《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》魔法試験 後編

魔法の先生であるヘロンダス先生がいなくなってから、俺たちは唖然としていた。

どうすればいいんだ?

「仕方ない……職員室に行って他の先生を呼んでくる」

「待って、私もついて行く!」

仕方ないから、職員室に行くことにするとシェリーもついて來た。

「それじゃあ皆はここで待ってて」

「皆、あなたの魔法に驚き過ぎて黙り込んでいたわね」

確かに言葉を失っていたけど……たぶん、俺の魔法が原因じゃないと思うぞ?

「私は嬉しかったけどな~。あの無能教師の焦り合と言ったら……本當、ざまあみろよね」

の子がそんな汚い言葉を使ってはいけません。

まあ、俺もスカッとはしたけど。

「リーナも喜んでいたわよ。端の方で満面の笑みであなたのことを見ていたもん」

シェリーに言われて、嬉しそうに微笑んでいるリーナが頭の中で浮かんできた。

まあ、前から俺が無能って言われているのを嫌がっていたからな……。

 

「すみませ~「だから、私は悪くない! あの無能野郎が悪いんだ!」」

職員室にると、ヘロンダス先生が大きな聲で騒いでいた。

「一旦落ち著いてください。どうしたんですか? 説明して貰わないと何があったのかわかりません」

対応している男の先生は、何がどうしたのかわかっていないみたい。

凄く戸っていた。

いい大人がただ騒いでいるだけだからな……。

「すみませ~ん」

ヘロンダス先生が騒いでいるところを見ていても、ただの時間の無駄だから、もう一度職員室にいる先生に聲をかけた。

「はい。あ、姫様とレオンスくん。どうしたんだい?」

ヘロンダス先生の相手をしていた先生が、俺たちのことを気づいてくれた。

「えっと……そこにいる先生が突然試験中にいなくなってしまったので、どうしたらいいのか聞きに來ました」

ヘロンダス先生に目を向けながら、先生に事を説明した。

「ああ、そうだったのか。それじゃあヘロンダス先生、さっきの話は後で聞きますので試験の続きをしてあげてください」

「うるさい! こいつが悪いんだ! 全てこいつが!」

はあ、子供かよ。大人なんだから仕事ぐらいちゃんとやってくれよな……。

「ちょ!? 生徒に向かってこいつとはなんですか? 流石に私も怒りますよ?」

「うるさい! こいつは何かズルをしたんだ! 私は悪くない!」

うん、時間の無駄だな。

「はあ、ごめんなさい姫様、レオンスくん。今、他に魔法を教えられる先生を向かわせるから訓練場に戻っていてくれるか?」

先生も俺と同じことを思ったのか、ヘロンダス先生のことは諦めたようだ。

「わかりました」

対応している先生が見ていて可哀そうだったので、さっさと職員室から出ることにした。

「なんか、子供みたいだったね」

「そうだね。自分の思い通りにならないから怒っているんだろうけど、先生としてどうなのかな?」

てか、先生以前によく今まで大人として生活できていたよな。

「ただいま。他の先生が來るって」

「了解。で、さっきの魔法はどうやったのか教えてくれよ」

俺が報告すると、フランクが詰め寄って來た。

「え? 魔法?」

「惚けるなよ。どんな手を使って魔法を使ったんだ? まさか、今まで実は魔法を使えましたとか言わないよな?」

「え……と、実は使えました。俺の創造魔法は、一度見た魔法を同じように造ることができるんだ」

「本気で言っているのか? それじゃあ、これまで魔法を使えないふりをしていたのか?」

ふりなんてしていたか?

「ふりなんてしてないよ。ただ、勝手に使えないと思われていただけだから」

全ては、あの魔法教師がそう思わせていただけだ。

俺は悪くない。

「実際、無屬魔法は皆の前で使っていたわけだし」

「あ、ああ。実技の時間、ヘルマンとやっていたあの人間離れした組手のことか?」

「そう」

いつも派手にやってるでしょ?

「言われてみればそうだったな……」

「うんうん。師匠が無能どころか、超人なのが皆に理解して貰えて嬉しい限りですね」

フランクが難しい顔をしながら納得していると、ヘルマンが満面の笑みで話に加わって來た。

「あ、ああ」

そういえば、ヘルマンには創造魔法を見せたことがあったな。

「遅くなってごめんなさい。ヘロンダス先生の代理で來ました。これから試験の続きをしたいと思います。皆さん、時間が無いのでスピーディーにやりますよ」

しばらく待っていると、若いの先生がって來た。

そして、先生の言っていた通りに、効率よく次から次へと試験が進んでいった。

それから、遂に問題のヘルマンの番になった。

「先生、すみません。僕、魔法を使えません」

ヘルマンは申し訳なさそうに先生に言った。

「ああ、屬が無いのね……わかったわ。

そんなに気にしないでいいわよ。

だって、魔法を使えなくても他を磨けばあなたは輝くことが出來るのだから。

例えば、あなたには魔法を使わなくても誰にも負けないような剣を持っているでしょ?」

「はい……え? どうして剣が得意なことを?」

「あなた、職員室で有名になっていたわよ。勇者様のお孫さんと一緒に試験擔當の教師を倒してしまったって」

なるほど……って! 俺も職員室で話題になっているのかよ。

「そ、そうなんですか……」

急に褒められたからか、ヘルマンは戸っていた。

「だから、自信を持ちなさいって。そうすれば、あなたは何にでもなれるわ」

そう言って、先生がバンと背中を叩いた。

「は、はい!」

背中を叩かれたヘルマンは、何かスイッチがったのか、力強く返事をした。

「うんうん。それじゃあ、ラスト。リアーナちゃん。やってしまいなさい」

「は、はい……」

最後のリーナは最後なのもあり、張していた。

くしながらの塊を作り、深呼吸してから的に向けて撃った。

的に當たると、の塊は綺麗に霧散してしまった。

まあ、聖魔法は攻撃魔法じゃないからな。

當たれば、こうなる。

「す、すごい……普通、聖魔法は近距離で使う魔法なのに……それを飛ばしたの? 流石だわ……」

へ~。そんなに凄いことなんだ。

先生の言葉に、リーナのことを心していると、リーナが俺の方を見て褒めてという顔をしてきた。

流石に、皆がいる前では頭をでてあげることは出來ないから、笑顔で拍手のジェスチャーをしてあげた。

それにしても、代理で來た先生が凄くいい先生だな。

生徒のことをめながらやる気にさせたり、的確にいいところを褒めたりと……あいつとは大違いだな。

「それじゃあ今日はこれで終わり、レオンスくんだけ聞きたい事があるからついて來てね」

まあ、そうなるか。

あいつの様子を見る限り、先生たちには何があったのかわからないだろからね。

それから、先生と個室で面談をすることになった。

「それで、何があったのか……あなたの目線から教えてくれる?」

「わかりました……」

それから、何があったのか細かに説明した。

「なるほど……」

それから先生はふぅと一息ついてから話し出した。

「わかったわ。まあ、あの人を庇う人はいないだろうから。あなたはそこまで心配しなくていいわ」

え? 誰も庇わないの?

「そうなんですか?」

あの人、先生の間でも嫌われてるの?

「ええ、今までいろいろと嫌われるようなことをしてきましたから。今回の抜き打ち試験だって、彼が言い出したんですよ」

「え? どうして?」

てか、何のために?

「知ってる? 先生たちは、自分のクラスからSクラスになるべく多い人數出さないといけないの。Sクラスをたくさん出した先生がその學年のSクラスの面倒をみることが出來るの」

そんな決まりがあるの?

「そうだったんですか……Sクラスの先生になると何か変わるんですか?」

「簡単に言うと出世できるのよ。先生たちはSクラスの擔任になった數に応じて給料が増えていくの」

「な、なるほど……」

そうやって、先生たちのやる気を引き出すやり方か……。

「話を戻すと、ヘロンダス先生は抜き打ちテストで一番だった生徒のクラス替えテストを免除しようと校長先生に提案したの。先に自分の生徒たちには、テストの存在を教えているのにね」

「そうだったんですか……」

あいつならやりそう……。

「まあ、その計畫はあなたに壊されてしまったみたいだけどね。あなた、職員室で話題になっているわよ。今のところ全て満點だってね。斷トツ一位ね」

「それ……僕に教えていいんですか?」

「ええ、だって今回のテストで一位になった人の特典は無効になったもの」

無効!?

「ああ、ヘロンダス先生?」

今回の悪事がバレたから無効になったのか。

「そうよ。あの人が裏で自分の生徒にテストの問題を配布していたことがさっきわかってね。だから、今回のテストは無効になったの」

問題配布? ああ、自分の教えている教科なら先に教えられるか。

「あの人……そこまでやってたんだ……」

そこまでしてSクラスの人數を稼ぎたかったのか……。

「そうよ。だから今頃、あの人は學園から追い出されているんじゃないかしら」

「もう追い出されているんですか?」

追い出されるにしても、早くないか?

もっと事聴取をした方がいいんじゃないのか?

「ええ、今までもコソコソと規律違反をしていたからね。流石に校長先生も庇えなくなったから、その場でクビになったわ」

「そうだったんですか……」

まあ、あいつのことだから今回が初めてのわけがないか。

てか、今まで校長先生に庇って貰っていたのかよ。

「でも、もったいないわね。あの人、ああ見えて優秀なのよ」

「そうなんですか?」

あの人が優秀だと?

「ええ、宮廷魔師でもトップになれる程度には強いのよ」

宮廷魔師って、帝國の魔法使いだけで編された軍隊のことだよな?

そこのトップになれる強さ?

「え? どうしてそんな人が教師に?」

教師にならなければよかったのに……。

絶対、あいつは教師に向いてないぞ。

「あの人の親って、この學校の創設者なの」

「なるほど……親の跡を継ぎたかったのか……」

親が創設者なら、そこで教師になりたいとか思うか。

「どうなんでしょうね? あの人に限ってそんなことは無いと思うんだけど」

うん……と先生が考え込んでいた。

どうなんだろう? あの人にも立派な教師になりたいとか夢があったのかな?

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