ロイが學院に復帰すると、その日だけで５人のに告白された。

その誰もが、「この前の決闘を見て好きになりました！」みたいなことを口にした。

無論、ロイだって男の子だ。告白されてイヤな気はしない。

しかし――、

「ダメダメ！　ぜ～ったいに、ダメ！」

「ああ～～……、そういうわけだから、ゴメンね？」

告白の瞬間、どこからともなくイヤなじを嗅ぎ付けたシーリーンが介してきて、ロイの代わりにたちの告白を全て斷った。

そして今、２人は放課後の學生食堂にいる。

２人向かい合って座っていた。

「むくぅ……」

「ど、どうしたの、シィ？」

「わかっているクセに！」

いじに頬を小さく膨らませてご機嫌ナナメなシーリーン。

自分の人が他のの子に告白されて、ヤキモチを妬き、不満で、し悲しくて、し寂しくて、切なくて、モヤモヤしてしまって、要するに拗ねているのである。

そしていじらしいことに、拗ねている自分の姿をロイに見せて、かまってほしいのだ。

「シィは一夫多妻制に反対？」

「別にいいけど、シィが認めたの子じゃないとダメだよ？　今日のの子は、全員認められないもんっ」

と、シーリーンは小柄なのにマリアよりも大きいを張る。

その時だった。

２人のいるテーブルに、とある、が、運ばれてきた。

「こちら、クリーム＆ストロベリー＆チョコレートパフェになります～」

「わぁ！」

そう、以前シーリーンが食べられなかったパフェを、今日ここで、もう１度頼んだのだ。

もう、の子限定メニューを頼んでも、シーリーンを笑う人はどこにもいない。

それは當然、まだシーリーンをイジメようと企んでいるイジメっ子もいるかもしれない。

しかしシーリーンの隣にはロイがいる。ロイが隣にいるのに、わざわざその狀況でシーリーンを笑うバカは流石にいない。笑ったら、本気でロイに毆られる可能すらあるから。

「ロイくんっ、これ、本當にシィが食べてもいいの？」

「もちろん」

ロイは笑顔で頷いた。

許可を得る必要などないのだが、ロイから許可を得ると、シーリーンは心の底から幸せそうに、目にしだけ涙を浮かべながら「味しいっ！」と、満面の笑みでパフェを食べる。

嬉しそうで、幸せそうで、見ているこっちまでそう思えるヒマワリのような笑顔。

「ロイくん、ありがとう。シィがこうやってパフェを食べられるのも、ロイくんのおかげだよ♪」

謝されると、ロイは本當に満たされた気持ちになる。

満足だ。今の自分の心は充実している。

だからロイは、パフェを味しそうに食べるシーリーンを眺めて思う。

（嗚呼――、この笑顔を取り戻せただけで、戦ったかいはあったかな――）　と。

そこでふいに、ロイとシーリーンのところに誰かがくる。

アリスと、イヴと、マリアの３人だ。

アリスはシーリーンの隣に、イヴとマリアはロイを挾むように席に座った。

で、あろうことかイヴとマリアは、目の前にシーリーンがいるのに、ロイの腕に抱き付いてを押し當てるではないか。

「ほえ！？　ちょっと！　イヴちゃん！　マリアさん！？」

「お兄ちゃん！　シーリーンさんと人になったってどういうことなのよ！？」

「もう學院中で噂になっているんですからね！？」

「お兄ちゃんはわたしのお兄ちゃんなんだよ！？」

「弟くんは、私の弟くんなんですからね！？」

「ち、ちょっと、２人とも……っ？」

「うぅ……、イヴちゃんもマリアさんも、ロイくんから離れてください！」

「ハァ、やれやれね……」