《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第163話 #7『初級忍者最終試練』(サイカ、マリーナsub)
課題のヒントである、『毒抜き』を思い付いたマリーナ。
そこからは凄まじい勢いだった。
猛毒食材の生息地域を良く観察し、付近に住む野生から手掛かりを得ては試行錯誤の毎日。ひとつ、またひとつと毒抜きの方法を見つけてはそれらの食材を使った料理を片っ端から試してみる。
そして、あれよあれよと一週間が過ぎ、ついに試練の最終日を迎えた。
スイエンによって、祠の太鼓がうち鳴らされる。
長老がその太鼓を合図に、中央より一歩前に出て、よく通る大きな聲で準備期間終了の宣言をする。
「雙方の時は満ちた!試練を與えし者よ。祠の右より前に出よ!!」
一陣の風が巻き起こると、何も居なかった場所からサイカが現れる。1週間山に篭っていたとは思えない、全く変化の無いしい姿だった。
「続いて、試練を乗り越えし者よ!祠の左より前に出よ!!」
全に傷を負ったマリーナが、杖を付きながら祠の左より現れた。まさに満創痍と言った狀態であり、目のくまや髪の狀態からもかなりの熾烈な1週間を過ごした事が見けられた。
スイエンはそれを見ても表を変えなかったが、長老は心配そうな表に一瞬だけなっていた。
スイエンが、スっと前に出て來て2人の間にる。
「雙方、まずは指定された課題をクリアしてるのか、確認させてもらう。相手に見えないように、私だけに作ってきた料理を見せよ」
サイカはニヤリと笑うとアイテム袋に手をれて取り出し、アイテム化を解除する。すると、スイエンが用意した機の上に、深く大きな鍋が現れる。蓋を開けて中を確認すると、スイエンは靜かに頷いた。
マリーナの前に來て、同じようにサイカには見えない角度から淺い鍋の蓋を開ける。スイエンはそれを見て、マリーナの目を見つめる。
「………………。」
無言ではあったが、マリーナの闘志は燃えていた。それをじ取り、蓋を戻してマリーナに鍋を返す。
「……長老、雙方の課題クリアを確認しました。」
「よろしい、ならばこれ以上待つ必要なし。最終試練の判定を行う!!」
スイレンが、一際大きく太鼓を打った。
ついに、サイカとマリーナの師弟を越えた『暗殺料理対決』が始まった。
長老が、髭をりながら語り出す。
「先に料理を出す順番は特に規定では決めなかった。どちらでも良いが、何か希はあるか?」
長老の問いかけに、サイカは自信たっぷりに答える。
「もちろん、『対峙者』である私から出すわ。貴もそれでいいわね?マリーナ?」
敵意も殺意もむき出しにして喰いかかってくるサイカ。
しかし、全てを出し切ってこの場に立ったマリーナには全く効果が無かった。
「いいわ。どうぞ続けて」
ただそれだけを言い、マリーナはサイカに順番を譲った。料理対決においては先行は、最も味覚が鋭い狀態での審査となるので圧倒的に有利だ。それを、いとも簡単に手放して見せた。どう見ても痩せ我慢や見栄の類いでは無い。絶対的な自信からだった。
「………へぇ」
それだけ言うと、サイカは不敵な笑みを浮かべて料理を配る準備を始めた。
「審判については、このスイエンが先に毒味を行う。私のの狀態を見て判斷した後、長老を含めた今現在で里に居る上級忍者達の意見をもって決斷する」
スイエンがそう言い終わると、スイエンの背中から3人の忍者が現れた。皆覆面をしているため、目の辺りしか表は伺う事は出來なかったが、それぞれがとりどりの忍び服を著ていた。
「紅葉(もみじ)、黃土(こうど)、白雪(しらゆき)。この3人が審査に加わる」
紹介された赤、黃、白の上忍達は、審査員の席についた。マリーナが里に來てから1度も顔を合わせていない3人だ。任務に付いていたのか、はたまたマリーナを怪しく思って姿を消していたのか……しかし、マリーナにそれは関係無かった。
何故なら、絶対の自信があったからだ。絶対に師匠であるサイカを超える。ただ一點それのみに意思を集中させていた。
「それでは先方、サイカより料理を提出するのだ」
「はぁい。それじゃあ私から行くわね」
サイカが鍋に魔力を込めると、鍋の中はグツグツと溫度を上げて震え出す。
一人ひとりに大振りな皿を用意し、真っ白な米をそこに盛り上げると、ついに鍋の蓋を開けた。
「「「……ぉぉぉおお!!」」」
湧き上がる湯気、そして、妖艶な香りに審査員達から歓聲が上がった。
お玉を鍋にれてかき混ぜ、トロリとすくい上げたその料理。それは薄く紫に怪しいを放っていた。
「………………ぐ、腕を上げたな」
スイエンがサイカのその仕草を見ただけでその言葉をらした。
何故なら、蓋を開けてすくい上げただけでその恐ろしく魅力的な香りが辺り一面を支配していたからだ。長老を含めた審査員達も戸いを隠せない。
「うふふ、耐え難いでしょ?久しぶりに私も全力を出したわ。なんて言ってもこのは時間をかけて煮込まなければ出せないからね」
黒……よく見れば焦げ茶にも見える、トロリとした狀の料理。それを白米の上にかける。それが、の反合なのか紫に輝いて見えるのだ。そして、サイカはさらに別で『ある』料理も出す。
「「「ぬぉぉ!?!?」」」ガッ
審査員達は思わずを乗り出した。悪魔的な魅力に耐えられなくなっていた。
ザクザクと目の前でそれを裁斷する。そして、先程の料理の上に乗せる。ほのかに上がるの香りが、また更にその料理をしく見せる。
全てを整え終わったサイカ。スイエンの前に、最初のひと皿が運ばれる。
「さあ、待たせたわね。これがサイカ母さんが最も得意とする暗殺料理よ。現役どころか今の方がより完されてるって自信有るんだからっ」キランッ
わざとお茶目に笑ってみせるサイカが、まるで魔が相手を地獄に陥れる時に使う『必殺』の流し目の如く、スイエンに目を使う。
猛毒のヤムイモ、キャロット、オニオンを使って作られた『』に、さらに別で毒ウシ豚の『カツレツ』を上に乗せて完させたのは……
サイカ特、『必殺、おふくろのカツカレー』だった。
第163話 END
俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です
簡単に自己紹介をしておこう。 俺は、高校生だ。確かに、親父に騙されて、會社の取締役社長をやっているが、俺だけしか・・・いや、幼馴染のユウキも社員になっていた・・・と思う。 俺の親父は、プログラマとしては一流なのだろうが、面倒なことはやらないとという変わり者だ。 そんな親父に小學生の頃から、プログラムやネットワークやハードウェアの事を叩き込まれてきた。俺が望んだと言っているが、覚えているわけがない。 俺が、パソコンやネットワークに詳しいと知った者からお願いという名の”命令”が屆くことが多い。 プログラムを作ってくれとかなら、まだ話ができる。パソコンがほしいけど、何がいいくらいなら可愛く感じてしまう。パソコンが壊れた、辺りの話だと、正直何もできないことの方が多い。 嫌いな奴が居るからハッキングしてくれや、元カノのスマホに侵入してくれ・・・犯罪な依頼も多い。これは、”ふざけるな”斷ることができるので気持ちが楽だ。それでも引き下がらない者も多い。その時には、金銭の要求をすると・・・次から話にも來なくなる。 でも、一番困るのは、”なんだだかわからないけど動かない”だ。俺は、プロでもなんでもない。 ただただ、パソコンが好きで、電脳世界が好きな”一般人”なのです。 そんな”一般人”の俺に、今日も依頼が入ってくる。
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