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「……そう。なら、しょうがないわね。検査結果が出たらすぐに連絡するわ。それじゃあ」

意識の遠くで誰かの話し聲がする。桜はその聲で目を覚ました。

パチパチと目を瞬きぼんやりとした視線を彷徨わせてみる。

すると真っ白な四角い天井が視界いっぱいに映し出された。次に見えたのは、左側に置かれたスタンドに吊された明なのった點滴の袋だった。それはチューブにより桜の左腕に繋がれている。

どうやらここは病院のようだ。

桜が寢かされているベッドからし離れた窓側には、こちらに背を向けて誰かと通話中の樹里の姿があった。

おそらく桜が倒れてしまったために、その対応に追われているのだろう。

きっとヤスやヒサも今頃いてくれているに違いない。

そう思うと、申し訳ない気持ちで一杯になる。

ーーただの夏バテで倒れて迷かけちゃうなんてけない。早く起きなくちゃ。

慌てて起き上がろうにも、が怠くてうまく力がらない。

桜がもたついていると、ちょうど電話対応を終えたらしい樹里が振り返ってきた。

その瞬間、桜が詫びをれるも。

「あの、すみません。ご迷おかけして」

「あっ、こら。桜ちゃん。急に起き上がったら駄目じゃない。病人は大人しく寢てなさい。今先生呼ぶから。いいわね？」

「……は、はい」

慌てて駆け寄ってきた樹里によって制されてしまい、桜はベッドに橫になったまま醫師からの診察と説明をけることとなった。

ちなみに尊は、極心會の幹部會に出席しているためすぐには來られないようで、先程の電話はそのことでヤスと話していたらしい。

數分後に病室に現れた、ここ石総合病院・総合科醫の窪塚鈴くぼづかりんの話によると。

桜が救急車で搬された際。樹里からの聞き取りで、最近夏バテ気味だったことと、仕事による疲労が原因だろうということで、健康診斷などで実施されている一般的な検査を実施したらしい。

その結果、搬送されてまだ二時間ほどなのですべての結果が出たわけではないが、『腫瘍マーカー』の數値が高いことから。

「の場合、月経中や妊娠中にエストロゲンの影響をけやすく、高値になることがあります。桜さんは結婚されてまだ間もないということで、尿検査したところ、妊娠が発覚しました。ですので、今後は産婦人科の方でーー」

見たところ、四十代前半ほどの髪の長い綺麗な醫の窪塚から思いもよらないことを聞かされ、桜は驚愕しつつも、自分のまだなんの変化も見られない平らな腹にそっと手を添え聞き返すことしかできない。

「え、それって、ここに、赤ちゃんがいるってことですか？」

「ええ、そうですよ。おめでとうございます」

「……っ」

けれどすぐにふっとらかな微笑を浮かべた窪塚にお祝いの言葉をもらった桜は、極まり目に涙を貯めたまま言葉を詰まらせる。

ーーうわぁ。ここに私と尊さんとの赤ちゃんがいるんだ。どうしよう。メチャクチャ嬉しい。