《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》魔法試験 前編

の試験が終わり、それから國語、歴史の試験を解いた。

まあ、どっちも俺やフランクにとっては特に問題ない容だった。

ただ、まあ案の定、ヘルマンは撃沈していた。

「はあ、師匠……三年生でお別れです。どうか、僕のことは忘れないでくださいね」

ヘルマンは、魂が抜けてしまったのかと思うくらい、覇気が無かった。

もう、さっきからこんなじだ。

「だからそんな落ち込むなって、俺が一年間でどうにかしてやるって言っただろう?」

「ありがとうございます……これから、師匠の期待を裏切らない為にも必死で努力します」

「ちゃんと健康には気をつけるんだよ?」

ヘルマンは本當に死ぬ気でやるからな……。

「わかっています。死んでしまったら頑張っている意味がありません。死なない程度に頑張ります」

「お、おう……」

なんだろう……元気がないヘルマンは凄い違和しかないんだけど?

「まあ、元気を出せよ。次の時間でテストは終わりなんだから」

「本當ですか!? 次の時間は何のテストですか?」

お、し元気になった。

「えっと、魔法……だ」

俺は、言ってから後悔した。

「まあまあ、魔法のテストは実技と筆記が半々だから……あ、なんでもない」

完全に元気をなくしたヘルマンを見て、俺はこれ以上喋ることをやめた。

「え~。それでは、魔法のテストを始めます。前半は、教室で筆記のテストを行います。そして、筆記のテストが終わり次第、訓練場に移して実技のテストを行います」

それから、先生が問題を配り、筆記の時間が始まった。

容は、魔法を使うには何が必要か、基本屬にはどのようなものがあるか、魔力の鍛え方などの基本的な問題が出た。

まあ、授業は真面目にけてなかったけど、昔読んだ本で書かれていたことをそのまま書いたから大丈夫だろ。

筆記が終わり、俺たちは訓練場に移した。

している時に、フランクの顔を見たら余裕そうな顔をしていた。ヘルマンの顔は……うん、これから頑張ろうな。

訓練場は、いつも俺たちが魔法の実技の練習をしている場所だ。

授業中ほとんどの時間、俺とヘルマンはどうせ魔法を使えないからと先生にはほっとかれている。

最初の頃は何もすることがなくて暇だったな~。

俺は、一応魔法を使えるから練習に參加しても良かったんだけど……ヘルマンが可哀そうだったから二人で訓練場の端の方にいた。

暇だったけど、ヘルマンが無屬魔法を完全に使いこなせるようになった辺りから、二人で無屬魔法を使ったの練習をしていた。

だから、実技の時間は楽しい印象が強い。

「それじゃあ、これから順番に実技の試験を行います。容は簡単、いつも練習でやっていることです。これから、あの的に好きな魔法を當ててくれればいいです。威力の大きさを見て點數をつけますので、全力で魔法を撃ってください」

どうやら、試験の形式はいつも授業でやっていることの延長みたいだ。

「それじゃあ、呼ばれた順番に的に魔法を撃ってください。まずは姫様」

さっそく、シェリーか……大丈夫か? 全力でやったら後ろの壁まで壊してしまいそうだが……。

「はい。それじゃあ」

先生に呼ばれて、シェリーは張するわけでもなく、無表で的に手を向けて特大な雷魔法を撃った。

おいおい……學校が壊れちゃうぞ……。

そんなことを思いつつ、魔法が的を突き破って行くのを見ているのを見ていると……意外なことが起こった。

噓だろ?

壁が魔法を消滅いや、吸収したぞ。

もしかして、あの壁は魔法なのか?

凄いな……あれ、そこそこ高価なんだけどな。

流石、貴族の學校だな。

そんなことを思っていると、シェリーが俺を見てニコっと笑ってきた。

長したでしょ? ってことかな?

俺はとりあえず頷いておいた。

「流石ですね。それじゃあ、次はフランクくん」

「わかりました」

シェリーの後にやるのが嫌そうなフランクは、手に土の塊を作って的に向けて撃った。

これもなかなかの威力で、的を打ち抜いた。

「ふう」

「それじゃあ、次は……レオンスくん……やる意味が無いので次の人に行きます。それじゃあ、「ちょっと待って」ん?」

「どうしてやる意味が無いと決めつけるの?」

シェリーが先生に文句を言った。

「え? 何を言っているんですか? ああ、現実逃避をしているんですか。それじゃあ、教えてあげましょう。あなたの婚約者は無能なんですよ。屬を持たない無能。だから、やる意味が無い。ただ、それだけです」

うん……俺が馬鹿にされる分には別に構わないんだけど、シェリーにそういうことを言うなら、怒らないとだな。

「先生、俺は「レオは無能なんかじゃないわ! あなた、今すぐ訂正しなさい!」」

俺が話そうとすると、被せるようにシェリーが怒鳴り聲が聞こえてきた。

慌てて、シェリーの方を見ると、顔を真っ赤にして怒っていた。

「こ、これはすみません。で、ですが、私は事実を言ったわけでして……」

先生は慌てて言い訳をした。

まあ、下手したら不敬罪で自分の首が飛ぶからな。

「事実かどうかはレオにやらせてみてから言いなさいよ!

レオ! もう、実力を隠さないであなたの本気をこの無能教師に見せてあげなさい!」

シェリーはそう言って、俺のことを睨んできた。

お、おう……べ、別に隠していたわけじゃないぞ?

ただ、學校で使う機會が無かっただけだからね?

「早く見せてよ! もう、あなたが無能なんて言われているのを聞きたくないわ」

そう言うシェリーの目には涙が溜まっていた。

あ……泣かせてしまった。

どうやら、思っていた以上に辛い思いをさせてしまっていたらしい。

「ごめんって、わかったよ。だから泣かないで」

「泣いてないわ!」

目をって強がるシェリーに笑顔で頷いた。

それから、俺は笑顔を消して振り返った。

「それじゃあ、よく見ていてくださいね? 先生」

「あ、ああ」

先生は顔面蒼白だった。

シェリーに無能教師と言われて、泣かせてしまったわけだからな。

この後の処罰が怖くて仕方が無いだろう。

まあ、俺にはどうでもいい話だが、シェリーを泣かせたんだからその罪を償ってしいところだな。

そんなことを思いつつ、俺は手に雷魔法を創造した。

大きさはシェリーと同じ大きさだ。

全力でやったら、學校を壊してしまうかもしれないからな。

それを的に向けて撃ち出す。

魔法は綺麗に的を突き破って、壁に當たって消滅した。

これで満足かな? っとシェリーに向けて笑顔で振り向くと、シェリーも笑顔で頷いてくれた。

「う、噓だ。噓だ……無能が、無能がどうして魔法を……そうだ! ズルをしたな! わかった。魔法を使ったな? 絶対そうだ!」

そんな聲が聞こえた。

おいおい、何を言っているんだこいつは?

「絶対にお前が魔法を使えるんなんてありえない。ありえないんだ!」

「先生、現実逃避なんてしないで現実をけ止めてくださいよ。

あなたが無能と罵っていた生徒が、ちゃんと魔法を使えたことを。

まあ、それを認めてしまったら先生の立場が危ういかもしれないかもしれませんがね」

自分で言っていて格悪いなと思ってしまった。

でも、シェリーを泣かせたわけだし、しっかりと責めておかないといけない。

まあ、半分は実力を示さなかった俺が原因だから謝ってくれたら許すけど。

そんなことを考えていると、先生が口を開いた。

「な、何を言っているんだ! 私が現実逃避?

ふざけるな! この卑怯者め!

どうせ、高能な魔法を使ったんだろ? 私は知っているんだからな!

最近、屬を持っていない無能でも魔法を使えるという、糞みたいな魔法が発明されたことを。

お前、それを使ったんだな? お前は失格だ。退學処分にする」

「はあ? 魔銃のことですか? そんなの手を見れば持っていないことなんて一目瞭然じゃないですか」

それに、お前には俺を退學に出來るほどの権限は持っていないだろ?

「う、うるさい! どうせ見つけられないように隠し持っているんだろ!」

「まったく……何を言っているんですか? そんな、見てもわからないくらい小さい魔法なんて作れるはずがないことは、この中で魔法の先生であるあなたが一番知っているんじゃないんですか?」

魔法には魔石、魔法陣、外枠が最低でも必要。

ということは、必然的に魔石より大きな魔法になってしまう。

そんな、手に持っていたら流石にわかるだろ。

「う、う……」

どうやら、論破できたようだ。

素直に謝ってくれれば一件落著なんだけどな。

「いや、絶対にズルだ! ズルをしているんだ! そうじゃないと説明がつかない! お前は無能じゃないといけないんだ!」

それだけ言って、先生は訓練室を出て行ってしまった。

「ちょ? 噓だろ? あいつ……試験の途中だぞ?」

他の人の試験はどうするんだ?

先生が出て行った方向を見ながら、唖然とした。

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