《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》55 見栄と常識

「も、もういいぞ! タクト」

顔を赤らめて、扉を開くミハイル。

特段、部屋の見た目は変わってない。

やはりエロ本の隠し場所でも変更していたのか?

「ああ……」

俺は待つこと5分ほど。やっと許可が下りたので彼の部屋へることにした。

「どこにでも座ってくれよ☆」

「すまんな」

部屋の真ん中あたりに小さなガラス製のちゃぶ臺がある。

ちなみに形はハートである。

ちゃぶ臺を挾むようにして、これまたハートのクッションが二つ並んでいた。

今日はバレンタインデーでしたかな?

俺は右手にあるクッションに腰を下ろした。

ミハイルが「飲みはなにがいい?」と聞いてきたので「コーヒー、ブラックで」と答える。

彼は俺の答えにニカッと微笑み、リビングまで小走りで去っていった。

やけに嬉しそうだな。

こいつもこう見えて、友達がない……可哀そうなやつなんだろうか?

ちゃぶ臺の前に目をやった。

今時、珍しいブラウン管のテレビ。

ベゼルが太すぎぃ~なせいもあってか、ハートのシールがりまくってある。

これでは映像を見る際、ハートが気になって集中できないのでは?

「お待たせ☆ タクトのぶん!」

ミハイルはネッキーのグラスを差し出した。

「あ、ありがとう」

なんかコーヒーが似合わないよ!

だが、俺好みのアイスコーヒーで旨い。

スクリーングの疲れが吹っ飛ぶぐらいだ。

ミハイルは俺の対面に腰を下ろすと、なぜか正座している。

ショーパンを日頃から履いているせいもあってか、ヒップが更に強調され、白くてきれいな太ももが堪能できる。

くっ! ヤンキーのくせしてお行儀が良すぎかよ!

「じゃあオレもいただきまーす!」

そう言うと、ミハイルはネニーのグラスを両手で持ち上げた。

俺と違い、いちごミルクでストローつき。

まあこいつはお口がちっさいからな。

「んぐっ……んぐっ……」

なんで、君が飲み食いしていると違う音に聞こえるかね。

「ぶはぁっ! はぁ、はぁ……おいしかった☆」

それ、本當にいちごミルク?

別のミルクってない?

「ところで、ミハイル」

「ん? なんだ?」

「お前の姉さんが『今夜は泊まっていけ』とか言っていたが……本気か?」

「え!?」

ミハイルはボンッ! と顔を赤くする。

「ねーちゃんが、そんなこと言っていたのかよ!?」

「ああ」

「ど、どうしよう! タクトのパジャマがないよ!?」

そんなこと俺に言われてもな。

「ならば帰ろう。急に來て迷だしな」

咄嗟に逃避フラグを立てておく俺、グッジョブ。

「え? か、帰るの!?」

顔を赤くしたと思ったら、今度は驚くミハイル。

かでいいですね。

「だって、母さんやかなでにも伝えてないしな」

「そ、それはそうだけど……かなでちゃんにはオレから電話しておくよ!」

を乗り出すミハイル。

互いのが重なりそうなくらいな至近距離。

「卻下だ。母さんはミハイルが我が家に泊まった時にこう言っていただろ?」

「?」

俺はわざわざ母さんのものまねで答えてあげた。

「今度ミーシャちゃん家にお母さんのお菓子を持っていってちょうだい☆ ……とな」

「そっか……でも気にしなくていいよ☆」

くっ、早くしないとおんめーのねーちゃんが風呂から上がるだろうが!

「いいか、ミハイル。大人には見栄ってのがあってな。菓子折りぐらい持っていかせるのが大人の常識……」

と言いかけた瞬間だった。

ミハイルの部屋の前で仁王立ちしているを発見。

「いらねーよ、そんなもん」

そのお人はまたもやブラジャーとパンティのみという防力ゼロの裝備で、俺の目の前に現れた。

逃避フラグが折れた……。

「だいたい、あたいはパティシエだぞ? 菓子なんぞ、こっちが土産としていくらでもやるよ」

背後から『ゴゴゴゴゴ』とスタンドがき出す。

これは……なにか口答えすれば、殺される。

「あ、今晩お世話になりまーす」

苦笑いでごまかした。

「坊主、お前。飲み込みが早いな☆」

きっしょ!

「あぁ!」

突然、慌てるミハイル。

そして、俺に飛びついて抱き著く。

「な、なにをする? ミハイル」

「だって、ねーちゃんがじゃんか!」

絶壁ので俺の視界は真っ暗だ。

だが、ミハイルの香りが心地よく、また彼の心音が聞けて、BGMは最高だ。

「ミーシャ、じゃないだろ~ 下著を著てるじゃん」

ヴィクトリアの顔は見えんが、きっと意地悪そうな顔なのだろう。

「ねーちゃん! タクトは男なんだよ! 早く服を著て!」

いや、お前もだろ。

「は? どうしたんだ、ミーシャ? 力りきだっていつもあたいのを見てるけど?」

「力はタクトと違うもん! あいつはちっさいころからねーちゃんの見てたもん!」

ええ……ちょっと、ドン引きだわ。千鳥のやつ。

「はぁ? おかしなミーシャだな……ま、あたいは服でも著るべ」

そう言うと、足音が遠くなる。

その間、ずっと俺はミハイルので暖められている。

、ばんざ~い!

「も、もういいぞ……タクト」

抱擁タイム、終了ですか?

延長ってお願いできないんですかね。

「なんか々とごめんな……」

顔を真っ赤にさせて、モジモジしだすミハイル。

「まあ我が家もあんなじだから、気にすんな」

「う、うん……」

それが大問題なんだがな。

「じゃあ、お泊り決定だな! オレがかなでちゃんに電話しておくよ☆」

「いや待て……」

話している途中だというのに、俺を無視して既にスマホで通話しだした。

「あ、かなでちゃん? うん、オレ☆ タクト、今日うちに泊まるからさ」

『了解ですわ。それより、ミーシャちゃん、ハァハァ……今日の下著は何ですの?』

隣りにいても聞こえてくる変態の聲が(妹)。

「え? ブルーかな?」

『ハァハァ……そ、それでどんな形ですの? リボンは付いてますの?』

「普通だけど」

『ハァハァ、まだまだノーマルですのね。ミーシャちゃんは、デヘヘ……』

俺はミハイルのスマホを取り上げると、電話をぶち切ってやった。

人の友人になにを吹き込んでいるんだ、あの変態妹は。

    人が読んでいる<気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください