《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》43 契約 ハンコはなしで

俺とアンナは、夕暮れまでカナルシティのいろんな店を楽しんだ。

普段行かないようなアクセサリーショップや雑貨屋、あと夢の國ストア……。

個人的には、この店が一番つらかった……。

アンナが「あれ見て! ネッキーだよ☆」と大興

俺は終始、溫度差をじながら、彼の買いに付き合っていた。

時が流れるのは早く、スマホを見れば『17:22』

一応、の子の設定なので、そろそろ帰さねばな。

そういえば、年齢はいくつなんだ?

「ところでアンナ、お前は今年いくつなんだ?」

ネッキーの特大ぬいぐるみを抱えているアンナ。

「アンナ? 今年で16歳だよ? まだ15歳☆」

そこは設定変換せんのかい!

「なるほどな……ならば、そろそろ帰らないか? 親さんも心配されているだろうし」

「アンナ、親いないよ? ミーシャちゃんと同じで死んじゃった……」

そこも設定は一緒かよ! 2回も気をつかわせるんじゃないよ、ったく。

「それは済まないことを聞いてしまったな……」

これも二度目だけどな。

「ううん、私にはミーシャちゃんがいるから」

それって自分がお友達ってことだよ? 悲しくない?

「だが、もう夕方だ。博多駅まで送るよ」

「イヤァッ!」

び聲が行きう人々の足を止める。

「アンナ? またいつか會おう。それじゃダメか?」

「イヤイヤ、絶っ対にイヤ!」

ダダこねているよ、中15歳のあんちゃんだろ?

めんどくせっ。

「じゃあ、最後にアンナの願いを一つだけ聞く。それでどうだ?」

「ホント!? なら……最後にあの川を見たい!」

アンナが指差したのはカナルシティの目の前にある大きな川。

『博多川』である。

「博多川か……別に構わんが?」

「やった☆」

そんなにでかい川が珍しいか?

カナルシティの裏口を出るとすぐに橫斷歩道があり、2分ほどで川辺につく。

長い川に沿って、ベンチが複數、橫並びしている。

俺とアンナと、ネッキーは『二人と一匹』で座った。

「ねぇ、タクトくんってカノジョとかいないの?」

知っているくせに!

「俺は生まれてこの方、と付き合ったことなんぞない」

事実上の貞発言である。

「そっかぁ……あのね、ミーシャちゃんから聞いたんだけど、タクトくんって小説家なの?」

ソースはお前な!

「ま、まあ、そうだ。売れないライトノベル作家だ」

「ふぅん。今はどんな作品を書いているの?」

う! それ聞いちゃう?

「今は……はじめてのジャンルに手を出している」

「なぁに?」

とぼけた顔で食い気味に、を寄せるアンナ。

や、やめて! 博多川の対岸ってラブホ街なのよ!

このまま、お持ち帰りしたくなるからさ!

「ラ、ラブコメだ! それも王道のな」

「そうなんだぁ……ミーシャちゃんとタクトくんって仲いいの?」

自分で自分のこと聞いてどうすんの?

「まあいいな」

「そっか☆ よかったぁ☆」

嬉しそうに笑いやがって! そのための裝じゃないだろな!

「ねぇ、タクトくんってさ。どうして、ミーシャちゃんと同じ高校に學したの?」

「そ、それは……」

俺のクソ編集、白金 日葵に言われたからだ。

『業務連絡です。取材してきてください!』

「取材だ……。ラブコメを書くためには、小説を書くには、『リアルな記憶が殘らない』と俺は書けない作家なんだ」

「……」

なぜか肩を落とすアンナ。

そこ、俺がやるところだからね?

俺だって、なにが悲しくて年下のやつらと勉強してんだって話だよ。

しかも王道どころから、邪道なデートしちゃってるからね。

「ねぇ、タッくん……」

「へ?」

今、こいつ、あだ名っぽいこと言ったよな?

「アンナ……じゃ、ダメ?」

元で祈るように手を合わせるアンナ。

これは反則的だ。

せる所業である。

「なにがだ?」

「アンナで取材しちゃダメ?」

「なっ!?」

迷ったか。古賀 ミハイル。

クソッ、俺が小説家だということを見こしてのプランなのだろうな。

「アンナも、まだ誰とも付き合ったことないの……」

貞と訳してもいいですか?

「タッくんなら……タクトくんさえ良ければ、アンナを使って!」

使ってって……あーた。違う意味に聞こえるよ?

しかし、その表、真剣。ものすごくイケメン。イケメンすぐる。

「つまり、アンナの言いたいことを要約すれば、俺とお前が関係に至るということか?」

俺がそう言うと、彼の顔はボンッと音を立てるかのごとく、真っ赤にさせる。

「付き合うんじゃなくて……その……あくまでも取材、だよ?」

おい、なにをモゾモゾとしている。

自分の言っていることが、わかっているのか?

「取材費はどうすればいい? 金額は?」

「そんなのいらない!」

恥ずかしがったと思えば、激怒。子かよ。

「ならば、アンナに対する報酬は?」

「いらない……」

また床じゃなかった、コンクリートが友達になっているぞ。

「ダメだ。取材対象にはしっかりと報酬を與えるべきだ」

「そんなん、いらんもん!」

はじめて聞いたわ、お前の博多弁。

「いいか、アンナ? 俺は事を白黒ハッキリさせないと気が済まないんだ。わかるか?」

「じゃ、じゃあ……もし取材が終わって、アンナのことを気にったら『ホントのカノジョ』にして」

「……」

なにこれ? 俺ってばハメられた?

マウントとられまくりじゃん。

「分かった」

「約束だよ☆」

俺とアンナは、小指同士で契約をわした。

が彼の瞳を鮮やかにさせる。

その瞳は気のせいか、潤って見えた。

これで、よかったのだろうか?

俺は確かにミハイルをフッてしまった。

だが、なぜアンナとはこんなにも簡単に、契約を結んでしまったのか?

疑似とはいえ、男だとわかっているのに……。

「あ、タッくんってL●NEやってる?」

切り替えはやっ!

「いや、やらん。既読スルーとかいう、いじめが橫行しているツールの一つだろ?」

イジメ、ダメ、ゼッタイ!

「アンナは既読スルーとか、絶対にしないよ!」

「ふむ……しかし連絡先がサーバーと同期されれば、知り合いなどにバレると聞くが?」

そんなことになれば、変態母さんとバカ妹の繋がりが、俺にまで繋がっちまうぜ。

「設定で、アンナとだけ、L●NEできるようにしてあげる!」

なにそれ? ちょっと怖い。

「まあ、構わんが……」

「これも取材のうちだよ☆」

笑顔が可いけど、めっさ怖い!

取材って、危険がいっぱい!

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