《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》始まる寮生活
アレックス兄さんの人パーティーから數ヶ月が経った。
俺は二年生が終わり、もうすぐ三年生だ。
あ、それと、アレックス兄さんが結婚した。
二人とも凄くお似合いだったよ。フィオナさん綺麗だったな~。
ただ、結婚式にイヴァン兄さんが參加できなかったのはちょっと殘念かな。
今、イヴァン兄さんは訓練最後の試練で、どこかのダンジョンに挑んでいるそうだ。
まあ、仕事だから仕方ないし、本人が一番殘念に思っているだろうからなんとも言えないね。
きっと、ダンジョンを討伐した報告を結婚祝いに持って帰って來てくれるさ。
そんなことを考えつつ、現在俺は寮生活の準備をしていた。
もうすぐ三年生になる俺は、來月から寮生活だ。
それで、今日は自分の荷を寮に持ち込む日になっている。
家などは既に置いてあるみたいだから、服や本、俺が作ったガラクタ(魔法)をリュックに詰めて、荷造りはすんなりと終わってしまった。
「よし、寮に向かうか」
一緒に荷造りをしていたベルにそう言った。
「はい、どんな寮なのか楽しみですね」
「うん、そうだね。部屋は広いといいな」
「アメリーさんに聞いたのですが、階級ごとに部屋の大きさが違うみたいですよ」
え? それを言われると複雑な気持ちになるな……。
きっと、下の階級の人は狹い部屋に住まされるんだろうな。
まあ、學校に寄付している額が違うからとかなんだろうけど……。
それから、學校の敷地にある指定された寮に向かった。
「ここが俺の部屋?」
俺の部屋であろう扉の前でベルに聞いてみた。
「そうみたいですね」
なら良かった。
俺の部屋は最上階で、日當たりが良いところだった。
「あ、フランクが隣だ。後で覗いてみよう」
隣の部屋にフランク・ボードレールと書かれていた。
「お友達ですか?」
「うん、友達みたいな従兄弟だよ」
「そうなんですか。隣で良かったですね」
「うん。これから気軽に遊びに行けるよ。それじゃあ、中にろうか」
「わかりました。今、鍵を開けますね」
それから、ベルと一緒に部屋の中にった。
「おお、思っていた通り広い! てか、何部屋あったんだ?」
「レオ様の部屋、レオ様の寢室、メイドの部屋、リビング、ダイニングの五つです」
五、五部屋? 絶対使わない部屋がでてくるぞ?
「多すぎだろ。ダイニングがあるってことはこの寮は食堂ないの?」
ここまで運んで來てもらうの?
「ありますよ。でも、利用するのは下級貴族のご子息だけです」
え? 上流階級だけの特権なの?
「どうしてそこまで上下を區別しようとするかな……」
貴族のプライドは金の無駄だな。
「それじゃあ、持って來たを並べてしまいましょう」
「わかった。それにしても、これ管理するの大変だな。ベル一人で大丈夫?」
部屋多いし、掃除とか大変そう。
「大丈夫です。任せてください!」
俺が聞くと、元気よく答えてくれた。
「うん、任せるよ」
本當、初めて會った時のベルとは大違いだな。
あの失敗ばかりしていたベルは、どこにいってしまったのか……。
そんなことを考えながら、荷運びをさっさと終わらせてしまった。
持って來たの量に対して収納が多すぎるから、全然時間が掛からないで済んだ。
《一週間後》
明日から、俺は三年生だ。
學校が始まる前日である今日から、寮生活が始まる。
「今日からベルとここで二人暮らしだ。ベルは、これから一人でいる時間が多くて寂しくさせちゃうね」
俺が學校に行っている間、いつもなら他のメイドや執事がいるのに、明日からはベル一人だ。
「大丈夫ですよ。部屋の掃除でもしていれば寂しくありません」
「そう? なんかごめんね」
なんか、申し訳ないな。
「大丈夫ですよ。それに、これがメイドの仕事なので」
「うん……わかった。これからなるべくここにいるようにするよ」
申し訳ないな……。
これから、師匠のところに行くのは控えよう。
「気にしないでください! 私はメイドですから」
「そんなこと言わないでよ。俺からしたら、ベルも家族みたいなもんだよ」
もう二年間も俺の傍にいるんだからね。
うん、ベルの頭をでてあげよう。
「あ、ありがとうございます……」
ベルはちょっと恥ずかしそうに頭をでさせてくれた。
「それじゃあ、夕飯を食べようか」
「はい。では、取って參りますね」
「あ、そういえばベルが取って來ないといけないんだったね。俺が取りに行くのはダメなんだよね?」
「はい、絶対にやめてください。私が使えないメイドと言われてしまいます」
俺が何か言われても平気だけど、ベルがそんなことを言われるのは嫌だな……。
ここは任せるしかないな。
「うん、わかった。大変だったら言ってね?」
「心配しなくても大丈夫ですよ。それに、レオ様に教えて頂いた無屬魔法がありますので、重いでも楽々運べますよ」
「わかったよ。じゃあ、お願い」
「はい。取って來ますね」
それからしばらくして、ベルが臺車を押して戻って來た。
「持って來ましたよ。今から並べますからね。あ、レオ様は手伝わないで席に座っていて下さい!」
俺がこうと思った瞬間に止められてしまった。
「わ、わかったよ……」
仕方ない、大人しくしているか……。
それから、俺の前に料理を綺麗に並べてくれた。
「それじゃあ、お召し上がりください」
「う、うん……ねえ、ベルの分はないの?」
ベルが、俺が食べ終わるまで後ろで立っていそうな雰囲気だったので、思わず聞いてしまった。
「ありますよ。後で、自分の部屋で食べさせてもらいます」
「あるの? それじゃあ、一緒に食べようよ」
一人で、見られながら食べるのも嫌だし。
「いえ、私のことは気にしないでください。私は、後で自分の部屋で……」
「いいじゃん。一人で食べるのも寂しいから。ね?」
「食べている間、私もここにいますので大丈夫ですよ」
うぬぬ、今日のベルは頑固だな。
「駄目なの?」
「はい、ダメです。私はメイドですから」
どうしてそこまで頑なに斷るんだ?
「うん……じゃあ、こうしよう。ご主人様命令、そこに座って一緒にご飯を食べなさい」
「そこまでするんですか? わかりました……」
ベルは諦めて、俺の前に料理を並べて座ってくれた。
「うん、これで味しくご飯を食べられるね」
やっぱり、誰かと一緒に食べるとご飯は味しい。
「私がいてもいなくても味は変わりませんよ?」
「味は気持ち次第で変わるもんだよ?」
「そうですか……」
ベルは不機嫌そうに食べ始めた。
「うん……今日のベル、なんだか冷たいな~。いつものベルならもっと優しいのに」
俺、泣いちゃうよ?
「そ、そうですか?」
「そうだよ。そんなに責任をじなくていいんだよ?」
「いえ、でも今日から私一人ですから……」
うん、絶対気負い過ぎているよ。
「だから、大丈夫だって。それに、いつものベルじゃないと俺、寂しくて泣いちゃうよ?」
これで、ちょっとはいつも通りに戻ってくれるかな?
そんなことを思いながらベルの顔を見ていると……ベルの目に涙が溜まり始め、今にも決壊寸前だった。
そして……
「うえ~~~ん」
大きな聲で泣き始めてしまった。
「ちょ!? 泣かないで! ごめん、無理を言い過ぎた!」
「違います! 私が悪いんです! レオ様に寂しい思いをさせないよう、アメリーさんから頼まれていたのに……私、仕事のことに必死になり過ぎてしまって……本當にごめんなさい」
わかったから!
そんなに泣きながら謝れたら、こっちまで謝りたくなっちゃうよ!
仕方ない……
「大丈夫だって……もう」
俺はベルに近づき、抱きしめて背中をってあげた。
「これからなんだから、初日からそんなに気負わないで。ベルなら大丈夫。だから、明るいベルでいてよ」
「ぐす、はい……わかりました」
ふう、なんとか承諾してくれたようだ。
それから、ベルが落ち著くまで背中をってあげた。
「それじゃあ、一緒にご飯を食べようか?」
「わかりました」
やっと泣き止んだベルは、俺の質問に笑顔で答えてくれた。
その日の夕飯は、冷めていたけど凄く味しかった。
やっぱり、二人で一緒の方が味しいよね?
- 連載中172 章
【書籍化・コミカライズ】実家、捨てさせていただきます!〜ド田舎の虐げられ令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される〜
【DREノベルス様から12/10頃発売予定!】 辺境伯令嬢のクロエは、背中に痣がある事と生まれてから家族や親戚が相次いで不幸に見舞われた事から『災いをもたらす忌み子』として虐げられていた。 日常的に暴力を振るってくる母に、何かと鬱憤を晴らしてくる意地悪な姉。 (私が悪いんだ……忌み子だから仕方がない)とクロエは耐え忍んでいたが、ある日ついに我慢の限界を迎える。 「もうこんな狂った家にいたくない……!!」 クロエは逃げ出した。 野を越え山を越え、ついには王都に辿り著く。 しかしそこでクロエの體力が盡き、弱っていたところを柄の悪い男たちに襲われてしまう。 覚悟を決めたクロエだったが、たまたま通りかかった青年によって助けられた。 「行くところがないなら、しばらく家に來るか? ちょうど家政婦を探していたんだ」 青年──ロイドは王都の平和を守る第一騎士団の若きエリート騎士。 「恩人の役に立ちたい」とクロエは、ロイドの家の家政婦として住み込み始める。 今まで実家の家事を全て引き受けこき使われていたクロエが、ロイドの家でもその能力を発揮するのに時間はかからなかった。 「部屋がこんなに綺麗に……」「こんな美味いもの、今まで食べたことがない」「本當に凄いな、君は」 「こんなに褒められたの……はじめて……」 ロイドは騎士団內で「漆黒の死神」なんて呼ばれる冷酷無慈悲な剣士らしいが、クロエの前では違う一面も見せてくれ、いつのまにか溺愛されるようになる。 一方、クロエが居なくなった実家では、これまでクロエに様々な部分で依存していたため少しずつ崩壊の兆しを見せていて……。 これは、忌み子として虐げらてきた令嬢が、剣一筋で生きてきた真面目で優しい騎士と一緒に、ささやかな幸せを手に入れていく物語。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※書籍化・コミカライズ進行中です!
8 173 - 連載中344 章
異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンに入りたい! えっ、18歳未満は禁止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育成しようか
異世界から帰ってきた楢崎聡史と桜の雙子は、胸躍る冒険の日々を忘れられなくて、日本に発生したダンジョンに入場しようとする。だが〔18歳未満入場禁止〕という法律の前に、二人の希望は潰えてしまった。そこに救いの手を差し伸べたのは、魔法學院の學院長。二人の能力に気が付いて、即戦力としてダンジョンの攻略をさせようと、學院への編入を勧める。ダンジョンに入る権利を手に入れようと試験を受ける二人…… だが彼らの想像以上に、日本の魔法はレベルが低かった。異世界帰りの高いレベルと數多くのスキル、そして多種多様な魔法を生かして、學院生活を送りながらダンジョンを攻略する雙子の活躍に、次第に注目が集まっていく。 肩の力を抜いて読める內容です。感想等お寄せいただけると、とても嬉しいです!
8 193 - 連載中246 章
【洞窟王】からはじめる楽園ライフ~萬能の採掘スキルで最強に!?~
【本作書籍版1~2巻、MFブックス様より発売中】 【コミックウォーカーで、出店宇生先生によるコミカライズ連載中】 【コミック1巻~2巻、MFC様より発売中】 サンファレス王國の王子ヒールは、【洞窟王】という不遇な紋章を得て生まれた。 その紋章のせいで、ついには父である王によって孤島の領主に左遷させられる。 そこは當然領民もいない、草木も生えない、小さな洞窟が一つの孤島であった。 だが、ヒールが洞窟の中でピッケルを握った瞬間、【洞窟王】の紋章が発動する。 その効果は、採掘に特化し、様々な鉱石を効率よく取れるものだった。 島で取れる鉱石の中には、魔力を増やす石や、壽命を延ばすような石もあって…… ヒールはすっかり採掘に熱中し、いつのまにか最強の國家をつくりあげてしまうのであった。 (舊題:追放されたので洞窟掘りまくってたら、いつのまにか最強賢者になってて、最強國家ができてました)
8 101 - 連載中86 章
俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です
簡単に自己紹介をしておこう。 俺は、高校生だ。確かに、親父に騙されて、會社の取締役社長をやっているが、俺だけしか・・・いや、幼馴染のユウキも社員になっていた・・・と思う。 俺の親父は、プログラマとしては一流なのだろうが、面倒なことはやらないとという変わり者だ。 そんな親父に小學生の頃から、プログラムやネットワークやハードウェアの事を叩き込まれてきた。俺が望んだと言っているが、覚えているわけがない。 俺が、パソコンやネットワークに詳しいと知った者からお願いという名の”命令”が屆くことが多い。 プログラムを作ってくれとかなら、まだ話ができる。パソコンがほしいけど、何がいいくらいなら可愛く感じてしまう。パソコンが壊れた、辺りの話だと、正直何もできないことの方が多い。 嫌いな奴が居るからハッキングしてくれや、元カノのスマホに侵入してくれ・・・犯罪な依頼も多い。これは、”ふざけるな”斷ることができるので気持ちが楽だ。それでも引き下がらない者も多い。その時には、金銭の要求をすると・・・次から話にも來なくなる。 でも、一番困るのは、”なんだだかわからないけど動かない”だ。俺は、プロでもなんでもない。 ただただ、パソコンが好きで、電脳世界が好きな”一般人”なのです。 そんな”一般人”の俺に、今日も依頼が入ってくる。
8 128 - 連載中67 章
チート特典スキルは神より強い?
とある王國の森の子供に転生したアウル・シフォンズ。転生時に得たチート過ぎるスキルを使い、異世界にて歴史、文明、そして世界一の理すらも変えてしまう? これはとある男が10萬回、地球への転生を繰り返し集めた一億もの特典ポイントを使い、チートスキルを得て異世界にて無雙&地球には無かった楽しみを十分に満喫するお話。
8 147 - 連載中33 章
夢見まくら
射的で何故か枕を落としてしまった兼家海斗は、その枕を使って寢るようになってから、死んだはずの幼なじみ、前橋皐月が出てくる夢ばかりを見るようになった。そして突然、彼の日常は終わりを告げる。「差し出しなさい。あなたたちは私達に搾取されるためだけに存在するんですから」絶望と後悔の先に――「……赦してくれ、皐月」――少年は一體、何を見るのか。
8 99