《勇者になれなかった俺は異世界で》泣き蟲な神様
取り敢えず家に帰らないとな……
でも、このじゃくことすらままならないぞ。
回復魔法使うにも今の狀態じゃきついし、
ここに居たって助け何て來るわけないしな。
んー、取り敢えず寢ようか。
寢てしでも力を回復させて、それから魔法で傷を直したりするか。
寢て居る間にあのスライムが再びやってくる可能がある。
だが、そんな可能が在ったとしても俺はきが出來ない狀態だ。
寢て居ても起きて居てもヤツが再びやってきたらどの道俺は死ぬだろう。
死ぬんだったら寢て居る時の方が楽かもしれないな。
まぁ、一度俺の事を不味くて吐き出しているんだから戻って來る訳無いと思うがな。
……つか、痛みがひどくて寢る事すら出來ないんじゃないか……
・・
なんて事は無く、俺は自然かなベッドの上で心地の良い風に
當たりながらぐっすりと眠ってしまっていた。
死ぬ思いをしてかなり神や力が限界だった俺は痛みなんて気にならないぐらい疲れていたらしい。
「ん……夕方か?……っ!痛っ」
結構な時間休んでいた為、寢る前と比べるとかなりが楽になった。
空は大きな木によって遮られている為、夕方かどうかは分からない。
さて、足は滅茶苦茶痛いが力は回復したし……
取り敢えず回復魔法使ってもうし力を回復したりするか。
「よ、天の加護の元に我の傷を癒したまえ――治癒ヒール」
が全を包み込む。
ああ~気持ちいなこれ。
から疲れとかが抜けて行く~ああ~癖になりそう。
自分のに何度も治癒を掛けながら俺はふと思った。
そう言えば、拘束魔法とか、強化系の魔法使えるだった……
それ使えばもうしましな結果になったかもしれないな……はぁ。
本當に馬鹿だな、俺。
「はぁ。」
治癒で力は大分回復したけどやっぱ足の痛みは取れないか……
それに、このネバネバどうにかならないかな。
一度スライムの口の中にった俺のは全的にネバネバとした汚い何かがこびりついている。
恐らく、スライムの唾だろう。
嫌だな……このまま家に帰るのか。
綺麗にする魔法とか覚えとけば良かったな。
帰ったら本読んで覚えよう……
「よいしょ……いてぇ」
俺は枝を杖代わりにして何とか立ち上がった。
「おとっと。」
凄くバランスが悪く、直ぐに転びそうになる。
これはかなり辛いな……家まで付くのに何時間かかる事やら。
草木が生い茂る森の中、慣れない歩き方をして
彼方此方が痛くなりつつも頑張って歩き続けた。
途中枝がダメになり、近くに落ちていた枝に変えたり、
開けた場所に出るとし休憩したりしながら歩き続けた。
全から汗が溢れだし、の中の水分が徐々に失われ行く。
魔力量も殘り僅かなのか、魔法を使おうとすると酷い吐き気を覚える。
痛みと疲れが溜まり徐々に力も失わて行く。
「……っ」
こりゃ、かなりやばいな。
片足が使えないとこんなにも歩きにくく疲れるんだな……
くそっ、もうし考えて魔法使えば良かった。
幸いこの森は大きな木のお蔭で日のはしてこない。
不幸中の幸いだ。
今の狀況で日のなんてあったら恐らく俺は倒れているだろう。
「っ!」
意識が朦朧とする中、俺の目にはこの薄暗い森の中を照らすが映った。
だ。
もうしだ。
もうしで森を抜けられる!
が見えた瞬間、俺のは勝手に走り出していた。
走ると言っても枝を使いながらなので凄く遅い。
「――ッ!!」
眩しっ!
やっと森から出る事が出來、數時間ぶりの日のを浴び思わず腕で目を隠した。
どうやら、訓練所に出たらしい。
訓練は既に終わっていたらしく、余り人の姿が見えない。
數人の姿は見えるが、意識が朦朧としていて何人いるのか分からない。
やっと、森から出れたな……
あぁ、疲れた……
森から出れて無事――無事では無かったが、
生きて帰って來れて安心した俺はその場にパタリと倒れた。
誰かが此方に走って來る音が聞こえる――
・・
「ん?ここは……」
目を覚ますと俺は見覚えのある空間にいた。
そこは只々真っ白な空間が広がっている不思議な所だ。
「……ああ、懐かしいな。」
何年ぶりだろうか。
本當に懐かしいな。
……って何で俺はここにいるんだ?
まさかっ!エリルス――いや、そんなわけないか。
どうせ、ヘリムの野郎だろうな。
折角の機械だ、溜まりに溜まった文句を言ってやる。
「さぁ、出てこい!」
「……」
あれぇ~?出てこないぞ……
くそっ!アイツ隠れてやがるな!
「何処にいるんだ!!――ヒィィ!」
突然、俺の背後から手がニョキっと出て來て俺のを弄り回した。
謎の手は素早く細やかに俺のを弄繰り回して來る。
「やめ……ろ!ヘ……リム!」
々な所をられ、真面に話す事が出來なくなっていた。
くそっ!こいつ……
こうなったら俺も――
俺は後ろに手をばし、犯人の髪のをグイと引っ張った。
「痛い痛い痛い!!僕が悪かったよ!謝るから!!」
髪を引っ張ると同時にそんな悲鳴が聞こえてきた。
この聲、やっぱりヘリムだ。
このくそ野郎、何が許してだ絶対にやめてやんねえ。
「いててててて!ごめんなさい、
ごめんなさい!もうしないから許して――ねっ?」
「ふんっ!」
何かムカついたので俺は更に力をれた。
「いててててててて!!まって、本當に髪の抜けちゃう!
僕ハゲたくないよおお!本當に許して、なんでも言う事聞くからああ!」
ん?今何でもって……
「仕方ないな。許してやるよ。」
「うぅ……酷いよソラ君」
頭を押さえてシクシクとしながら俺の前に出てきた。
「うるせえ、お前が悪い。」
「ちょっとふざけただけなのに……」
「黙れ。」
「えへへ~何だかソラ君にそうやって言われると興するな~」
うわ、こいつMだったのかよ……
きもい――何て言ったら更に興しだすからやめるか。
「……」
「あれ、きもいとか言ってくれても良いんだよ?
――まぁ、いいや。じゃあ、本題にろうか。」
「ああ。」
一何を話すのか。
俺がそんな事を思っているとヘリムは急に頭を深く下げた。
「は?」
「ごめんなさい!本當は直ぐにソラ君の所に行きたかったんだけど々と忙しくて
……僕が早く行かなかったから今日、ソ
ラ君が死にかけて……本當にごめんなさい!」
ヘリムは頭を下げ俺に何度も謝ってきた。
……本當はその事で滅茶苦茶文句いってやろうと思ってたが
何かそこまで謝られると、
流石に文句言えないな――だが、俺は此処で許すほど甘くはない!
「お前――っ!」
俺が文句を言おうと口を開くと同時にヘリムが泣き始めた。
ごめんなさいと何度も謝りながら。
ポタポタと地面に雫が落ち、ヘリムの泣き聲が響き渡った。
ああ……流石に今文句を言うのは不味いな。
はぁ、仕方ない。
今回は此奴にも々と事があるらしいし許してやるか。
「顔上げろよ。」
俺がそう言ったが、
未だにヘリムはごめんなさいと連呼しながら一向に顔を上げようとしない。
ん~?
こういう時どうすればいいんだろうか。
……分からんぞ、取り敢えず此処は俺なりに――
「おい、泣き蟲野郎。さっさと顔上げないと本當にお前の事許さないぞ。いいのか?」
「うぅ……ダメ」
「じゃあ、さっさと泣き止め、そして顔上げろ。」
「うん……し……待って。」
もし、この空間に俺とヘリムの他に人が居て、
今の景を見たら間違えなく俺がヘリムの事を
いじめてるみたいなじになってるんだろうな。
ヘリムがし待ってと言ってから既に數十分は経っているが、一向に泣き止まない。
その間俺はどうしたら良いのか分からず、ボケーと立っていた。
んー、こんなに泣いて良く涙枯れないな。
はぁ、何か嫌だな……
一応の子が目の前で泣いてるのに何もしないで見てる俺の事が。
何もしないって言うか、本當は何も出來ないんだけどな。
こういう時男ならどうしているんだろうか。
俺は頭の中でとある漫畫のワンシーンを思い出した。
あっ!そうだ。
こういう時は相手の事を優しく抱きしめ――
ってそんな事出來るか――っ!!
もっと違うのは無かったかな……
俺は再びとある漫畫のワンシーンを思い出した。
あっ!これなら行けるぞ!
抱きしめるよりかなり簡単だな。
俺は心の中でそう呟き、ヘリムに近付いた。
そして、ヘリムの頭に手を優しくポフンと置いた。
んー、ここまで行に移したのは良いが何て聲を掛けようか。
泣くなか?いや、これはさっき似たような事を言ったからダメか。
……そうだ、此処は無言でナデナデしてやろう。
「……」
おお……此奴って意外と髪のサラサラしてんだな。
引っ張った時は気付かなかった。
し手のひらがくすぐったいな。
「ねぇ……」
「何だ?」
ヘリムの髪ののを楽しんでいたら、ヘリムが泣きながら聲を掛けてきた。
俺は、突然聲を掛けられし驚いたが直ぐに冷靜になり返事をした。
「まだ……涙が止まら……ないから……」
「おお?そうか。」
「……貸して……」
「構わないぞ」
……え?何か返事しちゃったけど貸してってどういう意味だ?
俺が戸っていると、ヘリムが俺に抱き著いてきた。
「ちょ――」
突然抱き著かれ、その勢いで俺はバランスを崩してその場に仰向けに倒れてしまった。
「危な……」
ヘリムの事を見ると顔を真っ赤にして泣いていた。
俺は言いかけた言葉を飲み込み、再びヘリムの頭に手を置いた。
・・
それから暫くして、ヘリムの泣き聲が聞こえなくなった。
おっ、やっと泣き止んだか。
まだ、若干がピクピクといているが。
「もう大丈夫か?」
「うん……だけど今僕の顔酷い事になってるからこのままで良いかい?」
「別に構わない。」
「ありがと。」
……會話途切れてしまった。
んー、何か調子狂うな……
ここは俺から話すか。
「なぁ、ヘリム。」
「ん?」
「俺の力じゃこの世界救うのは無理そうだ。」
「どうして?」
「この世界じゃ俺は只の人間だ。力も無ければ才能も無い……只の凡人だ。
今日だって俺はスライムに殺されかけたんだぜ……」
「知ってる、全部見てたよ。」
うわ、まじかよ。
こいつ……いや、今はやめて置こう。
「見てたんだったら分かるだろ?俺の力じゃ――」
「諦めないで。」
「は?」
「ソラ君」
「何を?」
「ソラ君の心――魂、心は高理ソラ――ソラ=バーゼルドの時と同じ何だよ。」
「何が言いたい?」
「これだけは覚えておいて、例え転生してもソラ君はソラ君なんだよ。」
「だから何が言いたい――」
・・
「……あれ?」
気が付くと俺は真っ白な天井ではなく、見覚えのある天井を見上げていた。
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※ルビ大量に間違っていたようで、誤字報告ありがとうございます。 ◆TOブックス様より10月9日発売しました! ◆コミカライズも始まりした! ◆書籍化に伴いタイトル変更しました! 舊タイトル→魔力ゼロなんだが、この世界で知られている魔術理論が根本的に間違っていることに気がついた俺にはどうやら関係ないようです。 アベルは魔術師になりたかった。 そんなアベルは7歳のとき「魔力ゼロだから魔術師になれない」と言われ絶望する。 ショックを受けたアベルは引きこもりになった。 そのおかげでアベルは実家を追放される。 それでもアベルは好きな魔術の研究を続けていた。 そして気がついてしまう。 「あれ? この世界で知られている魔術理論、根本的に間違ってね?」ってことに。 そして魔術の真理に気がついたアベルは、最強へと至る――。 ◆日間シャンル別ランキング1位
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