《音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら》Track.19 打ち上げと予定
千由里達とは別れ、リアラさん達と合流した僕は、そのまま初ライブの打ち上げへと參加した。この打ち上げはカナリアのメンバーだけでなく、今日參加した他のバンドの人達も集まっていて、流を深めるのにはもってこいだとリアラさんは言っていた。
『という事で今日は皆さん、お疲れ様でした! 乾杯!』
『かんばーい』
音頭を取っている人の聲とともに、皆それぞれの飲みを持って乾杯をする。一応ここは決して現実世界ではなく、ゲームの世界なのだけれど、こういう飲みもちゃんと飲んだという覚を味わえるのは素晴らしい。
「何やカオル、お酒飲めへんのか」
「そう言うナナミさんはさっきからガバガバ飲んでいるけど、大丈夫なの?」
「ウチはこう見えてそこそこの年は超えとるんや。こんなもの慣れっこ」
「顔真っ赤にしながら、言わないでよ」
打ち上げ、というよりかはまるで宴會のような盛り上がりを見せるそれぞれ。僕は間を見ながら他のバンドの人達にも挨拶に回っていた。
「いやぁ、すごかったよ。あのボーカル今度また聞かせてよ」
「私もまた聞きたいなぁ」
「ぜ、ぜひ機會があれば」
その中でもやはり皆注目していたのは、リアラさんの歌聲だった。僕達はまるでそれの引き立て役みたいなじになってしまっているけれど、それでも今はいいかなと僕は思う。
「彼の歌聲だけでなく、俺逹も注目されるようになりたいですね」
「うん」
しみじみとアタルがそう言い、僕も頷く。まだカナリアはスタートラインに立ったばかりなのだから、今はリアラさんだけが注目されていてもいつかは僕達にもその時がくる。たとえそれが、いくつの時間がかかったとしても。
「僕達もきっとなれるよ、いつかは」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
夜も更け打ち上げも無事終了し、皆がそれぞれログアウトしていき、僕とリアラさんも家へと帰った。
「お疲れ様でしたカオル君」
「お疲れ様です、リアラさん」
帰宅してしした後、二人だけの小さな二次會を開いた。その中でお互いどんな反省點があったとか、々振り返っていた。
「改めて思いましたけど、やっぱりリアラさんはすごいですよ。本番なのに思わず僕聞き惚れてしまいましたもん」
「もう、演奏はしっかりしてくださいよ。それに私一人だけの力ではないんですから」
「いや、僕達はまだまだですよ。他の人に想聞いても、やはりリアラさんの事ばかりでしたから」
相変わらず謙虛なリアラさんに、僕はいやいやと言う。でも一人だけの力ではないという言葉は納得した。
「でもここまで來れたのは、一人だけの力ではではないのは確かかもしれませんね」
「そうですよ。カオル君があの時聲をかけてくれなければ、何も始まりませんでしたから」
思えばリアラさんと出會ってから間もなく一ヶ月近くが経過している。あの時僕が彼の歌を聞いて、バンドを組まないかと言わなければ、こうして初めてのライブを迎える事はなかった。
それは竜介達の事だって同じだった。
「何かあっという間ですね。あれから今日に至るまで」
「そうでしょうか? 私は結構遅くじましたよ」
「人それぞれですよそれは」
僕にとってこの一ヶ月はあっという間だったけど、その中で沢山の経験を得る事ができた。竜介や千由里とも無事和解できたし、初めてのライブも大功したし、今までこれほど濃い一ヶ月を過ごしたのは初めてだ。
「ところでカオル君、次はどうしますか?」
「次?」
「私達の次の活ですよ。まだイベントはし先ですからら、何かするならもう決めた方がいいかと」
「あー、そうですよね。とりあえずぼくはまた新しい曲を作ろうかなって思います」
「本當ですか? でしたら私もお手伝いします」
「じゃあ僕は作詞するので、リアラさんは前回と同じように」
「そに音をつければいいんですよね」
當然のように言ってのけるリアラさん。一曲目の時もそうだったけど、作詞より音をつける作業の方が難しいのに、彼はそれを一晩でやり遂げた。
彼は自分はゲームの世界のキャラクターなのだから、このくらいはできて當然だと言っていたけど、本當にそうなのかいささか疑問でもある。
もしリアラさんに何かあるとしたら、その答えは彼の部屋にあると思う。そう、あの部屋は見せかけで本當はもっと何か……。
「カオル君、どうかされましたか?」
「え、あ、すいません。ちょっと疲れているのかもしれないです」
「もう夜も遅いですし、話の続きは明日にしましょうか」
「そうですね」
何故そこまで考えてしまうのか。その答えはとても簡単だ。もし彼が本當にゲームのキャラクターに過ぎないというのなら、何故ここまで普通に人と変わらない生活ができているのだろうかと。何故何の弊害もなく僕達と會話をできるのだろうかと。
技がそこまで発展したというのなら、それで終わりかもしれない。けれど僕は何かをじ取っていた。リアラさんの中に眠る何かを。
「ではおやすみなさい、カオル君」
「おやすみなさい」
ただ、今の僕にはそれは分からない。それは時間をかけてゆっくりと探せばいいと思う。そしていつかはその答えにたどり著くと僕は思っている。
(リアラさん……)
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音というのはとても不思議なものだ。どこからでも生まれてくるのだから。
水の音
時計の音
周りを見回せば沢山の音で溢れている。私は、いや私達はその中で生きている。
(何かにれるだけでも、音は生まれる。私はその音の中から生まれた)
彼は私がゲームのキャラクターなんかではないと言っていた。でも私はそれを否定したい。私の事は私が一番分かっている。自分が何者なのかを。明らかに住んでいる世界、見えているものが違うのを。
(本當世界は不思議)
こんなにも沢山の想いで溢れているのだから。
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