《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第十九話 商売
リバーシの試作品が出來上がった、し荒削りな部分を指摘しつつ、遊び方を教えた。
リバーシは子供から大人まで楽しめる。説明は簡単だけど奧が深い。
「これはすごいですよっ! 絶対に流行ります」
パルマでさえ大はしゃぎだ。タマニスも頷いている。
「まずは、完品を登録しましょう。それで複製ができなくなる。ただ、他の商會が作れなくなるのは三年間だけなので、その後は誰でも作って販売することが出來るようになります」
特許期間みたいなものだな。三年もあればかなりの數が出回ると思う。
「はい、それで構いません。あと、作る時に貴族用と一般用と二種類作りましょう。貴族や豪商は高級品をしがると思いますし。その代わり一般用は誰にでも買えるくらい値段を抑えたいです。娯楽の普及が目的ですし。貴族用で50セット、一般用で1,000セットをまず作りましょう。売れ行きに応じて追加制作をするというじで」
タマニスさんがし渋い顔をする。
「そこまでこの商會では、余剰資金がないかもしれません。販売価格を貴族用が大銀貨一枚、一般用を銀貨一枚としたときに制作費として……えっと……」
さすがの數字にタマニスさんもし考えてる。
「制作費が三割で考えると、貴族用が銀貨三枚で合計百五十枚、一般用が大銅貨三枚で大銅貨三千枚、合計すると金貨四枚と大銀貨五枚ですね」
カインがさっと答える。
「カイン様、計算もすごい早いですっ!」
パルマが目を輝かせ尊敬した目を向けてくる。
タマニスさんも心している。
「カイン様、さすがにそこまでは、當商會では捻出できません。ここに全て運営資金を投してしまうと、他のが購できなくなります」
タマニスさんが申し訳なさそうに答える。
「それは問題ありません。最初の投資資金は私が出します。持っててもまだ使う予定がありませんしね」
そういって、袋から金貨五枚を機におく。
「こんなにっ!! カイン様ありがとうございます。サラカーン商會として、全力でやらせてもらいます」
「いいんですよ。実際に売れてから、そのお金で返してもらえれば問題ありませんから。あくまで先行投資です」
「わかりました。まず、契約書を書いて出來上がったものを商業神様に奉納いたしましょう」
そう言って、タマニスさんは契約書を羊皮紙に書き始める。契約書は三枚つくり、タマニスさん、俺、商業神に商品と一緒に奉納するそうだ。
商會には、簡易的な祭壇があり、そこに商業神を祀るのが基本とのことで、サラカーン商會にももちろんある。前世の神棚みたいなものか。そこに試作品で出來上がったリバーシと契約書を置き、サラカーンが祈り始める。
祭壇が一瞬ったと思ったら、契約書とリバーシが消えていた。
「おぉ!!」
思わずカインは聲に出してしまった。
「こうやって、契約書を奉納することによって、確実に守りますと誓いを立てるのです」
「見せてくれてありがとうございます。それでは制作お願いします。販売は一ヶ月後を目安に行きたいと思います。あ、高級品のほうを十組ほど私が買いますので保管してください。王家にも渡しますので」
「お、お、王家にですかっ!? わかりました。商會の全ての力を使ってやらせていただきます」
王家と聞いて、タマニスさんは顔を青ざめてる。
まぁやってもらわないと困るんだけどね、俺も神様に頼まれてるし。
商品が消えたということは、あの神様のところにいったのかな?楽しんでくれればいいんだけど。
そう思うカインであった。
実際に、この一ヶ月後に販売ときには、大人気となり、かなりの量産制になった。
それでも生産が追いつかず、嬉しい悲鳴となった。
それはまた先の話で。
◇◇◇
王都にあるシルフォード邸では、カインがお披目會に著る服の試著會となっていた。
參加者は、商會の人、サラ、レイネ、シルビア、そして主役の俺だ。
一度のために仕立てるのは勿無い気がするが、貴族の五歳のお披目會は、學校よりある意味大事なことみたいだ。
なぜなら、有力の貴族の子で頭もルックスも格も良ければ、娘を嫁に送り込みたいのだ。この國は一夫多妻制なので貴族は數人の側室を持っている。政略結婚や派閥の柵しがらみもあったりするので々と面倒らしい。要は五歳の時に唾をつけるということだ。
ちなみにうちの父親に嫁は二人いるが貴族の中ではない方らしい。もうし若いときは他の貴族の娘を何度も押し付けられそうになったみたいだ。そりゃ辺境伯といったら上級貴族だから仕方ないか。その度に斷っていたそうだが。
派閥のおいも多かったが、ガルムは辺境伯として中立の立場でいる。隣國と接していて、いつ戦爭になるかわらかないのに派閥なんかに構ってられるかと言っていた。
カインの場合は、ガルムの辺境伯派だと思われている。
ふと頭に浮かんでしまった。
陛下とエリック公爵だ。
頭を振って、イメージを消す。あの二人に丸め込まれそうな気がしてならない。
いくら前世の記憶があるといっても、高校生と五歳だ。年を合わせてもたかが知れている。
百戦錬磨の王族と公爵相手に勝てる気がしない。
そんなことを考えてると、聲がかかる。
「カインくん! ちゃんと聴いてる?」
レイネだ。服の生地のとか々と合わせてくれてる。
「ごめん。レイネ姉さま、ちょっと考え事してた」
「まったくっ! カインくんは銀髪だから、この濃い青の生地がいいなって言ってたの」
生地を改めて見たが、濃い青というか蒼でなかなかいいじだ。
「レイネ姉さまが選んだくれたいいですね!」
褒めておけば、姉はちょろりんだ。
「では、この生地をベースに作ってもらえますか」
サラが改めて頼む。
「承りました。カイン様に合う服を是非とも作らせていただきます」
商會の人が頭を下げて出て行った。
仕立てを頼んだ服は數日で出來上がった。お披目會まではあと三日だ。
試著して、し手直ししてもらったくらいでとても良い出來だった。
「カインくんならどこへ出ても恥ずかしくないわ」
レイネが斷言してた。
そういえば、レイネも數年前に出たんだもんな。
ちなみに同じ年でいい人はいないのか聞いてみたが、まったく駄目だったそうだ。
レイネ曰く旦那さん候補は「カインくんと比べても見劣りしない人」だそうだ。
どこにでもいそうな気がするけど。
そうしている間に時は過ぎ、王都でのお披目會當日となった。
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