《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》孤児院を造ります①
帰って來た俺は、視察でじたことをフレアさんに報告していた。
「街を歩いてみて思ったんだけど。フレアさんが言っていた通り、凄く治安が悪かったよ。それと、街の外れはもっと酷いみたいだよ。仕事がない人や孤児も多いみたい。仕事がない人のことは、また後で考えるとして、この街って孤児院いくつあるの?」
孤児院が無いってことはないだろうから、この街の人口が多くてたぶん數が足りてないんだろね。
「そうでしたか。これは、早急に駐屯兵を集めないといけませんね。それと、孤児院については今から調べて參ります」
そう言って、フレアさんは部屋にある書類を漁り始めた。
そしてすぐに調べ終わり、俺の質問に答えてくれた。
「調べてみたところ、この街には一つもありませんでした」
一つもない!?
「噓でしょ? この街、こんなに栄えているのに、一つも孤児院がないの?」
「はい。一つもありません。前管理者が経費削減という理由で壊してしまいました」
「またあいつか……」
本當にあいつは、余計なことしかしないな……。
孤児院を壊していなければ、もうしこの街の治安は良かったんじゃないか?
あいつ、もっと暴に扱っておくべきだったな……。
仕方ない、俺が孤児院を造るか。
「わかった。そうだな……ゴッツの屋敷を改裝して孤児院にしよう。ゴッツの家で働いているメイドさんたちには、孤児院で働いて貰えるように頼んでみるよ」
「わかりました。改裝の手配をしておきますか?」
「いや、手配しなくていいよ。あそこは、金庫もあるから、俺一人で創造魔法使って改裝するよ」
それに、そっちの方が早く終わるからね。
金を使わないのは良くないかもしれないけど。
「わかりました。孤児院の子供たちはどうやって集めますか?」
「ひとまず、俺がある程度は集めるよ。駐屯兵の數が増えたら、そっちにお願いしようかな。あ、それと、孤児院にれる年齢は、十四歳までだな」
ベルも、十歳の時には孤児院を出されたと言っていたからな。
たぶん、これくらいの年齢設定にしておけば問題ないだろう。
この世界では十歳から働けるらしいけど、流石に十歳で外の世界に出すのは可そうだからね。
「わかりました。駐屯兵が集まり次第、その仕事を依頼したいと思います」
「うん、お願い。それじゃあ、ゴッツの屋敷に行ってくる」
俺は孤児院に転移すると、玄関にメイドたちを集めた。
そして、これから行うことについて説明した。
「明日から、ここで孤児院を始めたいと思う」
「こ、孤児院? ちょっと待ってください! 私たちはどうなってしまうんですか!? それに、明日からここで孤児院を始められる設備はここにありません!」
俺が説明を始めると、すぐにここのメイド長が問題點を指摘してきた。
ちなみに、ここのメイド長には、奴隷の首が著いている。
これは、奴隷好きのゴッツがいつも傍にいるメイド長に奴隷を選んだ為のようだ。
「まあ、落ち著いて。ちゃんと説明するから」
「あ、すみません」
俺の言葉に、メイド長は我に帰ってすぐに謝ってきた。
「いいよ。不安になるのは當たり前だから。それじゃあ、説明を始めるね。まず、あなた達についてなのですが……ここで、子供たちのお世話をして貰えないでしょうか? お願いします」
俺は、そう言って説明の初っ端から頭を下げた。
先に同意を貰ってからの方が説明が楽だからね。
まあ、もし斷られたとしたら説明を続けられなくなってしまうのだが……。
「あ、頭を上げてください。貴族が庶民なんかに頭を下げるなんてことはしてはいけません!」
「いえ。貴族とか関係なく、俺はお願いをしている立場なので」
だって、メイドの仕事を辭めてもらうしかないんだからね。
俺の勝手な決斷で仕事を変えるなんて、本當に申し訳ないと思う。
でも、メイドさんたちがやってくれないと、すぐには孤児院を始められないんだ。
「本當に変わった方ですね。私たちの主も、レオンス様みたいな方だったら、どんなに楽だったか……」
うん、ゴッツの世話は凄く大変だったろうね。
「それに関しては、ご苦労様としか言いようがないね。まあ、今頃あいつは、帝都で裁かれているよ。……それで、孤児院で働いてくれるのかな?」
「はい。働きますよ。ゴッツ様の世話よりも、子供の世話の方が楽ですから。それに、メイドは子供の世話も仕事のですよ」
俺が慎重に聞くと、メイド長は思っていたよりも快く承諾してくれた。
「皆もいいよね?」
そして、メイド長が他のメイドたちに確認すると、皆が顔を縦に振った。
まさか、こんな簡単に承諾してくれるとは……。
「ありがとう。それじゃあ、屋敷の改裝を始めようかな……と、思ったけど、その前に奴隷のままだった人たちを解放しないと」
さっきから話していて、メイド長の首が気になって仕方ない。
「え? 私たちを解放してくれるのですか?」
「うん。手を出して」
「ちょっと待ってください。私は、いいです。他の子たちを解放してあげてください」
俺が手を差しのべると……メイド長はそう言って、俺の手を両手で丁寧に押し返した。
「いいけど……理由を聞いてもいい?」
どうしてだ? 斷る理由なんてあるか?
「えっと……私、今はレオンス様の奴隷なんですよね?」
「そういえば、そうだね」
ゴッツの財産は全て俺のになったから、ゴッツの奴隷で財産であった彼たちは、俺の奴隷になったのだ。
「なら、いいです。私、レオンス様なら、奴隷のままでいいです」
「え? 何で?」
俺の奴隷でも、奴隷なのは変わりないよ?
「ふふ、です。あ、子供たちに奴隷だからといって差別しないことを教えるためですね」
いや、後から誤魔化しても最初にって言っちゃてるから!
「それ……今思いついたでしょ? まあ、いいや。解放してしくなったら、いつでも言って」
本の數秒でその首を外してあげるから。
「はい、わかりました」
「それじゃあ、他の人で解放してしい人は、俺のところに來て」
他のメイドたちは、自由になりたいだろうと、思ったら……
「あの……私も解放しなくて大丈夫です」
「私も……」
「私も……」
全員に斷られてしまった。
マジか……皆、メイド長と同じ理由なのかな?
「え? まあ、いいなら、いいけど……。そ、それじゃあ、改裝を始めるか。じゃあ、これでとりあえず解散」
そう言ってメイドたちへの話を終わらせ、屋敷の改造を始めることにした。
「とは言ったものの……どんな設備が必要なんだろう? あ、孤児院出のベルに聞いてみるか」
そうだ。孤児院で育ったベルなら、きっと何が必要なのか知っているはず!
そう思った俺は、ベルの所に転移した。
「ベル、ちょっといい?」
「「きゃあ!」」
俺が転移すると、目の前で二人のが悲鳴をあげながら、もちをついた。
「あ、びっくりさせちゃってごめん。あなたは……」
ベルと一緒にもちをついていたのは、俺が助けたエルフのだった。
そして、辺りを見渡して見ると、俺が転移した場所が、元違法奴隷たちが暮らしている部屋だということがわかった。
どうやら、俺はやってしまったようだ。
「私は、アンヌと申します」
俺が部屋を見渡していると、エルフのが名前を教えてくれた。
「わかった。アンヌさんね。俺のことは、レオと呼んで。それじゃあ、俺はここから出るよ。ちょっと、ベルを借りていくね」
男恐怖癥の人たちの中に、俺がいるのもまずいので、ベルの手を摑んで部屋から出ることにした。
しかし、すぐにアンヌさんに止められた。
「ま、待ってください。レオ様なら、ここのたちは怖がりませんので、気にしなくて大丈夫です」
「え? そうなの? 本當に?」
無理してそんなことは言わなくていいんだよ?
「はい。私たちは、レオ様に助けて貰ったことを謝してますから」
「本當に本當に大丈夫?」
俺がしつこいくらい確認すると、周りいた皆が靜かに頷いた。
「わかったよ……。それじゃあ、ここで話をさせてもらおうかな」
もしかしたら、何かアンヌさんたちに意見を貰えるかもしれないからね。
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