子。
頑張って目立たないようにしていたんだけどな……。
すぐに見つかってしまった。
見つかったら大変、後は囲まれてしまって抜け出せそうにない。
側妻でもいいのでって、ストレートに言ってきた子もいた。
なんだかな……
この子達が可哀そうに思えてきた。
だって、赤の他人に側妻にしてしいなんて、俺と同じ歳くらいのの子が言うはずが無いんだよ……。
きっと、親の命令に従って俺にを売っているに違いない。
うん……しだけ、相手してあげるか。
と、言いたいところだが、いい加減にしないとリーナの機嫌を直すのが大変になってしまいそうだ。
今だって、の外から俺たちのことを睨みつけているんだから。
あれ、絶対に怒っているよ……。
昨日、パーティーの間は一緒にいようって約束しちゃったからな……。
そんなことを考えているとリーナと目があった。
あれ? なんか、目に涙が……。
うん、急がないと。
「皆、ごめん。今日はお兄さんの誕生日だ。僕の所じゃなくて兄さんのところに行ってあげて。それじゃあ」
「あっ!」
「待って」
「行かないでください!」
俺は後ろ髪を引かれる思いでの子達から抜け出した。
彼たちには悪いことをしたな……。
でも、今はそれどころじゃない。
「ごめんリーナ。泣かないで」
「泣いていません!」
リーナはプイっと俺から顔を背けた。
あらら、本気で怒っていらっしゃいますね……。
「本當にごめんって」
どうしたら許してくれるだろうか……。
「機嫌を直してしかったら私を抱きしめてください」
そう言って、リーナはふくれっ面になりながらこっちを向いて來た。
「わかったよ……後でね」
それぐらいで直してくれるならいくらでもやりますよ。
逆に、俺が得じゃない?
「今です。ここでお願いします」
ん?
「ここ? ど、どうしたの急に」
どうしたの? リーナらしくないぞ?
「いいからしてください!」
「わ、わかったよ……」
リーナが余りにも不機嫌なので、抱きしめてあげることにした。
ちょっと、いや、めちゃくちゃ恥ずかしいけど仕方ない。
どこかから、「きゃ~」って悲鳴が聞こえてきた。
うん、注目の的になってるね。
「ふう、これでいい?」
周りからの視線が痛いが、もう開き直るしかないな。
「はい、これでレオくんは私のものだとアピールすることが出來ました」
「そ、そんなことを考えていたの!?」
リーナってもしかして、獨占強い?
今、抱きついているリーナの腕の強さ半端ないし……。
浮気したらヤバそうだな……。
「レオくん、今変なこと考えていませんでしたか?」
「う、うん。じゃなくて、考えてないよ」
「そうですか。それじゃあ、二・人・でパーティーを楽しみましょう」
「わ、わかったよ……」
腕をがっしり組まれてしまった。
これは逃げられそうにないな……。
あ、フランクだ! って、どうして近づいて來ないんだよ。
おい、逃げるな!
それから……二人で楽しい時間を過ごした。
うん、楽しかった。
これをきっかけに、俺に寄って來るの子は激減した。
そして、こんな噂が帝國貴族の間で有名になってしまった。
「レオ様は、聖様のお孫さんのことを溺されており、他の娘は立ちる隙が無い」
これを聞いた時は、間違ってはないけど……逆かな……と思ったり、思わなかったり。
まあ、この噂がシェリーの耳に屆かなかったことが幸いかな。
もし知られたら、もっと大掛かりなことをやってしまいそうだ……。
そんなじで、久しぶりのパーティーは終わった。
《次の日》
「いや~ 昨日の主役はレオに持ってかれたな~」
現在、兄弟三人で仲良く話をしていた。
「そ、そんなことないって」
「ククク、お前ら本當に仲が良さそうだったな。てかお前、既にに敷かれているんだな」
イヴァン兄さんは昨日のことを思い出しながら、笑っていた。
「そ、そんなことないもん!」
とは、言ったものの……昨日実してしまいました。
「レオも十歳か……早いもんだな。立派にまでして……赤ん坊だったころのレオが懐かしいよ」
急に父親みたいなことを言いだしてどうした?
「そうか、レオって十歳になったんだ。それじゃあ、もうすぐ寮生活が始まるんだね」
「寮生活……言われてみれば……」
そんなこと學校で言われていたような気がする。
「初等學校の寮生活か。懐かしいな」
「そうだね。僕達からしたら四、五年前だもんね」
「寮生活ってどんなじだった?」
やっぱり寂しいもん?
「どんなじ? そうだね……まあ、楽しかったよ」
「それだけ?」
楽しいならいいんだけど。
「まあ、楽しいから心配しなくても大丈夫だよ」
「そうなんだ。わかった。楽しみにしておくよ」
そこまで言うなら気にしなくて大丈夫か。
「うん、楽しみにしておくといいよ」
「そうだな」
「それより、兄さんの仕事の話を聞かせてよ」
イヴァン兄さんの仕事?
あ、そういえば、兄さんもう卒業しているんだった。
俺が魔法屋で頑張っている間に兄さんは就活してたのか……。
「俺のか? 特に面白くもないぞ?」
「いいから聞かせてよ。あれだけりたちって言っていた特殊部隊にれたんだから」
え!? そうなの? 特殊部隊にれたの?
初めて知った! これから、もうし家族に興味を持った方がいいな……。
「わかったよ。と言っても新人の俺は、毎日訓練ばかりだけどな」
「どんな訓練するの?」
「対人で戦闘訓練したり、魔を相手にして鍛えたり、今は戦闘技を磨いているぞ」
「そうなんだ。いつから本格的な仕事が始まりそう?」
「あと半年くらい先だったかな」
おお、思っていたよりも先だな。
兄さんが卒業してから半年は経っているだろうから、一年間も訓練だけをさせられるんだ。
流石、數鋭部隊だな。
「半年? わあ、頑張って強くならないとね」
「そうだな。クリフが皇帝になることが決まったんだ。俺も自力で隊長になってやるさ」
「本當、二人は仲がいいよね。付き合っているの? ってレベルだよね」
本當、ラブラブだよね~。
「つ、付き合ってねーし! 俺はちゃんとが好きだから! レオもそんな目で見るな」
あ、いけないいけない。
「あははは~~。そんなこと言って……好きな人出來たの?」
「い、いや……」
兄さんは小さな聲になり、アレックス兄さんから目をそらした。
「え? 何その反応……もしかして……彼出來たの?」
「い、いや……いない」
兄さんの顔がみるみる赤くなっていく……。
え? もしかして!?
「じゃあ、好きな人が出來たとか?」
「さ、さあ」
更に、イヴァン兄さんの顔が真っ赤になっていく……。
兄さんって、噓が出來ないタイプなんだね。
「うわ~誰? どこにいるの? どんな人?」
アレックス兄さんが容赦なく畳みかける。
「教えない! それより、話ならお前の方が言うべきだろ?」
「え? 僕? なんで? 兄さんならほとんど知っているじゃないか」
「いやいや、今度結婚するんだから是非とも俺がいない間に何があったか聞かせて貰わないとな? フィオナになんて言って結婚することになったんだ?」
実は、兄さんは學校を卒業すると同時に結婚することになっている。
俺も兄さんがどんなプロポーズをしたのか気になるな~。
ニヤニヤ
「さ、さあ~忘れちゃったな~」
「いいじゃないか~教えてくれよ~」
いつの間にか、さっきと構図が逆転してしまった。
この二人は、いつ見ても仲いいな。
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