《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》51 取材

俺は教師、宗像先生により、下校することを強制停止された。

なぜかミハイルも一緒だ。

そして未だ白目で泡を吹いている白金もだ。

宗像先生は気絶した白金を、ぬいぐるみのように片手で抱えると「ついてこい」と事務所まで案した。

一ツ橋高校の事務所には、奧に簡易面談室なるものがある。

といっても、つい立もなく、事務所にった者からは丸見えで丸聞こえ。

プライバシーなんてもんはない。

所々、破れた一人掛けのソファーが二つ。テーブルを挾んで反対側には二人掛けのソファーが一つ。

今日はもう下校時間もあってか、事務所には俺たち4人だけだ。

宗像先生は、暴に白金を床に投げ捨てる。

「げふっ!」

衝撃でやっと目が覚める白金。

ひどい起こし方だ。

宗像先生はそれを見て舌打ちし、棚から賞味期限の表示も曖昧になりつつあるインスタントコーヒーの瓶を手に取った。

「お前ら、砂糖とミルクはいるか?」

「あ、俺はいらねーっす」

以前飲んだらクソまずかったし、いろんな意味で怖いので。

「なんだと? 新宮……この人教師のコーヒーが飲めないってか?」

顔、顔! 生徒を見る目じゃねーよ。

睨みつけるとか、どこの待教師だ。

「あ、俺はブラックで……」

「よろしい♪」

その微笑み、脅しですよね。

「古賀はどうする?」

「オレはミルクも砂糖もたっぷりで☆」

「古賀は素直でいい子だなぁ♪ 甘ーくておいしいカフェオレをつくってやるぞ」

センセー、カフェオレの意味わかってます?

「あいだだ……蘭ちゃん、わたぢも同じのお願い……」

白金は地面を這いつくばって、一人掛けのソファーまでどうにか辿り著いた。

「日葵。お前は水だ。生徒でもなければ、客人でもあるまい」

正式名稱、不法侵者だろ。

「蘭ちゃんのアホ」

~數分後~

「で? なにしにきた。日葵」

宗像先生は白金の隣りのソファーに座り、まずそうなコーヒーをすする。

「なにって、私はお仕事だよ、蘭ちゃん」

「仕事……。ああ、新宮のことか?」

「打ち合わせだってば」

いや、打ち合わせする場所を考えろよ。

「はぁ……日葵。お前は仮にも一ツ橋の卒業生だろが。生徒たちの見本になるような、大人の行をとれ。いつまでも在校生気取りでいるな」

至極、真っ當な意見だが、宗像先生から言われるとなんかムカつく。

「じゃ、さっさと終わらせろ……」

ため息をつくと、宗像先生はスマホを取り出した。

おいおい、お前が俺たちを事務所に呼んだ理由はなんなんだよ。

ネットサーフィンするぐらいなら帰らせろよ。

わかった! この、寂しいんだろ。

俺たちが帰ると、事務所でも家でも一人きりのアラサーだからな。

「では、DOセンセイ! プロットを拝見してもいいですか?」

「む……それがまだキャラ作りの途中で未完なんだ」

俺はミハイルの橫顔をチラッと見た。

ミハイルは得の知れないコーヒーをおいしそうに飲んでいる。

「あら、筆の早いセンセイにしては珍しいですね。未完でもいいので見せてください」

「か、構わんが……今度、白金と二人きりで打ち合わせじゃダメか?」

額に汗が滲む。

「なんでです?」

白金はキョトンとした顔でたずねる。

「もったいぶるな、新宮!」

そこへ暴力教師がログイン。

ってくんなよ、一生スマホとお友達でいろよ。

「そうだよ、タクト!」

ミハイルまで。しかもめっさ顔を真っ赤にしている。

どこが怒るポイントだったの?

「この子小學生とそんなに二人きりになりたいのかよ!」

ダンッとテーブルを拳で叩く。

「ミハイル、勘違いするなよ。白金はこう見えて人しているんだ」

「ウソだ! こんな大人みたことないもん!」

ダダをこねるんじゃありません。

「失禮な! この白金 日葵ちゃんはれっきとしたレディーですよ」

自分で自分のことを、ちゃん付けしてる時點で神面が人できてないな。

「まあ日葵は、形がガキなのは見ての通りだ。こんなちっぱい、放っておけ。それより新宮。なぜお前の小説を出さない? あれか、18の作品か?」

ファッ!

「俺の作品はライトノベルです! ライトな作品じゃなくなってますよ」

「じゃあなんだ? 北神がほざいていたBLとかいうやつか?」

くっ、宗像先生も腐りはじめたのか!

「違いますよ。俺のは真っ當なライトノベル」

「ジャンルは?」

「ら、ラブコメ……」

「……」

なぜ沈黙する宗像史よ。

「蘭ちゃん、今回、センセイが一ツ橋高校に學した理由は知ってる?」

「は? 勉強だろ?」

そうか、この人は知らなかったのか。俺の機。

「違うよ、蘭ちゃん。センセイが初挑戦するラブコメ……でも、作家『DO・助兵衛』先生は取材しないと書けないタイプなのよ~」

白金は『うちの子ダメなのよ~』みたいな世間話のように話す。

かっぺムカつく!

「なに? じゃあ新宮は験しに一ツ橋高校に學したのか?」

宗像先生……そんなに大きな口開けて驚かないでくださいよ。

俺に経験ないのが、おもしろいですか?

「タクトは取材対象がいるもんな☆」

ミハイルが割ってる。

こいつ……アンナのことは筒抜け設定なのか?

「なにを言っているんだ? ミハイル」

俺が問い返すと、ミハイルは「あっ!」と聲を出して、小さなを両手でふさいだ。

誤算だったらしい。

まったく。

「なにか知っているのか? 古賀」

宗像先生の目つきが鋭くなる。

ミハイルはガクブル、こうかはばつぐんだ!

「あ、あの……オレのいとこがタクトにを教えてくれるらしくて……」

ファッ!

アンナはそこまで言ってないぞ。

を掘りすぎているぞ!

「ほう、古賀のいとこか……可いのか?」

ニヤリと笑うと宗像先生のターゲットはミハイルへ向けられた。

「た、たぶん……」

だって自分のことだもんな。

「センセイ! そんな話聞いてませんよ!」

思わずを乗り出す擔當編集。

「お、落ち著け! まだ取材すると決まったわけじゃない相手なんだ……」

「なにをいうんだ、タクト! アンナは本気だぞ!」

「「アンナ?」」

宗像先生と白金は息がピッタリ。

見知らぬの名前を聞いて、二人は目を合わせる。

無言で「知っているか?」と問いたいのだ。

「古賀 アンナ……それがオレのいとこっす」

「ミ、ミハイル」

もう知らねえぞ、俺は。

「よし。を許そう……」

お前はどっから目線なんだよ、宗像。

「業務連絡です! 必ず就させてください!」

その時ばかりは、白金の目は真っ直ぐだった。

だからさ、その取材対象も彼候補も男なんだってば。

この隣りにいるやつ……。

「良かったな、タクト☆」

なにを嬉しそうに笑ってやがんだ。

いな、ちくしょう!

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