《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第五話 合格発表
試験から數日が経ち、合格発表の日を迎えた。
この日を迎えるにあたって、ここ數日は王城に呼び出され毎日のように説教をけていた。
陛下からは、冒険者ギルドがランクAになってことを突っ込まれ、そして國営・・の學園の訓練場を破壊したことを問われた。
さすがにそれに関しては、カインも反論させてもらった。
「試験が全力で魔法を打てと言われました。結界が張ってあると言われましたので。さすがに超級や帝級はまずいと思い、初級に下げました。だけど、加護のおかげで威力が増して結界ごと破壊してしまったのです。冒険者ギルドに関しては、本當はCランクで登録の予定でしたが、騎士団長が一言ギルドマスターに言ったおかげでAランクになりました」
カインはさすがに周りに振り回されて問題が起きてしまっただけで、本人はまったく悪いと思ってない。
「お主の行で何度頭を抱えたことやら……。その前に! カイン! 帝級と言ったな? あの本に書いてある魔法は使えるのか??」
「はい、理解は出來ましたので使えるかと。ただ、帝級を使ったら辺り一面どうなるか……」
「カイン! 絶対につかうな! ほんと使うなよ!!」
陛下は焦ったように本気で止めてくる。
そして思い出したように陛下が話しかけてくる。
「そういや、お主どこで試験けたのじゃ? テレスティアもシルク嬢も試験で見かけなかったといっておったぞ」
「普通に南門で付をして、案された教室で試験をけましたが?」
「……カイン、なぜ學園が北門と南門があるのか知っておるよな?」
「もちろん。知っております。北門は貴族街側に通じており、平民街側は南門に通じているためです」
「それでお主は、どこの門からって、どこで付したのじゃ?」
「もちろん、南もん……あっ!」
「そうじゃ、貴族用に北門にも付があるのじゃ、そして試験ける場所もまったく違うとこでやっておるのじゃ! お主、平民達と試験をけておったのじゃぞ。それなら誰とも會えるはずもない。會えなかったとテレスティアが怒っておったぞ」
「しかもお主、付で「カイン」のみで登録しおったじゃろ。そのせいで學園が大騒ぎになったのじゃ。學園長が統括管理のエリックのとこに相談にきたのじゃぞ」
「え、なんでそんなことになったのですか……それにしてもなんで大騒ぎに?」
カインはわからずに首を傾げるしかなかった。
◇◇◇
時はし遡る試験の後。
學試験の採點をしていた教師が、學園長の部屋に飛び込んできた。
「學園長、全員の採點が終わったのですが、問題があるのです。筆記試験で全問正解しているのは一人だけなんですが、その子は平民なのです。その子が主席になってしまうと……。今年は第三王殿下やエリック公爵令嬢が試験をけています。筆記試験の結果は次席が王殿下で三席が公爵令嬢になっているんです」
採點をした試験が學園長に話をする。
學園長は腕を組み悩み始める。
「王殿下と公爵令嬢は実技での加點で抜かすことはできないのか? さすがにこの國でそんな理由で平民を蔑さげすむことをしたら私が罰せられる」
エスフォート王國では初代ユウヤ國王時代より、學生は全てにおいて平等であり、勉強する権利は平等に與えるべきと言われ続けている。
「その件ですが、実技においてその平民の子は、魔法ではあの初級魔法で訓練場を破壊し、剣技ではAランクの氷炎のクロード殿とまともに打ち合ったとか。魔法も剣技もSプラス評価です」
「あ、あの子か、それでは変えようがない。これは統括管理であるエリック公爵にお伺いをする必要があるな。さすがにこのままではまずい」
そして學園長はエリック公爵を訪ねて行った。
「エリック公爵、お忙しいところ申し訳ありません。今回の學試験で問題がありましてご相談にきました」
「學園長、どうしたんだい? 結果をそのまま出せばいいのでは」
「それがですね……」
容をエリック公爵に説明していった。その平民が筆記で満點をとったこと、もちろん訓練場の破壊やAクラス冒険者とまともに打ち合ってたことを。
それを聞いて、エリックは笑ってしまう。
「エリック公爵、笑ってはいられませんぞ。平民が首席で王殿下が次席、ご令嬢が三席になってしまいます」
學園長は真面目にエリックに話しかける。
エリックは笑いながら答える。
「そのままでいいんじゃない? その子の名前って「カイン」じゃない?」
「名前はそうですね「カイン」で合ってます。それをなぜ知っているのですか?」
學園長はエリック公爵に問い掛ける。
「やっぱりカインくんだったか。なら余計そのままにしたほうがいい」
エリック公爵は相変わらず笑いながら答えてくる。
「それはなぜ?」
學園長は首を傾げる。
「カインくんはねー、正式な名前は『カイン・フォン・シルフォード男爵』だよ。ガルム辺境伯の息子でね。しかも五歳で敘爵しているから正式な貴族の當主だよ。」
「!!!!!!!!」
學園長は驚く。
「そんな人がいったいなぜ……」
「多分平民側の南門で付したんじゃない? カインくんならやりそうだし」
「……そういうことだったのですね。わかりました。それではその順番で発表させていただきます」
そう言って學園長はエリック公爵に一禮して退出していった。
「カインくん、それにしても派手にやったね~。あとでマグナ宰相が修繕費の見積を見て驚くんじゃないかな」
一人になった部屋でエリック公爵は呟いた。
◇◇◇
合格者番號が一覧で張り出されているところにきた。
張り出されている掲示板の前には人だかりが出來ていた。
掲示板の前では、喜んでいる子も泣いている子もいた。この王都の學園はレベルが高い。1學年につき220名の合格者がでるのだが、績でクラス分けがされていく。クラスは上位20名がSクラス、次はAからEまであり、各40名のクラスだ。しかも上位20名は験番號の橫に名前も張り出されていた。そこに1000人以上の験者がけるのだ。
「285番はどこかなーっと」
カインは掲示板を眺めながら自分の番號を探していく。
そしていきなり肩を叩かれる。振り向くとそこにいたのはシルク嬢だった。
「カインくんおめでとう首席だね! テレスが次席で私が三席だよ。ほら、あそこ、あそこに名前と番號が並んでるでしょ?」
そう言って指さしたところは、一番目立つところに順位が書いてあり、「首席 285番 カイン」「次席 012番 テレスティア・テラ・エスフォート」「三席 025番 シルク・フォン・サンタナ」と書いてあった。
「ほんとだっ。合格しててよかった」
カインにとっては首席よりもかっていることのほうが大事だった。
「それにしても、父様から聞いたよ。南門で付して平民側の試験會場で試験けてたんだって? しかも破壊した訓練場も見たよ。あれはひどいね~。実技會場に向かおうとしたらすごい轟音がしてびっくりしたし。あと、今日テレスは來てないけど、試験會場で會えなかったって怒ってたよ」
「北門に付あるって知らなかったからね。名前しか書くところがなかったからおかしいなって思ってたんだ」
シルク嬢とし雑談をしてから別れた。
「それじゃぁまた學式でね! 制服楽しみにしててね」
そういってシルク嬢は走って行ってしまった。
合格者の付を済ませたところで、見知った顔がいた。姉のレイネだ。
「レイネ姉さま、お久しぶりです」
後ろから聲をかけたカインに気づき顔を見て萬遍の笑みを浮かべた。
レイネも十四歳となり、段々と大人びてきておりらしい膨らみもでてきていた。
弟としての贔屓目で見てもだ。
「カインくん! 久しぶり。全然屋敷に來てくれないじゃない。それにしても合格おめでとう。試験どうだったの?どのクラスになった?」
「首席でSクラスになってました。まぁ合格したからよかったです」
ちょっと自分から首席とは言いづらかったが、正直にレイネに伝えた。
「しゅ、首席……だったのね。さすがカインくんだわ。名前見たけど、シルフォードって書いてないからわからなかったわよ。それじゃ學の時の挨拶頑張らないとね」
さすがにレイネも首席になるとは思っていなかったようで驚いていた。
「學の挨拶?」
カインは首席が挨拶することは聞いていなかった。
「知らなかったの? 毎年首席が挨拶をするのよ。説明けていると思ったけど」
「そうだったのですか……、テレスに変わってもらいたかった」
「もう発表されたからダメよ。それよりも合格したんだから、屋敷の母様にも報告しにきなさいよ」
「うん。今日にでも行くようにしますね」
「私も、もうししたら帰る予定だから、屋敷で待ってるわね」
レイネはそう言って、抱えていた書類を持って校舎へっていった。
「たまには実家に顔を出さないとな」
そう言って、カインは學園の門を抜けガルムの屋敷に向かって歩いていった。
ガルムの屋敷には、兄であるジンとアレクはすでに學園を卒業して、グラシア領に戻っている。もちろん第一夫人であるマリアもだ。
ガルムの後を継ぐために、ジン兄様は領地経営について學んでいる。アレク兄様も政としてグラシア領にある一つの街を見ているらしい。
今この屋敷に住んでいるのはサラとレイネだけだ。ガルムもこの時期は領地に戻っているし。
王都のガルム家別邸についたときは、まだレイネは帰ってきてなかった。
「ただいま~。って違うか」
門番に手を上げ中にっていく。
「あら、カインじゃない~。試験合格したとは思うけどどうだったのぉ?」
出迎えてくれたのは母のサラだった。
「首席合格しました。學園でレイネ姉さまに會った時に母様に報告しにいくようにと言われてて」
「あら。首席なんてすごいじゃないっ! グラシア領にいるガルムにも手紙で送っておくわね」
「はい、よろしくお願いします」
「今日はどうするの? この屋敷に泊まっていく?」
サラから提案してきたけど、家の皆にも報告が殘っている。
「家でシルビアも待っていますし、今日は帰りますねっ。また顔を出しにきます」
そう言って、ガルム邸をあとにした。
自宅に戻り、執事のコランとシルビアに報告する。
「カイン様さすがです。それにしても首席とは驚きました」
「カイン様なら當然ですねっ!」
コランは驚いていたが、なぜかシルビアは當たり前のようにを張っていた。
二人とも喜んでくれたが。
「ありがとう、學園楽しみだね」
そして、日數は過ぎ、無事に學式を迎えることとなった。
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