《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第四話 學試験

今日は學試験だ。

王都の王立學園は國営となっており、他の地域では領営で學園がある。王都の學園が一番レベルが高くなっており、皆、王都の學園を目指している人が多いそうだ。他國からも留學生がくるほどエスフォート王國の學園はレベルが高いとのことだった。これは初代國王の方針でそうなっていて三百年続いている。

今日は朝からカインよりシルビアがソワソワしている。

「カイン様、忘れはないですか?」

「シルビア大丈夫だよ、何か忘れたらすぐに戻れるし」

質素ながら綺麗な服を著たカインが答えた。

「それじゃ、行ってくるね!」

カインは屋敷を出て學園に向かった。

學園は北と南に口があり、北側は貴族街に繋がっている。南側は平民街となっているのでそちらからってくるのは平民がほとんどだ。

カインは冒険者ギルドによく行っていたので、長距離瞬間移ロングワープで平民街側まで飛んだあと、南側のり口より學園にって行った。

學園のり口には衛兵が門の両側に立っている。

そのまま學園の中へり、案図の通りに試験會場に向かった。付で名前を登録し試験番號表をもらい指定の教室で試験をけることになる。

試験に関しては、筆記試験、実技試験があり、実技試験は魔法能力測定と剣技測定の両方をける必要があった。人によって向き不向きがあるからだ。基本的には筆記試験で合否は決まってしまうが、実技試験で突出した実力を持っていると筆記試験に加點され合格するみたいだ。

筆記試験をける教室にると試験番號の札がついてる席に座った。

周りを見ていると、やはり十歳という年齢をじさせるように皆張しているようだった。

予定時間となり、試験が問題を持って教室にってくる。

「これから學試験を始める。他の人の解答を見たりしてたら、その場で退場となるから気をつけるように」

そう言って試験問題と解答用紙を配って行く。

「それでははじめ!」

一斉に試験に取り掛かる。

問題を見たが、読み書きの問題、算數の問題、歴史の問題だった。読み書きは三歳でできたから問題はない。算數に至っては足し算、引き算がメインで掛け算、割り算がし出ていた程度だった。前世で高校生だったこともありまったく問題ない。歴史については貴族なら誰にでもわかるような問題だった。

カインはさっさと問題を全て終わらせて、ボーっとしていた。

まだ試験時間の半分も経っていない。周りの人は皆問題用紙に食いつくように見ている狀態だった。

「君、そんなにのんびりしてていいのかね?」

試験が聲をかけてきた。

「もう全部終わってますから」

カインはそう答えた。

「ふむ、そうか。見直しくらいしておけよ」

そう言って試験はまた他の験生を見回り始めた。

そして試験時間も終わりを告げた。

「そこまで! 皆、手を離して解答用紙を置くように」

試験が終わったこともあり、皆ほっとした顔をしている。

「それでは、これから実技試験を始める。ここの教室の験者は先に魔法能力検定に向かうように」

この教室の験生は揃って魔法能力測定の會場に向かった。會場は訓練場になっており、一列に的となる人形みたいなものが並んでいた。そこに験生が十人ずつ一列に並んで魔法を打ち込むようになっていた。

「それでは281番から290番までは一列に並んで。あの的に向かって自分の持っている最高の魔法を放って」

カインは285番だったので1組目だった。

「全力でやっていいのですか」

思わずカインは試験に尋ねてみた。

「ここの訓練場は結界を張ってあるから大丈夫よ。問題ないから全力でやりなさい」

「それでは始め!」

最初に並んだ他九人は呪文を唱え始めた。

『火球ファイヤーボール』『水球ウォーターボール』『風弾エアパレット』

詠唱が終わった人から魔法を放っていく。

的が焦げたり、濡れたりして揺れている。

それを橫目でカインは見ていた。

カインは當初全力でというので『獄炎地獄インフェルノ』を放とうとしていた。

ここで超級放ったら大変なことになるとこだった。

皆が打ち終わるのを見屆けていると試験から聲がかかった。

「285番! 早く魔法を唱えなさい」

みんなのことを見ていたら注意されてしまった。

カインは視線を的に移す。

指先に魔力を集めた。

『火弾ファイヤーバレット』

魔法を唱えた瞬間に、普通なら赤い火の弾が出るはずだったが、カインは魔法神の加護Lv.10を持っている。

青白く燃え盛る火の弾は螺旋回転をしながら的に高速で向かっていく。

的に當たった瞬間に、的はそのまま何もなかったように消え去った。そしてそれでも勢いは止まらず、外壁に當たった。

ドガガァァァァァァァァァン!!!!

結界で守られた外壁は崩れ去り、庭園にあった大木を破壊したところでやっと拡散された。

他の魔法を唱えていた生徒は全員演唱を止め固まっている。

もちろん試験もだ。

「「「「「「「「「……」」」」」」」」」

目の前には先ほどとは違った風景が見えた。屋であったはずの訓練場は外壁が破壊され、太が差し込んでいる。的があった場所は焼き盡くされてマグマのようにドロドロになって熱気を発していた。

「……結界があるし火弾ファイヤーバレットなら平気だと思ったのに……」

カインはがっくり肩を落としていた。

固まっていた試験がやっとき出した。

「……こ、これ、君がやったの? 何を唱えたの?」

「え、火弾ファイヤーバレットを唱えましたが」

試験の質問に対してカインが答えた。

「そ、そんな……初級でこんな威力なんて……。ありえない……」

試験はまだ放心狀態だった。

「それより外壁の外側に人がいなかったか確認しないと!」

そう言って、周りにいた數人いた試験が外にはしり、別の試験は上司の判斷を仰ぐために走っていってしまった。

すぐに試験の上司が來て、この狀態を確認する。

発音を聞いて様子を見に來た試験や教師全員がこの慘狀をみて唖然としていた。

「こ、こ、これでは試験を続けられないな。これから第二訓練場に場所を移す。みんなついてくるように。君はもう剣技の試験場に行ってくれ」

魔法能力試験一組目でこの會場を使えなくしてしまったので、他全員が試験に連れられて第二訓練場へ向かって行った。

カインは試験一人に連れられて剣技試験場へ向かった。

剣技試験場は先に剣技からけている験生が沢山いた。

「それでは剣技試験を始める。剣技試験は冒険者ギルドから応援にきてもらっている。試験はBランク以上の冒険者たちだから安心して全力で掛かるように」

並んでいた冒険者の中に見覚えがある人がいた。赤髪で他の試験とは一味違う雰囲気を出していた。

「あ、クロードさんだ」

見知った顔をみて思わずカインは呟いた。その聲にクロードも気づいたようでこちらを見て視線があった。手を上げて挨拶してきたので、頭を下げる。

「お、カインじゃねーか、そーいや十歳だもんな。お前は俺が相手してやるよ」

「あれって、王都で有名な氷炎のクロードさんだろ? 冒険者ギルドでAランクの」

そんな呟きが周りから上がってくる。

「いえ、遠慮しておきます」

カインはとっさに斷った。

「きみ、今日の試験で一番ランクの高いクロードさんのこと知ってるのかい? 名指しだから行ってくるといい」

試験が余計な事を言ったので、カインの相手はクロードに決定した。

他の験生は別の冒険者たちに振り分けられ、剣技試験が始まった。

しは冒険者ギルドに慣れたかい? 今日は思いっきりかかってこい」

クロードは笑顔を向けてくる。さすがにクロードはカインがすでにAランクであることを知らなかった。

「それではクロードさんよろしくお願いしますね」

木劍を持ち、クロードに向かって構える。

二割程度の強化を使って一気に向かって行った。それでもあまりの速さにクロードが驚く。

強化まで使えるのか」

カインが振った剣をけ止める。

「これなら楽しめそうだな、リナに無理やりけさせられた依頼だったが良かったよ」

そういいながら、クロードは強化を使いカインの剣を振り払ってくる。

それから二人の剣技は続いた。周りの験生では目で追えないほどのスピードで砂埃をあげながら剣を打ち合う。

「カイン、お前強いな! ここにいる試験の冒険者よりも強いぞ」

「クロードさん、試験ですからそんな勢いでやらないでください」

クロードは戦闘狂らしく、笑顔で強化を使い、剣を振ってくる。カインは武神の加護があることで問題なく捌いているが、いつまで経っても終わる気配がなかった。

そのまま二人で模擬戦をしていると急に聲が掛かった。

「そこまでにしてください!!」

引率してる試験だった。

「そんな二人で模擬戦していたら、他の人が誰もできません」

クロードとカインの二人は模擬戦をやめて、周りを見渡す。

誰一人模擬戦をやっておらず、試験である冒険者でさえ、二人の模擬戦に夢中で眺めていた。

「あら、やりすぎちまったか、仕方ない、カイン今度一緒に依頼うけようぜ」

クロードは笑顔で握手してくる。

「できれば遠慮したいですが、ダメですよね? よろしくお願いします」

握手をしてから、席に戻る。

「285番のカインくんだね、君の試験はこれで終わりだ。もう帰って構わない。あとは合格発表の日にくればいい」

カインは無事に試験を全て終わって、學園を後にした。魔法試験と剣技試験を見ていた験生の中ですごい噂になっていることも知らずに。

カインは屋敷に戻ってきた。

「お帰りなさいませカイン様、試験どうでした?」

「ただいま。試験無事に終わったよ」

シルビアが迎えてくれた。

「筆記試験も実技試験もできたから合格したと思うよ」

「それなら良かったです。次は合格祝いをしないといけませんね」

そう言って笑顔になったシルビアは中にっていった。

後日、執務をしていた宰相は一枚の書類を見てまた執務室から飛び出て王の執務室へ向かった。

「なんじゃ、マグナ、また忙しそうに」

「これを見てください」

見せられた紙を見た王は頭を抱えた。

見せられた紙は、學園から訓練場の修繕のための白金貨十枚の見積書と経緯説明書だった。

 

経緯説明書にはこう書かれていた。

學試験においてカインという験生が、魔法能力試験で初級魔法を使用し、訓練場を大破させたので修理費用をお願いします』

「あいつめ! またやりやがった!!!」

王と宰相は二人で頭を抱えながら承認印を押したのだった。

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