《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》50 蘭と日葵

「そのタクト……オレも今度、読んでいいかな?」

顔を真っ赤にして、北神 ほのかが所持している小説を指差すミハイル。

おいおい、お前さん。勘違いしてねーか? BL本じゃねーぞ。

「古賀くんもBLに興味あるの?」

ログインすんな腐子。

「ビーエルってなんだ? ほのか」

あれ、ミハイルも既に下の名前で呼ぶ仲なの?

「BLとは尊き作品の総稱のことだよ♪」

「ラブストーリーか……おもしろそうだな☆」

やめろぉぉぉ! 北神、ミハイルの姉さんに謝れよ!

「ほうほう、DO先生には、BLのセンスがあるみたいですねぇ」

メモすんな、ロリババア。

「うわぁ、タクオ……今度からトイレ一緒にるのやめてくれ」

引きつった顔するなよ、一緒に連れションしろよ、千鳥。

寂しいだろが!

「あーしも、BLっての興味あるかな~」

ええ!? ギャルの花鶴まで!

「この北神 ほのかにお任せください! DO・助兵衛どぅ・すけべえ先生の作品は全て揃えておりますから!」

俺の作品はBLじゃねー。

「お、俺は遠慮しとくわ……」

強制ログアウト、ユーザーネーム『リキ・チドリ』

「ふーん、帰りに貸してちょ。ほのかちゃん」

もうやめて……。

教室中で「ホモォォォ」で盛り上がる陣と、ドン引きする男陣。

ちな、これに関してはリア充と非リア充で別れたのではなく、別で隔たれた。

例外として、ミハイルだけは俺と一緒にいる。

盛り上がる陣。

「ねえねえ新宮くん、どう絡めてるの?」

「書き専なの?」

「百合は? 百合もやらないの?」

最後のやつは両刀使いかよ!

それに屈する男陣。

「やべーよ、新宮ってホモだったのか」

「もうひとりでトイレにいけないよな」

「ハァハァ、新宮くん……」

モノホンがいるじゃねーか。

クラスは俺の小説でガヤガヤしていると、突然、雷のような怒鳴り聲が鳴り響いた。

「なーにをやっとるかぁーーー!」

気がつけば、ひとりの癡が教壇に立っていた。

その名も宗像 蘭。

「ハッ! 蘭ちゃん!?」

それを見た瞬間、白金の目が怪しくる。

宗像先生は顔をしかめた。

「日葵ひまりか?」

靜まり返る教室。

白金と宗像先生の間に出來ていた人波が左右へと分斷され、彼たちは互いに歩みよる。

「なにをしにきた? 日葵?」

「ここであったが百年目! らーんちゃん!」

何を思ったのか、白金は宗像先生目掛けて、全速力で突っ走した。

対して、先生は両腕を組んで微だにしない。

「死ねやぁぁぁ、デカパイ!」

長差を無くすためか、先生の足元で思い切りジャンプする。

顔面まで飛び上がり、頭突きをお見舞いする白金。

「甘いわ! クソちっぱいが!」

白金の頭突きが當たる寸前で、宗像先生の左腕がく。

ワンチョップ。それだけだ。

「グヘッ!」

脳天を突かれた白金は、空中から一気に床へと叩きつけられる。

「らんちゃんのバ、カ……」

そう言うと、白金は泡を吹いて気絶した。

ホラー映畫みたいな白目でね。

いい歳したアラサー史同士でなにやってんねん。

「貴様ら! さっさと席につけ! レポートを返卻するぞ!」

宗像先生、足元、足もと! 白金を踏みつけとるがな。

ピンヒールで背中をグリグリ刺しているけど、とかあかないのかな?

「「「ヒィッ!」」」

俺たちはすぐに席を整えて、著席した。

「いいか、一ツ橋高校に関係のない不審者。こんなクソチビの相手はしてやるなよ。會ったら速攻ブッ飛ばせ」

あんたそれでも教師か。

「「「はーい……」」」

そのあとは靜かに(恐怖で)みんな添削済みのレポートをけ取った。

俺は安定のオールA。

ミハイルといえば、顔が真っ青。

こいつは勉強を真面目にしてないのか?

「じゃあ、お前ら寄り道せずに帰れよ。ラブホにいったカップルはレポートを増やすぞ! 絶対にだ!」

それ毎回言うんですか? セクハラでしょ。

「宗像先生。さよなら~」

俺はそそくさと、リュックサックを背負いその場を去る……はずだった。

リュックのひもを摑んで離さないが一人。

宗像先生がするどい眼で微笑んでいる。

「古賀を置いて帰るなよ、新宮……」

振り返れば、涙目のミハイル。

「は、はいっす……」

「あと、このバカが本校に不法侵したことも『4人』で話そうじゃないか!」

ええ……。

「タクト☆ なんかわかんないけど、オレは付き合うぞ!」

マジで……。もう一緒に帰ろうぜ。

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