《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第4話 勇者はどうしても外に出たい。みたい!
あれから薬草を使ってなんとかけるぐらいまでには回復したけど、それよりも神的なダメージの方がでかい。
もはや大魔道飯店にはしばらく近づかないでおこう。さっき店の外にゴミ出しに出てきたマリーナには遠くからもう一回ウィンクして、コミュランクは戻しておいた。さっさとここから離れよう。
そしてゴミ捨て場の近くで分かったことがある。デバッグメニューの一つ、『資金無限』についてだ。あそこにはゴミに埋もれていくつかコインが落ちていた。銅の1G貨だ。
手に持ってるだけでは所持金としてカウントされず、サイフにれてから初めて所持金としてカウントされるシステムみたいだが、サイフにれてもステータス上の所持金が100Gのままだった。どうやら、『資金無限』は本當に効果が発生しているみたいだが、厳に言うと『現在の所持金額』分だけ『無限』に使えるらしく、重要なのはこの効果が発生している間は所持金額は増減しないみたいだ。
つまり100Gまでならいくらでも使えるって訳だが、なんか一気にこのセーブデータの価値が下がった。
「まあでも100Gあったらある程度の消耗品は買えるし、回復に困るような事は無い。取りあえず冒険者管理ギルドに行って、普通にゲーム始めるか」
テストプレイの時間は限られている。ある程度の裝備は調えて、周辺ダンジョンの位置関係ぐらいは把握しときたい。大魔道飯店であった事はさっさと忘れよう。
し肩を落としつつも冒険者管理ギルドの扉を開け勇者は中にっていった。
だが、ものの數分で勇者は両脇を抱えられてり口から投げ出されてしまう。
「帰りなにーちゃん!ここは自稱の冒険者が來ていい程暇じゃ無いんだよ!」
「おいおいふざけんな!なんでクエスト注出來ねーんだ!」
「だから何回も言ってるけど、職業適には『勇者』なんて存在しねーんだよ!」
「仕方ないだろ!俺だってこんな職業になりたくてなった訳じゃねーし!!」
「じゃさっさとその自稱『勇者』とやらって職業をマスターして転職でもするんだな!ここは正規の手続きを済ませた冒険者が利用出來る所なんだよ!」
屈強な戦士風の男達に雑に外に投げ飛ばされ、勇者は転げ回る。まさか『サウザンドオルタナティヴ2』になってから注できるクエストに職業制限が掛けられているとは思いもしなかった。
つまりこういう事だ。通常のキャラメイクで作されたキャラクタ-は限定された初級職業の中のどれかを選択して作される。このテストプレイでは、基本その初級職のキャラクターしかゲームに存在するはずが無く、新しく増えた要素『職業によるクエスト注制限』でその初級職だけ網羅していればクエストがけられないなんて事態は発生しない。
だが、俺はブルースクリーンバグの影響でデバッグ専用キャラの名前も職業も勇者になっている。つまりこの世界に俺の注出來るクエストは存在しない。
「おい!前作なら共通クエストで薬草集めとか制限なく初級のクエストけられただろ!それはどーなったんだよ!」
「素材集めねぇ・・・」
戦士風の男が小さくため息をする。
「あのなぁ、俺たちは冒険者って仕事にプライドもってやってんだ。そんな俺たちがただの薬草集めなんかするわけないだろ。モンスター討伐アイテムとかなら話は別だがな」
「じゃ、じゃあ薬草集めのクエストはどーなったんだ!?モンスターとまともに渡り歩けないはアレで小銭稼ぐのが定石だろ普通!」
「しらん。なくとも『俺達』はやらん」
戦士風の男は向こうを指差す
「・・『あいつら』ならやる」
そう言って指差された方向には前作の知識にはないボロボロの建があった。
「ようこそいらっしゃいました!生産職協栄ギルドへ。農作の納ですかな??」
めがねを掛けてツルツルに禿げあがったおじいさんが付けだった。向こうのギルドとはえらい違いだ。建もボロい。
「いや、納品じゃないんだ。クエストをけたい」
「くえすと?あぁ、日雇いの仕事をお探しで?アレでしょお客さんもまだ夢諦められない口でしょ?まぁその若さでお前は適正無いから冒険者になれんなんて急に言われても納得出來ませんよね~」
おじいさんは後ろをむいて書類の束を集め出す。それよりも重要な事言わなかったか?適正ないと冒険者になれないのか!?なんだ適正って!
「お、オイ。ちょっと聞いてもいいか?冒険者に必要な適って何だったっけ?ちょっとド忘れしちまったんだよ」
「何を言っとるんですかお客さん。固有スキル持ってたら『戦闘職』で、無かったら『生産職』に決まってるでしょうに。ウチらみたいなスキルのない一般人は生産職に就かなきゃ街に住む権利も與えられないの知ってるでしょ?ハイ、これが今の時間からでもけれる仕事だよ。一枚選んで持ってきとくれ~」
なんて事だ。これじゃもし転職出來ても冒険者登録無理なんじゃないか?デバッグキャラだから固有スキルねーし!
ますますもって前途多難。唯一の頼りはこのサイフだけ。はぁ。マジでログアウトした方良いような気がしてきた。とりあえず適當に一枚紙を引き抜く。軽く容に目を通す。
草刈り・・・報酬2G 容:外壁まわりの草刈り *注
さっとその紙を選び、付けに差し出す。容はどうでも良いし、報酬もいらない。草刈りなんてまともにするつもりも無い。俺は『ある事』がしたいだけだ。
「ハイ、じゃあこっちで登録しとくから、飲みとか道は自分持ちだよ。あ!あとこれ低級モンスターと遭遇する可能ある仕事だからね!きをつけて」
首から提げるパスのようなをもらった。そうだよこれがしかったんだ。首から提げ、ギルドを出ると指定された草刈り場所とは違う街の正面出り口方向へ向かった。
このゲームでは何かかしらのクエストを注している狀態で無ければ外のフィールドに出られないシステムになっている。本來であれば冒険者としてクエストを注し、クエスト容がステータス畫面に反映され、街の出りにメニューボードを使って通行する。
今は冒険者の分では無いのでフィールドに出るには何らかしらのパスが必要になる。つまり、草刈りは最初からすっぽかす気満々だったのだ。
警備兵にパスをチラ見せして軽く會釈し、橫を通り過ぎようとしたが・・・
「ちょっと君!生産職のパスでフィールドに出られる分けないだろ。ここは通れないよ。」
チッ止められた。だが策はある。
「あー。俺外壁の外側の草刈りして來いって仕事もらってきてるンスよね~すんませ~ん」
「何言ってるんだ。外側の草は我々治安ギルドの仕事だろう。それに外側の草刈りやる時はいつも魔法使いの人連れてって炎で焼いてもらうじゃないか。」
策士、策におぼれるとは・・無念
「あー・・・そうでした。わすれてました~」
怪しまれないように足早に退散する。生産職のパスじゃ無理だったのか、畜生。とりあえず指定された草刈り場所に行く。規模はそれ程でも無いが一人でやるとなると結構ある。
「こりゃ本格的に詰んだなぁ。冒険者になれないし街からも出れない。いくらデバッグメニュー使えるからってゲームの中で草刈りやらさせられるんならゲームやってる意味ないし」
パッと気持ちを切り替えてログアウトしようとする。ステータス畫面を立ち上げ、右上にあるログアウトの項目をポンッと選択する。
・・・が何も起こらない。何度もログアウトを選択する。一応、選択したログアウトの字はし暗いに変わっているので、間違いなく選択は出來ている。なのに・・・
「え・・ログアウト、出來ない」
第4話 END
【書籍化・コミカライズ】手札が多めのビクトリア〜元工作員は人生をやり直し中〜
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