《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》『第七章 パニックパニック!』 45 波のはじまり

きょうはにちようび、ぼくのなまえは、しんぐう たくと。

ことしで18さいになる、こうこう1ねんせいだよ。

ぼくはおしごともやってる、えらーいにんげんなんだぞ!

「……」

プロットを書いていたら線してしまい、アホな文章になってしまった。

擔當編集の白金しろがねから、『明日打ち合わせしましょう!』と勝手な電話があった。

その後、電話をかけ直したが、著信を無視されているみたいだ。

メールでも『明日はやめくてれ』と送ったが、返信なし。

というか、日付変わってから、もう『今日』なんだけどな。

あと5分で午前7時。

朝刊配達を終えて、今日も眠気マックスだ。

妹のかなでは、まだ夢の中。

きっと母さんも仕事で疲れて……じゃなくて、ウイスキーでオンラインBL飲み會やってたから、自室で寢落ちしている。

なので、俺は音を立てないように、靜かにリュックサックを手にとった。

リビングで食パンを焼く。

地元の真島まじま商店街で、買いだめしているコーヒーを淹れる。

「いい香りだ……」

余韻にひたりながら、というか、現実逃避しながら朝食を楽しむ。

久しぶりに徹夜で小説のプロットを書いていた。

未完だが。

ピコン!

「またか……」

徹夜したもう一つの理由はこいつだ。

ピコン!

タップする間にも次々送られるL●NE。

ピコン! ピコッ……ピコン!

見たくない。もうお腹いっぱい。

アンナちゃん、數秒刻みで送ってくるから、スマホが熱々になっちゃったよ。

イキスギィな行為だよ。

「はぁ、なにやってんだか……」

朝食を終え、スタコラサッサーと真島駅に向かう。

もちろん、アンナのことは放置している。

付き合ってられん!

電車に乗り込むこと數分。

むしろうち駅についた。

プシューッという音と、共に一人の年が同じ車両にる。

「よ、よぉ、タクト……」

目の下、くまで酷いことになってるよ!

「ミハイル……お前、寢てないのか?」

そう言う俺も、聲がいつもより小さい。

「タクトだって、くまがひどいぞ」

「ま、まあな」

互いに強がる。

だって、朝まで遊んでいたしな。いとこの古賀こがアンナと。

「ねぇ、いとこのアンナはどうだった? 可かっただろ☆」

それって自分で自分のこと、可いってことだぜ。

「ああ……可かったよ。ミハイルに似ているな」

俺がそうツッコミをれると、彼は苦笑いで答える。

「そっか? あんまり言われねーけど」

おい、床ちゃんとにらめっこすんじゃない。それに今日も風邪か? 顔が赤い。

「なあ彼はどこに住んでいるんだ?」

「アンナ? えっとどこだろ……」

歯切れが悪いな、設定ちゃんと決めておけよ。

~30分後~

俺とミハイルは、いわゆる寢落ちしていた。

「赤井あかい駅~ 赤井駅~」

車掌のアナウンスが流れて、咄嗟に目を覚ますが、何かが俺の行を邪魔する。

視線を橫にやれば、ミハイルが俺の腕にからんで「ムニャムニャ……タクトぉ」とニヤついている。

いけど、起きろ!

「おい、ミハイル! 赤井駅だぞ!」

「え? あっ、下りないと……」

時すでに遅し。

プシューという音と共に、車の自ドアが閉まる。

「「あっ!」」

この時ばかりは、息がピッタリだった。

ちこく、ちっこく~

「ど、どうしよう……宗像センセって怖いよな?」

ヤンキーのくせしてビビるな。

「まあ次の駅で折り返そう」

~更に20分後~

やっと俺とミハイルは赤井駅に到著した。

二人して「ほっ、ほっ、ほっ」と走る。

赤井駅からランニングだ。

いい汗をかいている場合ではない。

あの宗像のことだ。

きっと鬼モード不可避である。

長い長い上り坂、通稱『心臓破りの地獄ロード』も走る、走る、走る!

これは俺たちが宗像むなかた先生への恐怖からせる所業だ。

「み、見えたぞ! ミハイル!」

「うん!」

わざわざ、校門の前に一人の癡が待ち伏せていた。

一ツ橋ひとつばしに正門など存在しない。

全日制の三ツ橋高校の正門である。

一ツ橋高校の正門とは三ツ橋みつばし高校の裏口のことだ。

なので、正門に一ツ橋の教師が立つなんて、よっぽどのことだ。

「くらぁぁぁぁぁ!」

鬼の形相で両腕を組む。アラサー癡、宗像むなかた 蘭らん。

「遅刻だぞ、お前ら!」

今日のファッションチェック♪

宗像先生は総レースのスケスケボディコンですね。

トータルホワイトコーディネート。

足元もヒールの高い、白のハイヒール

元を開いているわけではありませんが、レースの中が丸見え。

巨大なメロンが二つもお山を作っています。

どこの立ちんぼガールですか?

「す、すいません! 徹夜だったんで……はぁはぁ」

「オレもっす……ハァハァ」

さすがのミハイルも息を切らしていた。

「お前らぁぁぁぁぁ!」

これは毆られること不可避。

覚悟を決めた。

「よく來れました♪」

鬼の形相から一転、優しく微笑む宗像史。

ど、どういうことだってばよ!

「え?」

「だから遅刻してもよく來れたな、えらいぞ♪」

そう言うと、先生は俺とミハイルを抱きしめる。

「なにを!?」

「センセ!?」

「いいからいいから……お前らは本當によく頑張っているな。先生は嬉しいぞ」

なにが? おっぱいがプニプニ當たってて、キモいのなんのって。

あ、でも、ミハイルともくっついているから、嬉しいと言えば嬉しいが。

「や、やめてぇ……センセッ、そろそろ放してぇ……」

おいミハイル。聲だよ……っぽいのう。

「おう、悪かったな、古賀」

「べ、別にいいっすけど……」

顔を赤くして、何度か俺の顔をチラチラと確認している。

「じゃあ、二人とも元気にスクリーングはじめよー!」

そう言うと、変態教師、宗像は俺とミハイルのケツをブッ叩く。

「いってぇ!」

「あんっ!」

ミハイルだけ変な聲だな!

俺とミハイルは逃げるように校舎へと向かった。

ブッ飛び~な高校で死にそう……。

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