《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》52 ヒロインにはモデルがいる

「で? そのラブコメのプロットは?」

宗像先生が目で殺しにかかる。

これは出さないとレポートを増やされる……。

「わ、わかりましたよ……てか、宗像先生は関係なくないですか?」

「あぁん!?」

だからその恐ろしい眼を放つのをやめてくれよ。

「だ、出します……」

観念した俺はリュックサックからノートPCを取り出した。

もち、校則違反だけど。

すると、すぐに書きかけのテキストファイルを開く。

すると白金、宗像先生、ミハイルが顔を寄せてモニターをのぞき込む。

タイトル:未定

主人公:オタクの高校生。

ヒロイン:同級生でハーフ人のの子。普段はショーパンにタンクトップとボーイッシュだが、

デートするときは主人公好みなの子らしいガーリーなファッションを好む。

備考:主人公だけが大好き。

「……」

ミハイルが顔を真っ赤にして、口を真一文字にする。

そりゃそうだろな、これってミハイル=アンナのことだからな。

「ほう……新宮。お前、を自分に染めるタイプか?」

宗像先生がニタニタと笑う。

これはいじめだ!

「い、いえ。あくまでもフィクションですよ……やだな、先生」

苦笑いが言い訳を助長させる。

「DOセンセイ! なんですか、このヒロイン!」

白金はテーブルを叩いて、眉間にしわを寄せていた。

「なんだ? やはり、ボツか?」

「……いえ、このヒロインは合格です! センセイの作品の中で一番、キャラ立ちしていて、なによりライトノベルの読者がほぼ貞というリサーチ結果をふんでの構想。実にすばらしいです!」

おまえ、読者様になんてことを言ってんだ!

貞もいるだろ! 知らんけど。

「そ、そうか……じゃあ主人公はどうする?」

「うーん、こんな可いヒロインさんが、べた惚れになる男なんてこの世にいます?」

ここにおるんだが。

「日葵。お前、本當に出版社の人間か?」

橫からる外部の人間。

「なぁに? 蘭ちゃんは素人じゃん。黙っててよ。それともなんかいい案があるの?」

白金がムキになっていると、それをあざ笑う宗像先生。

「だってあれだろ。フィクションだろうと、新宮は取材しないとダメな作家なんだろ?」

「……?」

なんか嫌な予

「こうしろ、主人公は新宮本人をモデルにすればいい」

「はぁ? DOセンセイを?」

「ヒロインもモデルがいるんだろ? なら主人公は新宮でいいじゃないか?」

クッ、俺が一番危懼していた展開だ。

「なるほど……DOセンセイ! それでいきましょう! 主人公はDOセンセイ本人で!」

「嫌だと言ったら?」

俺が震えた聲で尋ねる。

「斷ったら、これまでの數々の経費を卻下しますよ!」

経費、それはなんてすばらしい言葉なのだろう。

仕事に関わるものであれば、なんだって所屬している出版社が支払ってくれるのだ。

ちなみに俺の今月の経費はほぼ映畫の料金だ。

たぶん3萬ぐらい……。

「や、やるよ……」

「これで決まりですね! 引き続き、その取材対象の方にを教わってください♪ これは業務連絡ですからね♪」

ニコリと笑う白金。しかし、目が笑ってねぇ。

「了解した」

ミハイルに目をやると顔を真っ赤にして、床ちゃんとお友達している。

ふむ……これは面倒なことになったな。

~帰り道~

「なあ本當に良かったのか、ミハイル?」

うなだれる彼に聲をかけた。

「え、え……オレ?」

額から汗が尋常じゃないぐらい流れているぞ。

「ああ、お前の……いとこに迷かけてないか?」

なんか言葉遊びになってない?

「アンナのことか? なら、大丈夫! タクトのこと気にっているらしいから☆」

なに、この遠回しな『I・LOVE・YOU』わ。

「まあアンナがいいなら構わんが」

「大丈夫だって☆ オレのいとこなんだから」

お前にいとこがいたら、ヒドイ目にあっているんだろうな。

「そうだ☆ 今朝、アンナからオレにL●NEが屆いてさ……」

自分から自分にL●NEって、病んでない?

「タクトとアンナって、一緒にプリクラ撮ったらしいじゃん?」

らしい夢の國のネッキーがショーパンからニョキッと現れる。

「やぁ、ボクの名前はネッキー。今日はとっても天気がいいね! 一緒にひきこもろう!」

なんていいそうだな。

「なに言っているんだ? タクト?」

ネッキーをおもちゃにしたせいか、ミハイルさんに睨まれた。

スマホを手にとると、スワイプする。

待ちけ畫面がでた瞬間、俺は愕然とした。

「タクトの寫真だから待ちけにしちゃった☆」

しちゃった☆ じゃねー!

引きつった笑顔の俺と裝したミハイル……つまりはアンナとのツーショット寫真。

報がダダれじゃないか。

「そうか……なあ、その寫真、どうやって送られてきたんだ? アンナがスマホでプリクラを撮ったのか?」

いわゆるデジタルフォトに近いものであったので、興味がわいた。

「これ、知らないの。タクト?」

「え? なにがだ」

「プリクラ撮ったらIDとか書いてあるじゃん? バーコードとか」

「そんなものあったか?」

「あったよ! そのIDとかバーコード使うと、無料でサイトからダウンロードできるんだよ☆」

「なるほどな……俺も帰ってダウンロードしてみるか」

そう言うと、ミハイルは嬉しそうにニッコリ笑った。

「オレの寫真、メールで転送してやるよ☆」

「す、すまんな……」

その作業はアンナちゃんにやらせてよくね?

々と手順が面倒な多重人格さんだな。

駄弁りながら、俺とミハイルは赤井駅に向かった。

そして電車に乗ると、今回は真島まじま駅で降りるのではなく、席むしろうち駅で二人して降りた。

「さあ、タクト☆ オレが席を案してやるよ☆」

「了解した」

されるまでもないだろ……。

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