《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》3章19話 変態魔のバーレスク(5)
溜息を吐きながらノーラが愚癡を零す。恐らくは自分に対しても。
一方、ロイの方は特にウソを吐くわけでもなかったので、本心から當たり障りのない返事を口にした。
「シャノンさんは優しいねぇ」
「えっ!? 今のどこに、わたしに優しさを覚えるポイントがあったんですか!?」
が、しみじみとノーラはロイの優しさに慨深いモノを覚える。
とはいえ、當の本人は(本當に意味がわからないんですが!)とびたい気持ちでいっぱいだったが。
「経験則だけど、9割以上のの子は、わたくしたちのアレを見たら、もっと嫌悪をあらわにします」
「……正直、想像に難くないです」
社辭令で否定してもむしろ逆効果だろう。
そう考えてロイはノーラにそう返事した。
「それとは別に、このエリア20以外のグロースロートでも、にもより権利を與えるべきだって運が起きている」
「えぇ、知っています」
今度はユリアが報を教えてくれたが、ウソ偽りなく知っていたので、ロイは再度頷いてみせる。
「この2つがあわさると、どうしてもわたしたち魔は生きづらくなっちゃうのよ」
「ノーラさん、それって、どういう……」
「は男の所有じゃない、とか。娼館で働くために生まれてきたわけじゃない、とか」
「そういう主張、っていうか怒りは理解できるし、応援しようとも思う」
「でも、それが間違ったやり方で広まると、自ら進んで男子にエロイことをしてあげたくて、自分の好きなことで、しかも気持ちよくなりながらお金を稼ぎたいわたしたちはどうすればいいの? ってなると思わない?」
「その主張を推し進めることと、わたくしのようなエロイこと大好きを排除しようとすることは、別に一緒でもなんでもないと思いません?」
「そして最後に殘るのは、話し合いの席じゃなくて、元々は貴族だとしても、魔たちの認知能力は歪んでいる、っていう迫害」
「いつか、論理的に反論しようとしただけで、社會的に罪ということになっていることを正當化するな、なんて言われる未來がくるかもしれませんが……、シャノンさんは、言っている意味を理解できますか?」
靜かに、ロイは首を縦に振った。
その反応に微笑んだユリアとノーラは話を続ける。
「今のように問われて、首を縦に振れる時點で、シャノンさんはやっぱり優しいわよ」
「不愉快だから消えてください理論を提唱する人たちは、自分がそれを言われる側になることを想定しているのかな、って思いますわよね」
「やっぱり、いるんですよね……」
「えぇ、直接言われたこともあるし、流石に口には出していないようだけれど、先ほど、シャノンさんが會っていたはずの3人も」
「……メリーたちも?」
「いやいや、あの3人はむしろ優しい方です。と、いうより、かなり聡明な方々です。理解することが難しいから適切な距離を保つ。自分たちが拒絶される側に回る展開を考慮して、わたしたちのことも拒絶しない。そういうスタンスのグループですから」
「まぁ、シャノンさんには言うまでもないことかもしれませんが、魔にも心があることを覚えておいてください。魔だろうと、人であろうと、吸鬼であろうと、エルフであろうと、心がある。だから対等。だから、なにかを語るなら、言い返される覚悟はしておいてください」
ロイは複雑な気持ちになる。
誰であろうと心がある。だから対等。それはもちろん理解できるし、本気でそう考えているからこそ、あまり上品なイメージがない魔だとしても、彼たちは殺害の対象から外れているのだろう。
が、その理屈が適用されるのは本來、グロースロート部だけではないはずだ。
グーテランドと魔族領でもその理屈は適用されるはずなのに、自分たちは今、殺し合っている。
いつか理解し合えるかもしれないけど、しかし、今は殺し合うなんて、酷い本末転倒もあったものだ。
そして恐らく、あの男、ラグナもこの現実を理解しているのだろう。
「そういえば、なぜわたしがメリーたちを會っていたことをご存じなのでしょうか?」
「予約表に書いてありますから」
「予約表、ですか?」
「はい! 派閥ごとにめないように、シャノンさんにお聲がけできる時間帯を指定した予約表です!」
「なら、わたしのことを尾行していたのも……」
「あっ、気付いていらしたんですね……」
「す、すみません……。なかなか立ち止まらないですわね、と、思っていたのですが、お花を摘みに行きたかったのに尾行に気付いていらしたなら、その……、えぇ、申し訳ありません……」
「あと、それって、メリーたちも……」
「えぇ、知っているといいますか、そもそもメリッサさんご自が先ほどの時間帯の欄に名前を書きましたので」
いろいろと腑に落ちるロイ。
メリッサたちは自分たちの次にエルゼたちが予定をれていると知っていたからこそ、別れ際にあのようなもどかしそうな反応をしたのだろう。
「それでシャノンさん」
「はい?」
「遅ればせながら、わたくしたちとも、ぜひお友達になってくださいませんか?」
「勝手な言い分ですが、シャノンさんほど魔に寛容なの子もないですので」
「えぇ、わたしでよければぜひぜひ!」
可憐に微笑むロイ。
そして朗らかにはにかみ返してくれたユリアとノーラ。
今、ここに、全てがいいじにまとまる。
と、ロイがそう思ったその時だった。
ゴッ! バン! バン!
「あぁ……、そういえば……」
「いい雰囲気で終わりそうだったのに……」
「聲はなんかと我慢しているようですけど、背中を反ったら頭を打ったのでしょうか? あるいは爪先をぶつけたとか……」
リターン・トゥ・テラ
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