《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》49 その名も……
第二回目のスクリーングも無事に? 終わりを迎えようとしていた。
生徒全員の顔が明るくなる。
理由はただ一つ。帰れるからな。
って、それは非リア充グループやぼっち共たちの定番。
逆にリア充のやつらは『このあとめちゃくちゃゲーセンとかで遊んだ!』とほざくのだろう。
雑談で各々が盛り上がる。
「なあ、タクト☆ 今日はオレん家來いよ」
「は?」
エメラルドグリーンの瞳を輝かす年、ミハイル。
「だって『やくそく』したろ?」
「ああ、ミハイルの姉さんに挨拶する……んだったか?」
そーいや、この前、ミハイルが家に遊びに來た時、うちのブッ飛び~な母さんが提案してきたな。
「ねーちゃんと遊ぶんじゃなくて、オレと遊ぶんだろ!」
なーに顔を真っ赤にさせとるんじゃ、ボケ。
「まあ構わんが……」
ピシャーン! と豪快に教室の扉が開く。
皆が一斉に視線を向けるが、期待した人ではなかった。
小學生が好んで著るような、可らしいさくらんぼ柄のワンピース。
ツインテールではぺったんこ。
長は120センチほどか。
「あんのバカ……」
俺がそう呟くと、その気持ちの悪い生きは、教壇の前に立つと息を大きく吸った。
「センセーーー!」
キンキン聲で窓が揺れる。
俺もミハイルも耳を塞ぐ。
もちろん、他のみんなも同様の対応。
「やかましい!」
思わず反応してしまった。
無視したかったのに。
「あ♪ DOドゥセンセイ! ここにいましたか」
そう言うと、低長のロリババアは、他の生徒など気にせず、俺の席まで足を進める。
「おい、お前。何しにきた?」
「へ? プロットの打ち合わせでしょ」
首をかしげているので、そのままへし折ってやりたい。
「白金……わざわざ學校まで來なくていいだろ」
「ダメです! さっさとプロットぐらい書き上げないと。DOセンセイは我が博多社から追い出されますよ? 実際に編集部の會議でも『あのオワコン作家に払う経費はない』って言われているんですから」
それ、みんなの前で言う?
「タ、タクト! 誰だよ、この子!?」
気がつけば、拳を作るミハイルさん。
顔がこえーよ。
「ああ、えっとだな……こいつは」
「私、博多社の白金 日葵しろがね ひまりと申します♪」
頭を垂れる社會人。
律儀に名刺も差し出している。
「え? 大人なの……この子?」
おバカさんのミハイルでは、脳が大パニックだ。
け取った名刺と、白金の顔を互に見て、真っ青になっている。
「一、誰なんだよ?」
思わずログインしてしまうハゲのおっさんこと千鳥。
「あーしも気になるぅ」
歩くパンチラこと花鶴もか。
「あ、あの、私も気になるかも」
腐子の北神まで。
気がつけば、俺と白金の周辺にはギャラリーが円陣を組んでいた。
「えっへん、生徒諸君! 私は白金 日葵ちゃんですよ? 一ツ橋高校の卒業生ですから、みなさんのちょっと先輩ですね♪」
ちょっとじゃねぇ、一回りぐらい違うだろ。
「おお~」と歓聲があがる。
「それでタクオとはどんな関係なんすか? 先輩」
よく素直にけれられたたな、千鳥。
このキモいロリババアを。
「私とDOセンセイは、擔當編集と作家様の関係です」
「ドゥ? それがタクオのペンネームか?」
「ノンノン、後輩くん♪ DOセンセイのフルネームは……」
そう言いかけた瞬間、俺は白金の気持ち悪い小さなを塞ぐ。
「なにするんだよ、タクオ? 邪魔すんなよ」
し不機嫌そうな千鳥。
「あーしも続きが気になる。どんな漫畫家なん?」
マンガとは言ってねーよ、花鶴。
「オ、オレも知らないよ……」
なぜか寂しげに肩を落とすのはミハイル。
し涙目だ。
「それはな……俺のペンネームはだな……」
あれぇ? なんか春だというのに暖房ってません?
汗が滝のように流れる。
「タクオ、あくしろよ!」
早くって言い直せよ。
「オタッキー、ダチじゃん?」
あなたみたいな、どビッチとは友達じゃありません。
「オレも聞きたい……よ?」
だから、なぜ涙目で上目遣い? ミハイルさん。
「DOドゥ・助兵衛スケベ!」
その名をんだのは一人のだった。
俺は一瞬にして汗が止まり、今度は悪寒を覚える。
「こんなところにいたなんて! 新宮くんがあの『DOドゥ・助兵衛スケベ』先生なんて……ハァハァ」
なぜか息が荒い眼鏡、北神 ほのか。
「ドゥ・スケベェ……?」
驚愕の顔でかたまる千鳥。
「スケベって、アッハッハッハ!」
床に笑い転げる花鶴。パンツ丸見えだから男子諸君は良かったら、どうぞ。
「す、すけべ?」
ミハイルは『この人可哀そう……』みたいな顔して、俺を見つめている。
「そうですよ、皆さん! 新宮くんこと、BLライトノベル作家のDO・助兵衛先生ですよ」
ファッ!
「「「……」」」
一瞬にして男子生徒たちは、俺から逃げていった。
「ち、違う! 俺はただのライトノベル作家だ! 北神、いい加減にしろ!」
「サインください!」
俺の発言は無視し、自の鞄から単行本を取り出してきた北神ほのか。
タイトル『ヤクザの華』。
表紙はガチムチマッチョなおっさんが、上半で拳銃を構えている。
イラストからして、確かにBL向けにも見える。
「タクオ! お前ソッチだったのかよ!?」
突っ込む前に、なぜそんなに離れているんだよ、千鳥。
もうちょっとこっちに近寄れ! 辛いだろ!
「お前は何かを勘違いしているぞ、千鳥!」
「否定しねーから、余計に怖いんだよ!」
「なつかしー、しかも、これ初版本ですね♪」
言い爭う俺たちを無視して、白金が北神の単行本を眺める。
「そうなんです♪ 幻の初版本です♪ これで絡めるのがたまらないんです」
「なるほどぉ……DOセンセイにはBLの需要があるのですね。一考してみます」
白金のやつ、冷靜に俺の作品を分析しやがって。
BLなんて母さんの同人だけでお腹いっぱいなんだよ!
「タ、タクト……オレはタクトの書いた本なら読んでみたいな☆」
その笑顔守りたい!
ミハイルがこの日ばかりは神さまに見えた。
「スケベっていう、ペンネームもいい…名前だな」
口がひくひくしていますよ? ミハイルさん。
なんだろ、涙が……。
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