《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》お寶探し②
「ねえ、レオくんは誰と話しているの?」
ユニスはモニターを見ながら、イヴァンに質問した。
「さあ? 獨り言だと思うぞ」
「それにしては、隨分と大きな獨り言ね。まるで誰かと話しているみたいだわ。それに、金庫の場所も誰かに教えて貰っているように見えるわ」
「言われてみれば、金庫にたどり著くまで寄り道一つしなかったな。それに、初めて行く場所なのに、金庫があんなところにあるなんて知っていたのも不思議だし……」
そんなことを言いながら、イヴァンは首を傾げた。
「レオ様の特別な力なのでしょうか?」
二人の會話に、フレアもって來た。
「どうなんだろう? あいつ、スキルは転移だけしか持っていなかったはずだけどな。もしかすると、隠れていくつもダンジョンを踏破している可能はあるけど」
ユニス、イヴァン、フレアの大人三人組は、レオのことはほとんど知らないので、誰と話しているのかなどわかりようがなかった。
それに比べて、アンナの存在を知っているシェリーたちは、そんなことよりもお寶に夢中だった。
「あのお寶見た? あんなに大きな金庫にびっしりと詰まっていたわよ」
興しながら、シェリーがリーナとベルに話しかけていた。
「凄かったですね。どうやったら、あんなに蓄えることが出來るのか不思議です。それにしても、何事もなくて良かったです」
リーナは、シェリーと同様にお寶に興しつつも、しホッとした表をしていた。
「そうですね。アンナさんのおかげです」
ベルは安心しつつ、アンナに謝をしていた。
「あのゴーグル、凄すぎるわよ。どうやったら、あんなが造れるのかしら? 創造魔法って便利過ぎるわ」
「本當、便利ですよね。さっきだって、その場で鍵を造ってしまったり、金庫を改造してしまったり、ズルいことしていましたね」
「そうね。でも、まだ寶探しは終わりじゃないんでしょ?」
「はい。レオ様が、さっきの左側にあった部屋にるとアンナさんと會話していました」
シェリーの質問にベルが答えた。
ベルは、アンナの聲が聞こえないはずなのに、頭の中で會話していたことになっていた。
「左側の扉があったわね。そっちには、何があると思う?」
そんなことを言いながら、シェリーはまだお寶が眠っていることを期待していた。
「さあ? 私は、人には見られたくないものを隠しているのではないかと思いますよ」
「え? お寶じゃないの?」
リーナに否定されてしまったシェリーは、思わず聞き返してしまった。
「はい。違うと思います」
リーナはきっぱりと言い切った。
「そ、そう……」
リーナに斷言されてしまったシェリーは、しょぼんとしながら再びモニターに目を向けた。
SIDE:レオンス
「さて、左側の部屋は何かな……」
現在俺は、金庫の部屋から出て來て、左側の扉に手をかけていた。
いったい、何があるかな……。
(牢屋になっております)
「ろ、牢屋?」
お寶を期待していたのに、隨分と騒ながあったな。
(はい。どうやら、全員奴隷のようです)
奴隷?
「どういうこと? あいつは、奴隷を牢屋にれていたの?」
奴隷を買うのは人の勝手だから文句は言わないけど……わざわざ牢屋にれるのは意味がわからないな。
だって、奴隷は主人の命令に従うしかないんだから、わざわざ牢屋にれる必要はない。
(はい。違法奴隷なので、誰かに見つかることを避けるために隠していたのではないかと思います)
違法奴隷? どっかから、拐して來たってこと?
「なるほど……あいつはそこまで屑人間だったのか……」
絶対、あいつは楽に死なせてやらねえと心の中で決めながら、俺は扉を開けた。
中にると、本當に牢屋が並んでいた。
ただ、余りにも人の気配がしなかった。
え? もしかして死んでしまっているってことはないよな?
俺は焦って、一つの牢屋を照らすようにワナテラスをかした。
すると……牢屋の隅に、ブルブルと震えているのがいた。
よく見ると、本で見たことがある耳が尖がっているエルフだった。
「だ、大丈夫ですか?」
俺は慌てて牢屋に駆け寄った。
「あ、あなたは……?」
エルフのは俺の顔を見て驚いた顔をしたが、すぐに元の怖がっている表に戻ってしまった。
「えっと……レオンス・ミュルディーンです。 えっと……ここの新しい領主で、ゴッツの悪事を暴きに來ました」
どうしたらいいのかわからないから、とりあえず名乗ることにした。
エルフのは、俺の自己紹介を聞いて、し安心した表になった。
「そ、そうですか……私は助かるのですね?」
「ええ。だから、安心してください」
「ありがとうございます。私のことはいいので、先に他の人を助けてあげてください」
やっぱり、他にもいるんだね……。
「わかった。アンナ、ここに何人いるの?」
(十三人です)
「十三? わかった。それと、ここに明かりはないの?」
この暗さだと、中の様子がわからない。
(ありますよ。スイッチは、扉の隣にあります)
「あ、本當だ」
そう言ってスイッチをれると、牢屋の中だけが照らされた。
「変なことに金をかけやがって……」
後でゴッツにどんな罰を與えようか考えながら他の牢屋を見ていくと……獣人やエルフが牢屋の端でを震わせていた。
「皆、怖い思いをしたんだな……」
(レオくん、私たちがそっちに行っても大丈夫?)
ショックをけていると……リーナから念話が屆いた。
(ん? リーナ? ここに來るの?)
(はい。レオくんが助けてあげるよりも、の人が助けてあげた方が彼たちも怖がらないと思います)
あ、確かに。俺より、リーナたちの方がいいか。
(ああ、そういうこと。それなら、一旦そっちに向かうよ)
リーナにそう念話して、俺は転移した。
「ただいま。それじゃあ、リーナたちに頼んでもいい?」
城に転移するなり、俺はリーナに質問した。
「はい。それじゃあ、シェリーとベルとユニスさん、それとフレアさんも行きましょうか」
リーナは、淡々とそう言って立ち上がった。
流石、リーナ。頼りになるな。
「お、俺は……」
リーナに心していると、イヴァン兄さんが申し訳なさそうに俺に聞いてきた。
「兄さんは、地下室のり口で見張りしていればいいんじゃない?」
一応、兄さんは護衛だし。
「わ、わかった。レオはどうするんだ?」
「とりあえず、ゴーレム達の仕事を手伝うよ」
もうしで終わるだろうからね。
「了解。それじゃあ、急いであっちに行こう」
「そうだね。それじゃあ皆、俺にって」
皆が俺にるのを確認しながら、俺は転移を使った。
「よし。それじゃあ、それぞれ仕事を始めようか。あ、それとリーナ、何が必要?」
牢屋に転移するなり、俺はリーナに何が必要か聞いた。
こういうことは、リーナが一番知っているからな。
「えっと……とりあえず布をたくさんお願いします。それと、食事をきちんと食べさせて貰っていないみたいなので、食べをお願いします」
「わかった」
俺はリュックの中から非常食を出して、布を大量に創造した。
「これで足りなかったらすぐに連絡して! 些細なことでもいいから、念話を使っていいから」
「わかりました」
「じゃあ兄さん、行くよ」
「お、おう」
それから、兄さんを階段の前に立たせて、屋敷の中の探索を始めた。
「アンナ、ゴーレムたちはどのくらい進んだ?」
(だいたい、終りました。高価な裝飾品などは庭に運ばれております)
おお、ゴーレムも優秀だな。
「そうか。この家にはやっぱりメイドしかいなかった?」
(はい。若干、奴隷も混じっていますが、全員メイドです)
「まだ奴隷がいるの?」
(はい。ただ、こちらは借金奴隷のようで、メイドの仕事をさせていたようです)
それなら……まあ、貴族の家と変わらないかな……。
「そうか……あいつは最低な小心者だな」
人の目が気になって、地上ではなるべく違法なことはしないようにしていたんだろうな。
「はあ。それで、不正の証拠は見つかった?」
(まだです。多分ですが、ゴーレム達が持ち出した金庫の中にっていると思われます)
「あ、まだ、金庫があったんだ。それじゃあ、その金庫を開けに行くか」
金庫を開ける為に、俺は庭に向かった。
庭に到著すると、そこには異様な景が広がっていた。
「あいつ……どんだけ無駄遣いをしていたんだよ」
庭には、高そうな置や絵畫、絨毯などがとんでもない數並べられていた。
これを売ったら全部でいくらになるんだろうな。
「この中に金庫があるのか……。アンナ、場所を教えて」
(了解しました。こちらです。)
アンナがそう言うと、ゴーグルに印が浮き上がった。
その場所を見てみると、なかなか大きな金庫が置いてあった。
「よくこれを運んで來たな……」
(ゴーレムが四がかりで運んできました)
ゴーレムが四も必要だったのか……。
「重かっただろうな」
(ちなみに、暗証番號は77777です)
マジ?
「あいつ、馬鹿だろ。桁が増えても全部7じゃあ……」
ゴッツに呆れながら、俺は金庫を開けた。
すると……
中には、白金貨と書類がぎっしりと詰まっていた。
「こっちにも金を詰め込んでいたのかよ……。この書類たちは、フレアさんに渡すとしよう」
そんなことを言いながら、リュックの中に金庫の中を全て詰め込んだ。
「よし、これにてお寶探しは終了だな。それじゃあ、リーナの所に行くとするか。何もないといいけど……」
そんな心配をしながら、俺は転移した。
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