《【コミカライズ】寵紳士 ~今夜、獻的なエリート上司に迫られる~》「どんな出會いでも好きになってた」5

一部始終を見ていた晴久はなんとも言えない気恥ずかしい気持ちになり、口を押さえてしばらくの熱さに耐えていた。

中のふたりは時折笑い聲が聞こえるほど打ち解けている。

「じゃあ私、行きます。お晝にすみませんでした。……今度、ご飯とか連れてって下さいね」

「うん。そうしましょう。正直に伝えてくれてどうもありがとう、巖瀬さん」

話しながら雪乃と巖瀬がフリースペースから出てくると、晴久はサッと壁際に隠れた。

ふたりはり口で手を振って別れ、まだ晝食を買ってもいない巖瀬は足早に廊下を走って去っていく。

(巖瀬さん、私を嫌っているわけじゃなかったんだ。うれしいなぁ……)

雪乃はフリースペースのり口にしばらく立ったまま、巖瀬に言われたことにまだ頬を赤らめていた。

「雪乃」

「えっ」

隠れていた晴久は我慢ができず、雪乃がひとりきりになったところを見計らい、彼の手を摑んでフリースペースの中へと引き込んだ。

「えっ、えっ」

カーテンは閉まり、電気を消して戸締まりをしてある室は晝なのに薄暗い。

晴久は、雪乃と室るとドアを閉め、背後で鍵を掛ける。

そしてすぐに彼を抱き締めた。

「晴久さん……!?」

なにが起こったのかすぐには分からなかった雪乃だが、晴久の腕の中にいるのが分かると顔を上げ、パクパクと口をかしている。

「……見てた」

晴久は短くそうつぶやいたが、それは雪乃をうような甘い聲。耳もとで囁かれた雪乃のは力が抜け、見られていた恥ずかしさも同時に襲ってくる。

しぼんでいくように彼のに収まると、雪乃は赤い顔をしながら「會社なのに……」と一応の忠告をした。

「鍵をかけたから大丈夫」

「ふたりで出てきたら怪しまれますっ」

「晝休憩を取っていたと言えばいい」

畫期的な言い訳を提案され、雪乃は徐々に大人しくなっていく。

壁に背をつけた晴久は雪乃を迎えれ、甘くキスをした。

「晴久さん……」

名前を呼ばれるとさらに煽られ、キスは一層激しくなる。

キスを止めずに、晴久は話を続けた。

「決め手はタイミングだっけ?」

「あ……それは……」

雪乃はそれが正解か分からない。選んだ理由など晴久しか知りえないのに勝手に答えてしまったと気まずくなった。晴久は彼の耳もとにを寄せる。

「俺も雪乃との出會いは運命的だったと思っているよ。でも雪乃じゃなくてもよかったとか、そんなはずない。どんな出會いでも好きになってた」

「……そうなんですか?」

「そうだよ。……まあ、言いたいことはほとんど巖瀬さんに先に言われちゃったけどな」

雪乃を譽めちぎって去っていった嵐のような巖瀬を思い出し、ふたりはキスの隙間で笑みをこぼした。

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