《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》

ミハイルをおくったあと、昨晩から今朝にかけてのことを思い出していた。

あんなにも騒がしい日は生まれてこの方なかった……。

その騒がしささえ心地よく、それに……今思うと、俺は『それ』がなくなったことを寂しくさえ思っていた。

なぜなんだ。

ミハイルは俺から言わせれば、リア充、ヤンキーの一派にすぎない。

そんな非リア充の俺とは、対極な存在の彼と一緒に過ごすことが、こんなにもが踴るのか?

まったくもって解せん……。

自宅に戻ると、朝刊配達の疲れから仮眠にった。

眠りにる途中……ひょっとしてミハイルの方から連絡がかかってくるかもしれない、と期待していた。

スマホのベルで目が覚める。

すぐさま、電話にでるとの子の聲だった。

寢ぼけていた俺はミハイルかと思った……が。

『センセイ? 寢てました?』

「白金しろがねか……」

『ワタシじゃ悪いことでもあります?』

「べつに……」

ミハイルだと思った自分がバカだった。

しかも相手はの子とはいえない……三十路手前の人しただ。

俺のもう1つの仕事。

ライトノベル作家。

白金は俺の擔當編集である。

「なんのようだ?」

ミハイルじゃなかったので、めっさイライラしていた。

『そんなに怒らなくても……打合せしましょ!』

「おまえな……俺の予定に配慮しろよ」

『だって、夕刊まで時間あるっしょ! じゃあお晝に編集部で。プロット用意しといてくださいよ』

一方的に電話を切られた。

スマホの時刻を見れば、『10:45』

仮眠をとって、頭がスッキリした。

ミハイルからの連絡は、どうやらまだらしい。

あいつもきっと睡眠がなかったから、今頃お晝寢でもしているのだろう、知らんけど。

學習デスクの引き出しから、ノートパソコンを取り出す。

すると編集の白金に言われた通り、次作の小説の構に取り掛かった。

「よし、これでいいだろう」

5分で書き終わった。

そもそも、俺の小説は人を選ぶ。

売上なんていうほどない。

なので、擔當の白金は、俺を作家としてもっと有名にさせたいみたいだが、そうはいかん。

俺は読者の求めるものなど書かん。

『やりたいことを優先』が俺のモットーだ。

ちなみに、今回のテーマはラブコメだ。

しっかり書けたぞ。

ノートパソコンをリュックサックにしまうと、支度をすませて、福岡の繁華街、『天神てんじん』へと向かった。

福岡県福岡市における繁華街、中心部とも言える天神。

天神なぞコミュ力、十九の俺には無縁の地だ。

あそこはあれだ、JK達がこぞって。

「ねぇ、今からどこいく?」

「天神じゃね?」

とか言う軽いノリで行くところだ。

そして、タピオカとかいう芋の茶を飲み、ウインドウショッピングしてプリクラ撮って……しょーもな。

まあ確かに、最近は天神もオタク文化をれ、アニメやマンガ、メイド喫茶など非リア充向けに発展はしているが……。

俺からしたら、リア充どものスケベな街だよ。

「夜景がキレイだね……もうキッスするしかない!」

そんなところだぞ?

この俺も仕事のためとはいえ、3年間もの間、天神という街に通っている。

「この街は相変わらず、人で溢れかえっているな」

そうつぶやくと、天神のメインストリートともいえる、『渡辺わたなべ通り』を歩き出す。

この天神という街は狂っている、地下街では北も南も摑みづらいし、通り名もわけがわからん。

明治だの昭和だの……めんどくさいから一番とか二番とかに改名しろ、お偉いさんよ。

天神はたくさんのビルで連なっているが、『そのビル』は一際目立つ。

ビルの壁一面が銀に塗裝されており、鏡のように日が反し、下にいる俺はそれを直で食らっている。

出版業界ではトップの売り上げを誇る『博多はかた社』だ。

「悪魔城……」

そう呟くと、自ドアが開く。

すぐに目にったのは、白い半円形の機とデスク上に花瓶。

その後ろは、これまた白い制服をきた付のお姉さんがいる。

「あら、久しぶりね、琢人くん」

「倉石くらいしさん、お久しぶりです」

の名は倉石さん。

博多社の付嬢。(年はアラサーなので嬢といえる年なのだろうか?)

「今日も打ち合わせ?」

「はい、『アホ』を呼んでください」

「アホ……ああ、白金さんね♪」

アホで通るのが我が擔當編集なのだ。

倉石さんは手元にあった電話を使い、連絡をとる。

數分後、エントランスに現れたのは、一人の

「おっ待たせしました~」

と、ピンク地に白いドッド柄のワンピースを著た、ツインテールのロリッ娘ぽいおばさんが立っている。

何回見ても気持ち悪いアラサーだ。

人しているくせに、長は120センチほどだ。

小じわさえ見つけなければ、近所の小學校に不法侵できそうなババア。

「白金、急な呼び出しはやめろ」

「嫌だな~ センセイったら。さあさあ、編集部にいきまちょ♪」

なあにが、『いきまちょ』だ。

死んで転生してこい。

エントランスからエレベーターと移する。

「センセイ、一ツ橋高校でいい取材できたでしょ?」

「あ? できるわけないだろ、クソみたいな高校を紹介しやがって」

「え~ あそこは私の出校ですよ。悪いとこじゃないし、蘭らんちゃんだっているから……」

蘭って誰? ああ、宗像先生か。

長の白金の代わりに、俺がエレベーターのボタンを押してやる。

「宗像先生か……思い出したくもない」

「あっ! ひょっとして蘭ちゃんに一目ぼれしました? おかずにしてます?」

いやらしい顔で笑うJS……じゃなかったロリババア。

「お前な……宗像先生の中は、アル中のおっさんだぞ? どうやって味しく食べるんだ? アラサーだぞ」

「私も同い年なんですけど!」

間に草も生えない、お前がか?」

「なっ! またそういうセクハラ発言するんですか」

この第二次徴期の確認は、3年間もやりとりしている。

エレベーターが5階でストップする。

「フン! じゃあ、こっち來てください」

アホがキレながら悪魔城の最深部へといざなう。

そう、この『ゲゲゲ文庫 編集部』こそ、俺がなりたくもなかったライトノベル作家になった魔王の住処である。

ゲゲゲ文庫……その界隈では、群を抜いた売り上げを誇る。

ちなみに俺はライトノベルをあまり読まん。

なので、凄さがよくわからんのだ。

「センセイ、なにか飲みます?」

立ち止まって指をさす白金。

指先は編集部の前にある自販売機。

白金はカエルの形をしたガマ口財布を取りだす。

今時みない……やっぱババアだな。

「じゃあ“ビッグボス”(アイスコーヒー)で」

「やっぱ男の子ですね♪」

いや意味がわからん。も飲むだろ。

「うんしょ……」

小銭を持って、貨投口に手を持ち運ぶ。

だがビッグボスの決定ボタンは一番上だ。白金の低長が邪魔をしている。

「おい、早くしろ。待たせるな。こちとら、が渇いた10代なんだぞ」

「いま……やってますよぉ」

「使えんやつだな」

そう言って俺がボタンを押し、販売機から出てきたビッグボスを手に取る。

「お前はどうする?」

「私ですか? イチゴミルクでお願いします♪」

「フン、きもいセンスだ」

の開いたガマ口財布から、無斷で小銭を取ると、ボタンを押してやった。

「ほれ、禮はいらんぞ」

イチゴミルクを投げると、彼は見事にキャッチした。

「あ、ありがとうございま……って、私のお金で買ったんだから、お禮なんていらないでしょ!」

「ガキだから騙される」

「フン! あっかんべー!」

あっかんべーか……ビッグボス飲んで早く帰ろっと。

編集部では忙しそうに、大人の社員たちがお仕事をしていらっしゃる。

白金が「こっちですよ」と通されたのは薄い仕切りで覆われた小さな區畫で、機が1つ、対面式にイスが4つ。

ここで數年間もの間、俺は擔當編集のロリババアこと白金しろがね 日葵ひまりにダメ出しばかりを食らっていたトラウマの場所だ。

「さあセンセイ、さっそく新作のプロットを♪」

ため息まじりでイスに腰を下ろすと、リュックサックからノートPCを取り出す。

させると、五分で書いたテキストを表示させる。

一息ついた俺は、ビッグボスでを潤わせた。

白金もイチゴミルク飲みながら、俺のテキストに視線をやる。

「えっと、タイトルは……シャ、『シャブ中が転校したら5秒で合』」

「フッ、タイトルからして書籍化決定だろ」

「センセイ……私をクビにする気ですか?」

あれ? まだ春だというのに冷房がきき過ぎてません?

さ、さむぅ~

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