《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》囚われたたちを助けます
SIDE:リアーナ
レオ君とお義兄にいさんを見送った後、私はすぐにき始めました。
「それじゃあ、急いで助け出しますよ。まずは……あ、レオくんに牢屋を開けて貰うのを忘れていました」
牢屋を開けようと思い、手をかけたところで重大なことに気がつきました。
どうしましょう、今行ったばかりのレオくんを呼び戻すのも悪い気がしますし。
「それなら、私が切ってしまうわよ」
私が悩んでいると、そんな聲が聞こえ、カランカランと鉄格子の破片が落ちた音が地下室に響き渡りました。
音がした方を見てみると、ユニスさんが刀を持っていました。
あまりにも一瞬の出來事で、皆、ユニスさんを凝視してしまいました。
「え? 切るのはダメだった?」
「い、いえ。大丈夫だと思います。それじゃあ、ユニスさんは他の牢屋もお願いします。他の皆さんは、私が聖魔法で治療し終わった方から、助け出してあげてください」
「わ、わかったわ」
「わかりました」
「はい」
皆に指示を出しつつ、牢屋にると獣人の私よりし年上くらいに見えるの子がいました。
凄く不安そうな顔をして、プルプルとを震わせていました。
「どこか痛いところはありますか?」
私は、気持ちを落ち著かせる魔法をかけてあげながらの子に質問しました。
「い、痛いところはないです」
「わかりました。一応ですが、全に聖魔法をかけておきますね」
そう言って全に聖魔法をかけてあげると、しの震えが落ち著きました。
「す、し、が楽になった気がします」
「それは良かったです。シェリーとベル、布を持って來て」
「「は、はい」」
「まだ寒くないですか?」
「い、いえ、大丈夫です」
二人が持って來た布をに巻いてあげながら質問すると、獣人のの子は布をしっかりと摑みながら答えてくれた。
「それは良かったです。ベル、上まで連れて行ってもらえますか?」
「は、はい」
「それと、ベルは上で運ばれてきた人のことを見守っている係です。食べることが出來そうな方には、レオくんが置いて行った食べを渡してあげてください」
「わ、わかりました」
ベルは返事をして、の子を抱き上げて部屋から出て行きました。
「それじゃあ、次の人に行きましょう」
それから、十數人の方たちを治療しては運びを繰り返し、なんとか最後の方になりました。
最後は、レオくんが最初に見つけたエルフの凄くしいです。
「あなたで最後です。痛いところとかはありませんか?」
「大丈夫です。私は、ここに來たばかりで、まだ何もされていませんから」
それは良かったです。でも、辛かったと思います。
ゴッツが捕まった日から何も食事をしていなかったのですから。
「そうだったのですか……。それじゃあ一応、全に聖魔法をかけさせてもらいますね」
念の為に、他の子たちと同様に全に魔法をかけてあげました。
「ありがとうございます。が楽になりました。もう、歩けると思います」
そうは言って立ち上がりましたが、フラフラしていてとても大丈夫そうにはとても見えません。
「あ、無理して立たないでください」
私は慌てて支えに行きました。
「あ、すみません」
「謝らなくていいです。フレアさん、布を渡してあげてください」
「はい」
「それじゃあ、上に向かいます」
フレアさんが持って來てくれた布をエルフのにかけてあげ、支えながら歩き始めました。
そして、歩き始めると急に牢屋の中に人が現れました。
だ、誰!?
「あ、リーナ、こっちは終わったけど、何か手伝えることはある?」
私たちがビクッと構えると、レオくんの優しい聲が聞こえてきました。
なんだ……レオくんですか……。
「レオくん……びっくりしました。いえ、こちらも終わりましたので大丈夫です」
「ごめん。もう終わったの? 凄いな。リーナたちに助けて貰って正解だったな」
「お褒めの言葉は後でたっぷりとお願いします。今は、この方を上にお連れすることの方が大事です」
今は、こちらのを運び出すのが優先です。
「あ、ごめん。って、歩いちゃっても大丈夫なの?」
レオくんも気になったのか、私の肩につかまりながら歩いているのことを心配していました。
「は、はい。大丈夫です」
「そうは言ってもダメだよ。俺が運んであげる」
レオくんはそう言うと、を抱き上げてしまいました。
「あ……」
は思わず驚きの聲を出していましたが、そこまで嫌がって様子はありませんでした。
し羨ましいと思ってしまいましたが、今はそんなことを考えてはダメです。
「それじゃあ、行こうか」
SIDE:レオンス
「これで、全員?」
エルフのを運び出し、地上に出ると、布を巻かれたたちで部屋がいっぱいになっていた。
「はい」
「そうか。それじゃあ一旦城に連れて行って、皆が落ち著いてから報収集はするか」
今は、元気になって貰う事が一番重要だからね。
「はい。それがいいと思います」
「じゃあ、城に移するか」
それから城に転移し、ゴッツに捕まっていたたちをリーナとメイド達に任せた。
そして、俺は一人でゴッツの屋敷に戻り、地下室の扉を閉じてゴーレム達の所に向かった。
ゴーレム達は仕事が終わって、庭で俺が戻ってくるのを待機していた。
庭に並べられているお寶たちがさっきよりも増えた気がするな……。
「お疲れ様。今日はありがとう。また、何かあった時はよろしく」
そう言って、俺はリュックの中にゴーレム達を戻していった。
「ふう、このお寶たちも一旦は俺のリュックの中で保管して後で売りに行くか」
お寶たちもリュックにしまった。
「あ、あの……。狀況を説明して貰っても?」
お寶もリュックにれ終わり、城に戻ろうとした時、後ろからの聲がした。
振り返ると、ここで働いているメイドさんたちがいた。
そういえば、何も言ってなかったな。
このまま帰ったら、急に家を荒らして帰って行った集団になってしまう。
「あ、ごめん……」
それから、俺はこれまでの流れを説明した。
「そうでしたか……それで、私たちはこれからどうすればいいのでしょうか?」
確かに、どうしよう……。メイドさんたちも急に解雇されてしまったら困るだろうし……。
「どうしようかな……し考えさせて、當分はこの屋敷の管理をお願いするよ。給料もちゃんと出すから安心して」
「ありがとうございます。わかりました」
不安な顔をしていたメイド達は、俺の言葉を聞いて安心した顔をした。
「それじゃあ、また來るからその時はよろしく」
「はい。よろしくお願いします」
メイドさんたちに挨拶してから、俺は城に転移した。
「ただいまー」
「おかえり」
俺の部屋に転移すると、シェリーしかいなかった。
「あれ? ベルとリーナは?」
「お風呂よ」
「お風呂? 何をしているんだ?」
「ゴッツに捕まっていた人たちを洗ってあげているのよ」
ああ、そういうことか。
「そうなのか。それじゃあ、そっちが終るまで俺はゴッツの所に行ってくるよ」
聞き出さないといけない報があるからね。
「わかったわ。私はここにいた方がいいわよね」
「うん。もしかすると、怖がらせてしまうかもしれないからね」
今日は、あいつに容赦するつもりはないから……それをシェリーに見られるのはちょっと嫌だな。
「それは大丈夫だと思うけど、大人しくここで待っているわ」
「ありがとう。それじゃあ、行ってくるよ」
シェリーにハグをしてから、俺はゴッツがいる牢屋に転移した。
「くそ……。俺は偉いんだぞ。こんなところで一生を終わらせるような人間じゃないんだ」
牢屋に転移すると、ゴッツが前回と同様に気持ち悪いことを言っていた。
「こんな場所で人生を終わらせる人間じゃないのは同意だね」
「ん? お、お前は!」
「ただ、こんな楽な死に方はさせないってことだけど」
お前にこれからどんな罰を與えるのか、考えておかないと。
「そ、それだけは……」
ゴッツは俺の言葉を聞いて、さっきまでの元気は無くなってしまった。
そんなことは気にせず、俺は話を続けることにした。
「今、君の家を調べて來たんだけど……」
「は、はい」
「隨分と贅沢していたんだね」
「は、はい……」
「それにしても、あの金貨の數は凄かったな……」
「き、金貨!?」
ゴッツは、金貨という単語に驚いた顔をした。
そりゃあそうだろう、地上にあった金庫には白金貨しかなかったんだから。
「そう、大きな金庫いっぱいに詰まっていたよ。まさか地下に隠しているとはね……」
「……」
ゴッツは顔面蒼白になり、黙り込んでしまった。
「それで、何か話すことは?」
「い、いえ……」
「そうか。それじゃあ、話を続けようか。地下室の右側には金庫があったんだけど。左側には、何があったと思う?」
「さ、さあ……」
ゴッツは、汗をダラダラと流しながら必死に知らないふりをした。
「まだ話す気にはならない? 正直に話した方がいいと思うけどな……」
「ほ、本當に何のことかわかりません」
そう言うゴッツの聲は震えていた。
「そうか。それじゃあ、何か思い出したことがあったらすぐに言って」
「……」
「左側の部屋に行ったら、牢屋があったんだ。本當に不思議だよね。どうして、牢屋をわざわざ隠したんだろう? そんなことを思いながら牢屋の中を覗いたら、エルフのがいたんだ……」
「……」
「そのは奴隷の首が著けられていて、だった。可哀そうなことに、を震わせていて、凄く怖がっているんだ。で、調べてみると、違法奴隷なのがわかって……現在、牢屋にいた全ての奴隷を城で保護しているところなんだけど、何か言うことはない?」
「……」
ゴッツは下を向いて黙ったままだった。
「彼たちをどこでどうやって手にれたの?」
俺は、牢屋の鍵を開けて中にった。
「それとも、どこかから拐したの?」
「……」
ゴッツは、黙で通すことを決めたようだ。
「このまま何もしゃべらないつもり? それなら、俺にも考えがあるけど……」
俺はナイフを創造して、ゴッツの目の前に持って來た。
「どうする? 話してくれないと、痛い思いをして貰わないといけないんだけど?」
「……」
ナイフを見せて脅しても話すつもりにはならないようだ。
「仕方ない……」
俺は、首にナイフを當てた。そして、しずつ力を強めた。
これには、流石に焦ったのかゴッツが顔を急いで上げた。
「ま、待ってください! いきなり首は違うと思います!」
「違ってないよ。君に生きていてもらう必要はなくなった。何でも話してくれるなら、生かしておいてもいいと思っていたけど、それを放棄するならね……」
殺しても構わないだろ?
「わ、わかりました。全て話します。話しますから! 殺すのだけは!」
ゴッツは必死に喚いていた。
「それじゃあ、さっさと話してよ。ほら」
そう言って、俺は首からナイフをどかした。
首は、し切れてしまっていたようで、ナイフにはしがついていた。
それを見たゴッツは余計に怖がり、急いで話し始めた。
「わ、わかりました。彼たちを買った場所は、この街にある闇市街と言われている場所です」
闇市街? そんな騒な場所がこの街にはあるの?
「そんな場所があるの?」
「はい。世界中で止されているがそこに行けば手にると言われています」
そんな危ない場所が俺の領地にあるの? 恐ろしいな……。
「なるほど……そこに行くしかないのか。闇市街についてもっと詳しく教えて」
闇市街なんて、すぐに潰すに限るね。
「えっと……。闇市街は、この街の地下にあります。地下のり口は、闇市街を統治する幹部たちが経営する店にあります。その店で會員証を見せれば、り口に案して貰えます」
忍び込むには面倒なシステムだな……。
「會員証は、どうやったら手にるの?」
「幹部に會って、大金を払えばなることができます」
それをやったら、俺も共犯になるよな?
「それは面倒だな。ちなみに、お前の會員証は? 確か、こっちにお前の持ちが置かれていたよな」
そんなことを言いながら、俺はゴッツの持ちからそれらしきを取り出した。
そこにはゴッツの名前と、肩書に會長と書かれていた。
「ここに黒幕がいたよ……」
こんな簡単にトップを捕まえることが出來るとは……。
「で? この會員証はどんな仕組みがあるの?」
「持ち主のを垂らすと、會員証を渡した人の名前が浮き上がるようになっています」
なるほど、それで本人確認と偽裝を見抜くのか。
俺は試しに、ナイフについたを會員証につけてみた。
すると……カードにゴッツという文字が浮き上がってきた。
「まあ、會長だから、自分のカードは自分で発行できるよな。それで、お前が持っているり口はどこなの?」
「地下牢の奧です。隠し扉になっておりますので、わかりづらいと思いますが」
そうなの? ちゃんと確認しておけば良かったな。
「了解。それじゃあ、闇市街をどうにかし終わったらここに戻って來るよ」
そう言って、ゴッツの返事も聞かずに俺は自分の部屋に転移した。
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