《勇者になれなかった俺は異世界で》ナナリア村とソラ
學園から転移を使い俺達はナナリア村と言う小さな村に來ていた。
しぼろい民家が何軒か建っており、
その周りには幾つか畑などがあるただの村だ。
この村に來た理由はあまり人に會いたくないからだ。
萬が一ショリディア學園の生徒と出會ったら面倒くさい。
そして俺は今、村人達と一緒に畑を耕している最中だ。
この村には宿は無く村長の家に泊めさせてもらっているため、
俺はせめてものお禮として村人達のお手伝いをしているのだ。
し大変だが、モンスターと戦うよりは數倍マシだ。
それに村人達からは休憩時間に差しれなどをくれるから悪くはない。
ちなみに、ヤミは日でライラに言葉を教えている。
流石に竜人語だけでは不便だと思いヤミに頼んだのだ。
そして、スラはずっと俺の頭の上にいる。
し邪魔だがスラはひんやりとしているので頭の熱が冷やされ涼しい。
それにしても、畑を耕すのは腰に來るな
……強化リインフォースメント・ボディを使えばきっと楽になるんだろうけど、
使ったら々と人間離れしたきになってしまうからな……。
別に問題無いが、々と言われたりしたら面倒だしな。
「ふぅ~。」
俺はし疲れ鍬くわを地面にたて、
大きく息を吐いた。
「おっ?兄ちゃん、休憩するかい?」
綺麗な茶髪でDQNみたいな顔をしているゴリエヴィチ=ラーマディウデヌ。
略してゴリラが満面の笑みをしてそう言ってきた。
顔と名前はこんなんだけど凄く優しくて良い人だ。
「ああ、慣れない事をすると流石に疲れるな。」
「そうか、じゃあ、休憩するか!
ちょっと待っとけよ、疲れがとれるほど味しいもんもってくるからよ。」
そういってゴリラは自分の民家にっていった。
「楽しみだ。」
俺は近くにあるし大きめな巖の上に座りゴリラが戻ってくるのを待った。
數分後、ゴリラは片手にかごをぶら下げて戻ってきた。
「待たせたな、ほれ。」
ゴリラはかごに被せてあった布を取ると
そこにはサンドイッチらしきがあった。
一目でサンドイッチとわかったが、
ゴリラが何やら聞いてほしそうにチラチラと見てきているので仕方なく聞くことにした。
「……これは?」
「フッハハ、良くぞ聞いてくれた!
これは俺の妻が作ってくれた特製サンドイッチだ!
中にはこの村でとれた野菜と
野生のゴブリンのに特製のドレッシングをかけてあるんだ!」
ゴリラは凄く楽しそうに語っている。
……つか、ゴリラって結婚してたのかよ。
ビックリだわ。
「ん?どうした?驚いた様な顔をして……。
まぁ、良い、ほれ食べてみろ。」
「ああ、ありがとう。」
モグモグ
「うっ!?うまい。」
「だろ!兄ちゃんが何時も手伝ってくれるなら毎日食べさせてやるぞ!」
「まじで!手伝う!」
俺は即答した。
こんな味しいものが毎日食べられるなんて幸せだ!と思ったからだ。
それからじっくりとサンドイッチを食べ、
俺とゴリラは再び畑を耕し始めた。
・・・・
それから約一週間。
俺はヤミとスラと一緒にゴリラの手伝いをしていた。
ちなみに、ライラは日でひたすら言葉を勉強していた。
俺は意外と真面目だな。
とおもったがそれは緒だ。
人手が増えると作業も早くなり、休憩の時間も長くなった。
休憩時間にはゴリラの奧さん特製のサンドイッチを食べ、
しばらく休憩してから再び作業をする……こんな事を繰り返していき、
更に一週間が経った。
「さて、今日から薬草を採りに行くぞう!」
「薬草か。」
畑を耕す作業は終わったので
俺とヤミとスラはゴリラに連れられ、薬草を採りに近くの山に來た。
薬草を採取しているとゴブリンが襲ってきたりしたが、
俺達が手を出す前にゴリラが瞬殺してくれた。
意外とゴリラ強い。
薬草採取を終え休憩時間にサンドイッチを食べ、
ゆっくりしてから村に帰った。
「おかしい。」
「だな。」
村が近くなると急にゴリラが歩みを止めそう言った。
丁度俺もゴリラと同じ事を考えていた。
何故なら、まだ夜では無いのに村が靜まり返っていたからだ。
何時もは、子供の笑い聲やおじいさんやおばあさんの大きな話聲が聞こえてくるのだが、今は一切聞こえてこない。
「どうする?」
「……兄ちゃん達はここにいてくれ。
もし、數十分経っても俺が戻らなかったら助けを呼んでくれ。」
「そうか、わかった。」
俺は村には伝説の種族のライラがいるので別に何があっても大丈夫だろ。
と思いそう答えた。
ゴリラはそれを聞き、村に向って走っていった。
「ん~、帰ってこないな。」
「しんじゃった?」
「おおう、真顔で恐ろしい事言うなよ。
……あっ、」
ゴリラが村に向ってから數十分が経ち、
俺はふと、気になることがあったのでヤミに聞いてみることにした。
「なぁ、ヤミ。
ライラってさ今日も勉強してるのか?」
「いや、きょうはずっとねてるって」
実にアイツらしい。
タイミング悪すぎだろ。
「……はぁ、行くぞ。」
「うん」
俺達は村に向って走り出した。
村の中にると村人達が男とを分けられて二箇所に集められていた。
村人の中にはからを流している者もいる。
恐らく、村人達を囲んでいるあの見るからに貴族みたいな奴と
そいつの護衛らしき人達にやられたのだろう。
そんな景を俺達はこっそりとから見ていた。
「うわ、見るからに貴族ってじな奴いるな。」
「うん、きらい」
「同じく。つか、ゴリラどこ行ったんだ?」
「ん、あそこ。」
ヤミがそう言って指をさした。
その方向を見てみると、縛られたゴリラがいた。
ゴリラは村人達からし離れた場所で縛られ地面に転がらさせて
數人の鉄裝備をした護衛達に蹴られたりしている。
そして、ゴリラの近くでは縛られたの人が何やらんでいる。
「おぉ……」
あれは……確かゴリラの奧さんだ。
一度だけ見た事がある。
ゴリラと同じ綺麗茶髪をしていて、
中々顔立ちが良い人だった。
奧さんと出會って俺は、何でこんなDQNみたなゴリラにこんな綺麗な人が
……うらやましい。と思っていたので良く覚えている。
それにしてもどういう狀況なんだ……。
「おい、まだ村人がいたぞ!」
「っ!」
「みつかったー」
そんな事を思っていると、突然、護衛Aが此方を指さしてそう言ってきた。
護衛Aが言った言葉に反応し、その場にいた全員が此方を向いた。
「おやおや、まだいたのか……おっ、なかなか可いお嬢ちゃんがいるな。
よし、お前ら、あのの子を連れてこい。
男の方は適當に縛り付けとけ。」
「「「「はっ!」」」」
貴族みたいな奴がそういうと4人の護衛達が此方に向ってきた。
やっぱり、あの貴族みたいな奴がリーダーか
……それにしても、ヤミに手を出そうとするとは中々良い度だ。
「ヤミ、俺は右の二人をやるからヤミは左の二人を頼む。
死なない程度にな。」
「わかった」
俺はヤミにしか聞こえないように小聲でそう言った。
何故、殺さないのかと言うと単に面倒くさいからだ。
決して殺す勇気が無い、怖いとかではなく、
もし、殺したら村人達から々と言われたりして面倒くさくなりそうだからだ。
護衛達と俺達の距離が大半分ぐらいに狹まったのを確認し、
俺は口の端をつり上げて不気味な笑みを浮かべた。
「久しぶりの戦闘だ。楽しませろよ?」
俺は護衛二人に向って走り出した。
護衛達は驚いていたが、直ぐに武を構え戦闘態勢にった。
俺は走りながら「強化リインフォースメント・ボディ」と呟き、
強化を全にかけた。
何もかも人間離れしたきになった俺は目にもとまらぬ速さで
護衛の目の前に行き、腹に拳を打ち込んだ。
護衛はごふぅと変な聲を出し蹲った。
俺は、蹲り腹を手で押さえている護衛の手を無理やり腹から離し、
その手を上に引っ張った。
「うっっ?」
護衛は苦しそうにしながら不思議に思っている様なき聲を上げた。
それを聞いた俺は不気味な笑みを浮かべ勢い良く護衛の腕を折った。
「痛いけど死にはしないから、頑張れ。」
「ア゛ア゛ッ……。」
護衛が痛みのあまり汚い聲を出し、
うるさかったので俺は首をチョップして気絶させた。
「貴様ぁっ!」
直後、もう一人の護衛が剣で斬りかかってきた。
俺はそれを避けずに左手で摑んみ、ギンッ!と金屬音が鳴り、
護衛の剣は俺の手の中で止まった。
「こんなもんか?」
――バキンッ
俺は左手に力をれ剣を折り、宙に浮いた剣先を摑み、
護衛の右の太ももに刺しこんだ。
「うあああっ!」
護衛は痛みのあまり地面に倒れこんだ。
俺はそんな護衛を蹴り仰向けにし、「
「苦しめ、重力作グラビティ・コントロール。」とんだ。
そして、太ももに刺しこんだ剣先が重力によってどんどん太ももの中にっていった。
護衛は最初はんでいたが、途中から痛みのあまり気絶してしまった様だ。
「ふぅ、終わった。ヤミは……ってもう終わってたか。」
ヤミの方を見ると、退屈そうにしているヤミの姿があった。
その近くにはし焦げた護衛達が転がっていた。
ヤミは俺の視線に気付くと、走って此方によって來た。
「おつかれ。」
「ますたも」
俺はヤミに頭をポンポンとしてやった。ヤミは嬉しそうだ。
「さぁ、次は誰が相手だ?」
俺はヤミの頭をでながら、
貴族みたいな奴と殘った護衛達の方を見てそう言った。
「そこの貴族さんか?」
「ひぃい、お、お前らどうにかし――」
――ブシャッ!
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」
突然、貴族の腕が宙を舞、しぶきが上がった。
俺も突然の事で驚いていると、貴族の後ろから何者かの影が現れた。
「まったく、私の主人に迷をかけるな。」
「ビックリした……ライラか。」
タイミングは良かったが、
そもそも、ライラが寢てなければこんな事にはならなかっただろう。
まぁ、久しぶりの戦闘だったから良かったけど。
・・
それから俺達は戦意喪失した護衛達を縛り一箇所に集めた。
一応出している奴らには止をしてやった。
護衛達を一箇所に集め終わり、
俺達は手分けをして村人達を縛っている縄を解き、
出している村人達にはヤミのスキル【全回復】で治療した。
村人達からお禮を言われ悪くない気分だ。
子供達は目をキラキラと輝かせて憧れの眼差しを向けて來ていた。
「さて、ライラには言いたい事があるが、その前にだ。」
村が貴族とその護衛らしい奴等に襲われていた。
何故こんな小さな村が襲われたんだ?
俺はそんな疑問を抱き、
それを一番知っていそうな人の方を見た。
「村長、一何があったんだ?」
俺がそう言うと、皆の視線が村長に向けられた。
村長は一瞬ビクッ!となったが、
直ぐに冷靜になりし長いひげを弄りながら喋りだした。
「……あの貴族は巷で噂の奴隷狩りなんじゃ、
恐らく、たまたまこの村が目にって奴隷狩りをしに來たんじゃろ。
だが、そこにAランクの冒険者が現れ焦った貴族は人質を取り脅し、
縛りボコボコにされていた時にお主達が來たのじゃ。」
奴隷狩りの貴族か……ライラに腕をやられてし可哀そうだと思ったが、
今回ばかりは良くやってくれたライラ。
俺もしスカッとした気分だ。
そう思い、俺は無言でライラの頭をでた。
ライラは不思議そうな顔をしていたが、
直ぐに顔がにやけて『ぬぅうへへへ~』と何とも気持ち悪い聲を出していた。
「つか、Aランク冒険者何て居たのか?
それっぽい奴は見なかったんだが……」
すると、村長は何やら困った表をしてとある方を指さした。
「え゛?」
俺は村長の指さす方向を見て驚きの余り、変な聲を出してしまった。
何故なら、そこには縄で縛られボロボロになったゴリラがいるのだから。
つか、誰もゴリラの縄解いてやってないのかよ。
しかも奧さんはその橫で笑ってるし……可哀そうだなゴリラ。
そんな事を思いながら俺達はゴリラの元に向った。
「な、なぁ、兄ちゃん、
縄解いてくれねえか?」
「ん~どうします?奧さん」
俺は意地悪な笑みを浮かべゴリラの奧さんにそう聞いた。
すると、奧さんは満面の笑みを浮かべ
「しばらくこのままにしときましょう。」
と言ってきたので俺はそれに賛した。
「おいおい、俺が何をしたって言うんだ!なぁ!」
「まぁ、落ち著けよ。
ヤミが回復してくれるからさ。」
俺がそう言うと、ヤミがゴリラに全回復を掛けた。
ゴリラの全が緑のに包まれ、一瞬でボロボロだったが綺麗になった。
「お、おう。嬢ちゃんありがとよ。
って違う!違くないけど!
何で俺が縛られたままなんだよっ!」
「うるさいな……。」
「何だと!?良いのか兄ちゃん、
このままだと二度とサンドイッチ食べさせないぞ!」
それは困るな……あんな味しいが食べられなくなるなんて……。
「大丈夫ですよ。ソラさん。
言ってくれれば私が何時でも作ってあげますから。」
うぉお!この人天使だ!
本當、何でこんな天使がこのゴリラ何かと……まぁ、良い。
人それぞれだからな。
「な!裏切ったな!!」
「ふふふ」
この野郎。目の前でいちゃつくな。
……それより、そろそろ本題にるか。
「なぁ、そろそろ本題にっていいか?」
「本當なら縄を解いてからにしてほしが……まぁ、良い。何だ?」
「……Aランク冒険者だったんだな。」
確かにゴリラは普通より強いと思っていたが、
まさかAランクだったとはな、流石に驚いた。
「ああ、そうだ。……失したか?」
ゴリラは先ほどまであんなに元気だったが、
何故か凄く暗くなった。
「失?」
「ああ、Aランクの冒険者が何も出來ずに縄で縛られ、
ボコボコにされていたんだぞ?俺ならそんな景を見たら失するぞ。
Aランクのくせに一人も救う事が出來ないのかよ、
所詮Aランク何てただの飾りだったんだなって。」
……何言ってんだこいつ。
「はぁ、あのな。お前は何もわかってないな。」
「え?」
「もし、お前が馬鹿だったら恐らく今頃死人が出ていただろうな。
お前が人質を取られたとき素直に従ったからこそ誰も死ぬことが無かったんだ。
もし、お前がその時のでいていたら恐らく人質になった
奧さんは死んでいた。
それに、お前は俺達に指示を殘して村に向った。
あの時の指示は普通の人だったら出來ないだろうな。
あの指示が出來たのはお前がAランクになる為
に必死に戦闘を繰り返して來たからからこそ出來る指示だ。」
やっべ、ゴリラがポカーンとしてる!
自分でも何言ってるかわからねえ!
俺こういうの苦手なんだよな……。
「まぁ、何だ。お前は良くやったと思うよ。」
よし、綺麗にまとまった!
ってなんでゴリラ泣いてんだよ!
「おう゛、あ゛り゛がと゛よ゛」
「な、何で泣いてんだよ!」
「○※◎△¥●&%#□◇#△~」
「いや、何て言ってるかわかんねえよ!
泣き止んでから喋れ。」
まったく、大の大人が何泣いてんだ……。
それからしばらくして、
やっとゴリラが泣き止み再び喋りだした。
「だってな、兄ちゃんがあんな事言うからしちまってよおお!」
「そ、そうか。」
何か伝わった様だな。
うん、良かった。
「それよりも、兄ちゃんも冒険者なのか?
隨分と冒険者の事を知っている様な口調だったが。」
あ、しまった。まっ、いっか。いっそばらした方が楽になるし。
手伝いとかでも強化リインフォースメント・ボディを使えるようになるし。
「ああ、そうだ。俺も冒険者だ。ほれ。」
俺はそう言って、金のプレートを取り出しゴリラに渡した。
ゴリラはそれを不思議そうにけ取りプレートの容を見た。
「Sランクだとおおおおおおおおお!?おおおうぇえええ」
「うわっ!汚え!。何しやがる!」
・・
それから、俺達は村人達からヒーロー扱いされ、夜には宴が開かれた。
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