《音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら》Track.06 靜と
翌日、僕は晝頃にログインして、いつものようにリアラさん達と合流した。
「って二人共、いつからログインしてたの?」
「うちはさっきやけど、リアラはんはとっくに來てたで」
「私は毎日練習するために、朝早くから來てますから」
「へえ」
練習するために朝からログインしているとは、何とも熱心なお方なのだろうか。僕もやろうと思えば朝からログインできるけど、その後の力がきっと続かないから、しばらくはこの時間にログインする事に決めている。
「それで今日は何をするの?」
「今日はですね、早速ですけどカオルさんに音楽について學んでもらいたいと思います」
「音楽? 基本的な事は大分かるんだけど」
一応高校の途中までは通っていたのだから、ある程度の知識は僕にだってある。
「中學校とかで學ぶようなレベルじゃないですよ。カオルさんはドラムという立派な楽を用いて音楽を奏でるのですから、まずはドラムについて學んでから、ドラムを使った音楽を學んでもらいます」
「えっと、何を言っているかさっぱり分からないけど」
僕はドラムをこれから使うから、その為にまずは基本的な事を學んで、その後その基本を応用しろって事かもしれないけど、なんか々難しくて頭がパンクしてしまいそうだ。
「でもリアラさんとか分かるの? ドラムの使い方」
「これでも々楽できますよ。まあ基本的なことしか教えられませんけど」
「へえ意外やな。噂の歌姫って聞くから、てっきり歌しかできへんかと思ったわ」
「そんな歌姫だなんて私は……」
歌姫? 何を言い出してるのだろうかナナミは。
「あれ? もしかしてあんた何にも知らへんで彼とバンドを組んだん? これでも結構有名人やでリアラはん」
「へえそうなんだ」
まあ確かにあの歌聲なら、有名にならない方がおかしいけど、歌姫と言われているなんて思っていなかったな……。
「と、とにかく、今からカオル君には沢山勉強してもらいます。初心者だからって手加減はなしですよ。勿論ナナミさんにも手伝ってもらいますからね」
「うちもどこまで教えられるか分からへんけど、覚悟しとき」
「ひ、ひい」
なんかとてつもなく嫌な予がする。相手が天才と歌姫なら尚更だ。絶対今日だけじゃ終わらないよな……。
こうして僕の地獄(?)の特訓の日々が突然幕開けとなった。
■□■□■□
一日目、僕がまずさせられた事はスティックの持ち方からだった。
「えっと、親指と人差し指を使って、こうやって挾み込んで……よし、こんなじ?」
「はい。この持ち方が最もポピュラーな持ち方の、マルチグリップという持ち方です。マルチグリップには更に二通りの持ち方がございますが、それはまた後々説明させてもらいますね」
「へえ、結構詳しいんだね」
「だてに軽音楽やっていませんから」
「え? 軽音楽部とかってるの?」
「っているというより、っていた、の方が近いですかね。そんな事よりも、次の事教えますよ。次は各楽についてです」
「ん? ドラムって名前じゃないの? これ」
「総じてそう呼ぶんやけど、大まかに四つの楽にそれぞれ名稱があるんやで。まあそれは音を出してみれば分かるんやけど」
続いてナナミさんに音を出してもらいながら、それぞれの名稱を教えてもらう。スネアドラムやハイハットなど、名前だけ出されても分からないものばかりだったけど、実際に音を出してみると、どれも特徴的でしだけど覚えることができた。
その後も約二時間に渡る二人の講習が続き、僕もほんのしだけドラムを叩けるようになった。けど、それじゃあまだまだ足りないことをこの後、僕は思い知らされることになった。
「そういえばナナミさんがベースを弾いているところ、まだ見たことがないですね」
キッカケはリアラさんの一言だった。
「そういえばそうだった」
「そんな、うちは人に見せられるような腕前やないで」
「バッチリ人に見られているけどね」
ニュースになるほどの腕前なのだから、確実に上級者なのは違いない。だから興味はあったし、これからバンドとして一緒に活していく仲間として彼が奏でるものを聞いておきたかった。昨日は々あってそのキッカケがなかったけど、今日はまだ時間はたっぷりあるし、一度は聞いてみたい。
「しゃあないな、一回だけやで」
そう言ってナナミはニュースの寫真にもあったあのベースを取り出す。
「じゃあ一曲」
そして彼は、自分の音楽を奏で始めた。
(この曲は……)
チュートリアルにあった曲だ。確か『Startup Dreams~夢の始まり~』という明るい曲で、僕もこの曲は結構気にっている。それを今ナナミは奏でているんだけど、
「す、すごい。聞いているだけで元気が出てくる」
「私とはまた違って、すごく『』をじます」
リアラさんが言うとおり、彼を『靜』と例えるなら、まさにナナミは『』だ。聞いているだけで元気が出てくるし、自分も彼と一緒に『』の中にりたくなる。まさに彼の奏でる音楽は、人ぉ元気にする音楽だった。
(これは僕も、頑張らないと確実に置いてかれるよな……)
こんなに才能があふれる人が集まるバンドの中に、才能がない僕がいてはいけないかもしれないけど、自分からったのだから責任はちゃんと取らなければならない。だから僕は、もっと練習時間を増やすために、もっと早起きを心がけ、二人にも手伝ってもらうことを決意したのであった。
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